2018/11/05 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にシシィさんが現れました。
■シシィ > 一大歓楽街、ハイブラゼール。数多ある歓楽施設のうち、ここは朝を知らない場所でもある。一日中舞台の上で行われるのは様々なショー、演劇であったり踊りであったり、時には性的なものさえ行われている。
それはこの街ではどこでも当たり前のように行われていることでもあるのだが───女にとってもそれは見慣れた光景だ。
とはいえそちらの観客、というよりはバーカウンターのスツールに腰かけて、静かに杯を傾けている。
単なる暇つぶし、あるいは何か目的があってか。
背中を大きく見せるドレスの色は艶やかな臙脂色。肌の色とわずかに違えることで肌の露出を強調することなく、だが、映える様にと合わせられた色合い。
銀の髪は緩く束ね、左肩から胸元にかけて流してあるため、背中はほぼむき出し。
とはいえ、この場にいる女たちは時にそれ以上のきわどい格好をすることもあるだろう。
そんな場所に一人で訪れるのだから女はひどく浮いている。
自覚しつつも、投げかけられる視線にはただ緩い笑みで応じる。
一時の火遊びを求めてか、あるいはなにがしか、己の益を探すためにか──その真意を包み隠し。
もっともそれは女だけに限らず、この場を訪れるものがそうだろう。
甘くくゆる媚香は、嗅ぎ続ければ癖になる。それは男も女も変わらないもの。
今舞台に上がっているのは女だ。
手にしたリュートが奏でられ、やや掠れた錆のある声音が歌を紡ぐ。
その旋律に耳を傾けながら、杯を満たす葡萄酒で唇を湿らせる。
■シシィ > ──さて、これからどうしようかとゆったりと考える。
王都からこちらに戻って、仕入れた荷を卸した。ほかに養う人間がいるわけでなし、しばらくゆったりしようかと、顔つなぎもかねてこういった場所に顔を出しているわけではあったが───。
とりあえず、今は一人だ。若干思考が散らかっているのはここで焚かれている香のせいといえるかもしれないが──それならば河岸を変えればよいだけの話だった。
こういった薬には慣れているから、という驕りがないともいえない。
「お酒は…控えたほうがいいかな?でも飲まないわけにもいきませんしねー…」
どこか間延びした、ゆったりとした声音がぽつ、と言葉を紡ぐ。誰に言うともない、ただ、カウンターにいるバーテンがわずかに反応を示すだけ。
この酒場に居る給仕は基本的には無口なものだ、それが有難いことも多いが、少しだけ今は退屈でもある。
そんな自分のわがままな心境に困ったように眉尻を下げて、とは言えないものねだりをしても致し方がない。
空になった杯を返し、同じものを頼む。
冷えた葡萄酒が濃厚に舌を刺激するのを楽しむように嚥下して。
■シシィ > その後も2杯程度杯を重ねると、代価と引き換えに酒場を後にした。
その足取りはふらつくこともない、まっすぐしたものだったとか──
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」からシシィさんが去りました。