2019/03/13 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にカーレルさんが現れました。
■カーレル > ハイブラゼールの繁華街。裏通りにある小さな食堂
王国ではなあまり見かけない異国情緒の香る店は外来の客向けというよりは、繁華街で働く同郷の人間たちが
故郷を懐かしんで足を運ぶようなそんな店である
店内には王国生まれには嗅ぎなれない香辛料なのか、香なのか、そんな匂いが立ち込めている
そんな中、店の主人と自分と向かいに座る老人の他に客はなく互いにテーブルの上の盤面に置かれた
遊具の駒を進ませたり、戻したりとしていた。時折、店の奥から男の叫び声が聞こえてきたが、
老人も店の主人も一切、気にすることはない
「…あんまり、やりすぎると死んじゃうよ?
仕事以上のことは俺も口出ししたかあ、無いけれど…」
盤面の一番弱い駒を一歩前進させながらそう呟く
それを聞いた老人はフン、と鼻であしらうだけで言葉はなく盤面と睨めっこしている
この遊戯が得意なものが見ればすぐ判るほど、自分も老人も対してこの遊戯が強くはない
老人の方は下手の横好き、自分に至ってはルールを理解している、程度のものである
懐から取り出した煙草に火をつけた頃合いで老人も腕を伸ばし駒を進ませる
すかさず、自分も腕を伸ばせば先程よりも上位の駒を進ませて手を引っ込める
すると、老人の長考が始まったからゆっくりと煙草を吸う事が出来た
しばらくして、老人が駒を動かすのをみれば、素早く駒を動かして、むむ、と唸る老人を尻目に
テーブルに置かれた金貨袋を手に取り、懐へとしまえば席を立った
「仕事は済んだしそろそろ行くわ
続きはまた何かあった時にでも…なんかあればいつもの手順で連絡くれ」
盤面とにらめっこを続ける老人をそのままに、店を後にする
一大歓楽街にしては店に面した通りはもの寂しく、春近しとはいえ冷たい外気に身を震わせれば、
ぽつりぽつりと歩き出した
■カーレル > 王都に帰るには時間も遅い。かと言って、歓楽街で稼いだ金を浪費するのも気が引ける
安宿でも探すか、と人通りの多い方へ向かっていけば、そのうち賑やかな通りにたどり着き
ごった返す人混みの中に紛れていくのだった
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」からカーレルさんが去りました。