2019/09/08 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にコーデリアさんが現れました。
コーデリア > 某お貴族様の護衛として船に同乗し、到着したのが昼過ぎだったろうか
貴族は無尽蔵な資金を投じて遊興に浸り、あっという間に日は沈んでいった
夜の帳が下りると夜には夜の遊び方があるようで、娼館に消えて行った護衛対象者
その際先輩たちはおこぼれに与ろうと我先にと随行したがり、そんな先輩を軽蔑の目で見る新人は少々のお暇を貰うことになった

ならばと通りを歩いてみたは良いが、歓楽街らしい人の多さと酔っぱらいの数に早くも後悔気味だ
生真面目なエルフはこの街との相性が悪く、酒場やカジノという息抜きに良さそうな建物に何の興味も示すことなくスルーしていく
酒の匂い、人混み、王都でかなり慣れてはいたが、人酔いしてきたようで頭がくらくらしてくる

「自然が恋しい…美味しい空気が欲しい…
 何でみんな平気なんだろう」

エルフという種族も関係しているのだろうか
ふらつくほどではないが、休憩を欲して建物の壁に寄りかかった

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にアルファさんが現れました。
アルファ > 灯台の明かりが巡る海には漣だけが映される静かな夜。それでも港湾都市には賑わいが失せない。
昼間に訪れた人々から少しでも金貨を掠め取ろうと酒場は明々と、カジノは眠ることを知らぬ人々が忙しなく出入りしてゆく。
それを楽しむ1人である半妖の青年は、左手に水袋を持ち、右手を熱くなった額に添えて、黒い外灯を閃かせて夜道を歩いていた。
そんな折、観光街の夜を楽しむ人々とは違う、全く別の雰囲気を持つ女性が壁により掛かる姿を見れば、一度通り過ぎてから黒髪をなびかせて振り返る。

「大丈夫かい?具合が悪そうだけれど……飲む?気分が落ち着くかも」

差し出したのは左手に握った皮の水袋。眺める薄紅の瞳は、辛そうだと判断し、気遣いに細くなった。

コーデリア > 人の流れを目で追うと悪化する
エルフの視線は下を向いていて、声をかけられるまで男に気付くことはなかった
顔を上げた血色は少し薄いが、病的と言うほどでもないだろう

「あ……ありがとうございます」

情けないところを見せていたのだという恥ずかしさと、突然の厚意にぎこちない動作で水袋を受け取って
遠慮がちに飲み口へと唇を付け、少量飲んだ
胸の辺りがもやもやと生ぬるくなっていた不快感が水に流されていくような心地で、即効性の薬でもないというのに彼の言葉通り、気分がいくらか良くなる

「人酔いしたみたいです
 ご心配をおかけしました」

失態を隠すみたいに寄りかかっていた背中をピシッと正し、今度はエルフが水袋を差し出す番

アルファ > 建造物から溢れるのみの明かり乏しい中、瞳孔が細く狭まる薄紅は、その表情から肌艶を具に見届け。
瞼を閉じて小さく首を振る。

「どういたしまして。なんだか辛そうに見えてねぇ……こんなに楽しい街なのに。不思議と思って声をかけたまで。」

差し替えされた水袋は髑髏のバックルがついたベルトの留め金にと止め。
空いた右手は顎先に添えてしずしずとその挙動を見る。面白そうに唇から笑みを零して。

「なるほど、人酔いか。鍛錬が足りないな。」

背筋を正す姿に返すのは敬礼。キビキビした動作をからかう妖魔は小さく息を零して
何処を見るともわからない半眼で囁く。

「貴族やこの街の住人には見えないな。冒険者かい?」

コーデリア > そうなのだろう
自分以外には楽しい街なのだろう
そしてこの親切な人もこの街を楽しんでいる側なのだろうと、エルフは曖昧な相槌のみで済ませた
「お酒も賭け事もしないので楽しみ方がわかりません」なんて言って表情を曇らせてはいけないと思う程度の気配りは、猪突猛進型の彼女にも身に付いていた

「……返す言葉もないです
 問題は動体視力でしょうか
 視力自体はかなり良いんですけど」

さらに言うなら聴力も良く、雑踏の中では余計な音も拾いやすい
そのためこういった場所では感覚が刺激され過ぎて、居心地が悪い
気怠そうに歩く者の多い通りで、お堅いエルフと敬礼するスーツの男というのは悪目立ちするのだろうが、勝ったすったで忙しい人々の視線を集めるまではいかない

「いえ、王都の捜査官です
 不正を調査し、公平な世の中を作るのが私の仕事です!」

ない胸を張って主張する冒険者ならぬ捜査官だったが、その後声のトーンを落として真実も付け加えておくのだ

「今は……迷子の捜索であったり、護衛であったり、貧民地区の見回りであったり…が業務内容ではありますが」

アルファ > 尖った耳、しなやかな体付き、察するに余りあるエルフの風体に。
隣の壁に背を預け、自分の人間耳を横にひっぱり語る。

「君がエルフだとしたら。狩りで鍛えられた五感が、ここでは酷使されて疲れたってことかな」

相手が何を考えているかわからない。その間に半妖の青年は唇に煙草らしきものを咥え。
音を立てた指先から昇る火をつけ。煙の代わりに甘ったるい匂いを広げながら月も見えない闇空を仰いでいた。

「なるほど。だとしたら余計に疲れる訳だ。こんなに山ほど人がいる場所で怪しいものを見つけるのだから」

薄い胸を張る様子に小さく笑み混じりに息を吐き。

「見栄を張った?良いじゃないか。小さな仕事も公正な世を作るために必要だと思うよ。
 ……遅れながら俺は冒険者の半妖だ。
 君とは接点がなさそうな男だが、一つだけ共通点があったんだが。分かるかな?」

短くなっても灰も溢れない煙草もどき。やがては闇に溶けて消えるそれを空に返すように掌を上にした。