2019/09/01 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にセイラムさんが現れました。
セイラム > 夕刻過ぎから降り始めた雨はハイブラゼールの街並みを一定の音色で洗い続けている。帰る時刻となっても止む気配はなく、フードつきの雨避け外套を着た侭、娼館を出た先の少し離れた軒先で紙巻煙草の煙を燻らせていた。

「――…矢張りこのスモーク、…、質の悪い混ぜ物がしてありますね。」

咥え煙草の侭、ぼやく。いつもの銘柄を切らして仕舞ったとぼやいていたら馴染みの娼婦が恵んであげるわよ、と含み笑いと共に分けてくれた紙巻煙草。香りから煙草自体はそれなりの質のものなのに、妙に残るこの後味は精神を高揚させる邪なハーブが調合されていると分かる。分かる理由は、こういう邪草の類を吸うのが初めてでは無いからだ。

セイラム > ときにはこういう類が必要な場合もあると認めるが、今欲しいのはいつものあの味と香りであって残念ながらこれではない。だが分けてくれたあの娼婦がどこで見ているとも分からないので、火を点けて仕舞った手前、直ぐ消すわけにもいかず。

「――…しかし、まぁ…、頂きものに対して良いも悪いもありませんね。」

単に嗜好が違っていた、というだけの話だ。煙草を唇から外して指の間に挟み直し、軒先から空を仰ぎ見る。地上の光が明る過ぎて空模様など大して分からない。細い煙を立ち上らせながら煙草は静かに燃え、消費されていく。

セイラム > 暫く風任せにしたあとで黒ベストの内側を探り、隠しから銀の携帯灰皿を取り出して短くなった煙草を押し込む。隠しにそれを戻してフードを被り、雨の中を歩く人影がひとつ増えて。ハイブラゼールの雨の夜は更けゆく――…
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」からセイラムさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にアゲハさんが現れました。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」からアゲハさんが去りました。