2019/06/14 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” カジノ」にジナイアさんが現れました。
■ジナイア > ダイラスの中心をなす歓楽街ハイブラゼール。
数々の施設が軒を並べ、連ねているなかでも一際大きなカジノは、夜の帳が忍び寄る頃にはその中へ多くの人を飲み込んでいた。
外は静かに霧雨が降る夜にも拘らず、中の雑踏とも言って良い人々からの熱気は入口から漏れ出るよう。
娼婦の嬌声。
勝者の歓声。
敗者の嘆き。
はたまた揉め事のようにさえ聞こえる、単なる大声のやりとり。
老若男女のそれらのざわめきは、高い天井へ紫煙と共に昇って漂っている…
そのカジノの一角、幾つもあるルーレットを行う卓のひとつ。
先から賭け事には参加せず、独り盃を傾ける黒髪の女がひとり。
空席がいくつもあるから問題なかろう、と高見の見物を決め込んだ様子で、端の席へ腰を掛け肘をついて爪先を揺らしている。
チップの動きをその翠の双眸が追いかけて、時折ほう、と熟れた唇から吐息めいたものを漏らした。
■ジナイア > 参加する卓を選んでいる客の目ではなく、あくまで好奇心だけの視線を巡らせる女はいかにも観光客めいている。
時折掛けられる案内を申し出る声には、うっそりとした笑みを返して、首を振ってはまた視線を卓に戻していた。
チップの山は全体で増えたり、減ったり。
あちらへ動いたかと思えば、こちらへ削り取られて。
そうして参加者たちは熱っぽく、盤上の球を目で追う。
(…嫌いじゃないな)
ふと、アーモンド形の目が細められ、唇に笑みが浮かぶ。
騒がしい所は得意ではないが、こうして熱気に巻かれた人を眺めている分には興味深い…
そうしてまた、一口、琥珀色を喉へ流し込んだ。