2019/09/09 のログ
コーデリア > 「たしかに目も耳もよく動いて…頭が痛いです」

エルフという種族でありながら人間に育てられた彼女は五感は鋭くても気が鈍く、合点がいったという風に感心する
紫煙を吐く匂いも気になるところだが、相手は恩人だ
正直な彼女でも露骨に嫌な顔はするまい

「王都の方が楽ですね
 ここは酔っている人が多いからか、予測もつかない動きをする人が多いです
 あなたも……少し不思議な雰囲気があります」

親切で柔らかな人だが、この煙のように実体を掴みにくいという印象
それが半妖という種族だからなのだろうか
それとも彼個人の性質なのだろうか
目の前で行われる掌の動きをエルフの視線が辿りながら、突然の問いに言葉が途切れる

「……待ってください、考えますから
 私と同じく―――――――お腹が空いているとか
 それとも宿が同じ?王都に住んでる?人酔いの前に船酔いをした?」

ずるいことに回答は一つに絞らず早口で答える
教えなくても良い情けない回答までぽろぽろと漏らす、頼りない新人捜査官

アルファ > 「おや?それは俺も予測がつかない酔っ払いだとディスってるのかな?」

決してそうは思ってない癖、わざとらしく苦虫潰した顔でかるく睨みつけ。
夜風が払う甘い香りと共に元の静かな微笑みに戻る。
相手が考えるというならば、持ち上げた顔はそのまま夜の海のように暗い空を眺め。
見飽きて横に流す薄紅が、ちょうど答えを告げるその人をみて寂しげに細まった。

「3つも答えを言えば正解になるよな。その通り。
 俺もこの街で気分が悪くなったんだ。居場所がないように感じてね。
 通りすがりの酔っぱらいもどきの問いかけだ。そうムキにならなくていいだろ。」

どこか幼くも見えるその人に瞼を閉ざして再び顔を触れば、預けていた壁から背を外し。

「でも。こうして君と話していて少しは気が楽になったよ。
 俺はもういくよ。君はここでまだ休んでいく?」

コーデリア > 「いえっ…!?」

男の戯れに翻弄されるエルフの口から、素っ頓狂な声が出た
ぶんぶんと首を振るとポニーテールも揺れ、見た目が騒々しい

「そこまではっ!
 たしかに予測はつかないと思ってますけど!」

そんなこと思ってませんで済ませれば良いものを、正直過ぎるあまり余計なことを口走る性質のようだ
何かを見透かす瞳の色がそう感じさせるのだろうか
半妖という種族に詳しくない自分にはわかりかねる

「ムキになんてなってませんよ!
 問いかけられたら正解を当てたくなるのが人情です
 でも…あぁ…そうだったんですか
 この街に溶け込んでるように見えたのに、そういう人もいるんですね」

カジノで血眼になっているタイプの人々とは違うが、退廃的な印象が歓楽街に似合っていた
だがここの水が合わないのならば、そんなことも言葉にしない方が良いだろう
それよりもこのたわいない会話でお互いに気分が回復したことの方が喜ばしい

「私もおかげさまで歩く気力が戻りました!
 宿に戻ろうと思います
 ここはスリも多いですから、気を付けてくださいね!」

語気の強さからも、人酔いにまいっていた彼女が回復したことは感じ取ってもらえるだろう
エルフはまた改めて姿勢を正すと、組織に用意された宿がある方向を指し示し、半妖の彼を見送ることにする
その後、彼女もこの人混みから消えて行くはずで―――

アルファ > 精一杯の微笑みを取り繕う顔も、忙しなくも純情さが滲む相手の仕草を見れば。
エルフほど動体視力にすぐれぬとも薄紅の眼が忙しなく動いて。
ついには捉えるのをやめ、瞼を閉ざして笑った。屈託のない笑顔。

「あは、それがムキになっているというんだ。まぁ、見ていて楽しかったけれど。
 俺はどこでも溶け込むよ。この世界で闇に包めない場所などないのだから。」

その思考を読むことは出来ないが、気遣いは感じられる。
もう一度差し出した右手は相手の頬を柔らかく擦り。人と人為らざるものが合わさった冷たい体温を伝えて。

「それじゃお互い気をつけて。」

頬を撫でた手を降って背を向け歩き出す。背後から感じる見送られる気配に溢れる息は少しだけ温かい。
黒衣の姿は数歩離れるとその気配と共に闇に融けて消えていった。

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