2018/06/28 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にロサさんが現れました。
■ロサ > 娼舘などの陰の面と対を成す陽の面たる煌びやかなフロア。
一般客を装った警備の仕事で訪れている少女(厳密には違う)は、
バカラ台を後方を通り過ぎる時、目敏く手癖の悪い男性客を見付けた。
「おい、やめとけ」
夢見る少女の様に甘いソプラノとは対照的なぶっきら棒な口調で、
いかさまをしようとしていた客の肩を掴む。
そのまま、客の目線から遠ざかりつつ男を隅に引き摺っていき、
「私はもうすぐ『あがり』なんだぞ。
面倒ごとは止してくれ。という事で見逃してやるから、とっとと失せろ。バカ」
余計な一言が付随した所為で、一気に剣呑な雰囲気が漂う。
眼前の男の、酔漢を装う小道具だろう酒瓶が横殴りに振るわれた。
明確な害意がある、というよりカっとして思わず、という感じだった。
■ロサ > 少女の米神に瓶がぶつかり、派手な音がして、空の酒瓶が砕け散る。
身近な武器としては有用だが、中身が空だと大した威力にもならない。
「痛いだろバカ!」
微動だにせず居た少女だが、いらっとした半眼になると、
いかさま客の米神に無造作な拳をお返しする。
こちらは鈍い音だったが、いさかま客は横に吹っ飛んで二回バウンドしてから、
壁にぶつかって動かなくなった。
「あ。しまった。ちっ……生きてるかな」
億劫そうな足取りで近付き、かがみ込んで触診。
気を失っているだけのようだ。
荒事を嗅ぎつけてフロアのスタッフが数人駆けつけてくると、事情を伝える。
「──と、まあ、そんなワケなんだ。後は任せる。私はあがらせてもらって良いか?」
米神をさすりさすりしつつ、業務の引継ぎを行う。
ここから先は別の人間が同じ仕事を担当し、自分はただの冒険者、あるいは客だ。
■ロサ > 普通の人間に比べれば馬鹿みたいに頑丈でも、殴られれば不快感が残る。
「うーむ、ケチがついたな。爽やかな気分で労働を終えたかったが」
あのイカサマ野郎め、と毒づいてから気分を入れ替える事にした。
臨時雇いではあるが、スタッフ特権として幾つかの施設は自由に使える。
例えばバーカウンターのドリンク、例えばマッサージサービス付きの休憩室……
辺りを見回せば無数に存在する遊戯コーナーに関しては、
遊ぶなら自前ということになるが、遊んでいく分には自由だ。
「賭け事は嫌いじゃないが、さして強くないからな……」
気分転換にギャンブルも悪くない、とも思うが、
自分の博打の腕前を鑑みると、どうしても悩んでしまう。
下手の横好きというやつだった。
フロアの、通行人の邪魔にならない場所で突っ立ち、今後について考え込んだ。