2020/04/23 のログ
ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”【イベント開催中】 “クリュソス” オークション会場」にナランさんが現れました。
ナラン > 「――…お手洗いは、あちらです」

尋ねられるのは何度目か。
カジノの施設内でも一番の広大な部屋は、本日は部屋のあちらこちらがオークション会場となっている。
間仕切りもなく、小さなステップが付いただけのステージと、進行役の木槌が打ち付けられる机。
その周りには椅子さえなく、参加者は一体どうやって判別されているのか謎だったが―――

(――――……)

会場の入り口、すぐ内側で扉を背にして立っている女は重々しく溜息をつく。
珠に人ごみ見物のように訪れる此処で、たまたま警備をしていたらしい男に『少しの間交代』を願われて、少々の金貨と引き換えに請け負ったものの
当の男は戻ってこないし、見守る室内では騒動こそ起こらないが、先ほどから聞かれるのは設備内のことばかり。
曰く、お手洗いとか、施設の出口とか、クロークとか。

(――――……受け取るんじゃなかった)

ポケットの中の一つの金貨が、今はとても重い。
行きずりの相手に律儀に約束を守る義理は勿論ないのだが…『何か』あっても、それは気が咎めそうだ。

「―――…あと、30分経ったら、帰る…」

独り言ちるのは自分に対しての言い訳のよう。
それでももう一度溜息を零して、室内のあちこちの熱狂を、やりとりを、そこそこ興味深そうに鳶色の瞳が見守っていた。

ナラン > つぎつぎと案内を乞う者がやってきては立ち去っていく。

(扉の内側で突っ立っているだけなのにな…)

独特の民族着を纏った女は、施設の身内だとは到底思われない筈なのだが
案内を乞われてはそれに律儀に―――時折は本当の施設の従業員を捕まえてまで―――答えているうちに、なんだか『そういう要員』だとうっすらと周囲に認知されてしまったようだ。

(―――…厄介なことに、して、しまったな)

内心思うものの、普段森で独り暮らす身として、ヒトとの会話は楽しいもの。尋ねられれば穏やかな笑顔を浮かべながら返答しつつ、気分も悪くはない。

熱気と欲望で渦巻くカジノでの、思いがけない一夜は更けていく……

ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”【イベント開催中】 “クリュソス” オークション会場」からナランさんが去りました。
ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”【イベント開催中】」にギュンター・ホーレルヴァッハさんが現れました。
ギュンター・ホーレルヴァッハ > 多くの同胞で賑わうクリュソスのオークション会場。
漣の様に広がる噂話をすり抜ける様に、次から次へと商品が現れては競り落とされていく。

「……相変わらず、サービスは一級品なのは嗤い話だな」

このオークションの運営にはシェンヤン系の盗賊団だとか。
荒くれ者が噛んでいるという割には、提供される飲食物も、恭しく此方に頭を下げる従業員達も、王族たる己から見ても一級品である事は間違いない。

出て来る商品もそれに見合っているかといえば――たった今競り落とされた"元"貴族という女性を眺めながら肩を竦めた。