2021/04/17 のログ
ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” カジノ内ラウンジ」にシシィさんが現れました。
■シシィ > 煌めくシャンデリア、穏やかに談笑を続けるのは富裕層なのが知れる装いの男女。
その立場を知らせないように顔の半ばを隠すマスクもそれぞれに意匠が施され、それぞれの個性を覗かせていた。
───個性を殺す為なのに個性を発揮していては本末転倒のような気もするのだが、彼等にとってはこういったカジノ内のオークションもスリルのある遊び、ということなのだろう。
己もまた──コネクションを利用してオークションの末席に身を連ねてはいるが。美術品に混じって供される公主にそれ程興味があるわけではない。
己は純粋にめったに目にすることのないシェンヤンの美術品の真贋を眺めに訪れているだけであった。
目許を隠す白いマスクは、逆に己の肌では目立ってしまうが、半ばあきらめつつ。オークションの休憩時間に合わせるようにラウンジに足を運び、宝飾品を目にし続けた疲労を癒すように軽めの酒精を給仕に望む。
■シシィ > ───とはいえ、事前に配布されたカタログに記載されない装飾品の類は、どれも花や蝶の意匠が施され、それが、それぞれの名を冠した公主である、あるいはその縁者である、というのはなんとなく予測できたこと。
渡された酒精の果実割のグラスを爪の先でなぞりながら、それについて憂慮する……わけでもないが。
同性としては少し思うところもある。
同情や温情が役に立たない世界ではあるが、傷む心のない人でなしではないし。身につまされるところもあるものだったから。
よく冷やされたクリスタルグラスに唇を押し付ける。かといって、無尽蔵の資金があるわけでもない。己はしがない商人の一人で、吹けば飛ぶような存在でもある。
余計なことを口にして、己がオークションを彩る花の一つに添えられてしまうのも……避けたいところだ。