2018/04/27 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にジルヴァラさんが現れました。
ジルヴァラ > セレネルの海の魔物さえ眠りについた頃――。
ここハイブラゼールは不夜城の名の通り絶えず明かりが灯され、煌々とした輝きを放っている。

海賊の男はポーカーテーブルに悠然と腰掛け、手持ちのカードを眺めていた。
揃えるべきは数字か、柄か、その両方か。
ディーラーの壮年の男とは古い付き合いであり、イカサマの心配はなかったが、
だからこそつまらない勝ちにこだわるような、華のない勝負はしたくはなかった。
脇に置かれたグラスを傾けると、賭け事に程よく滾る身体に冷えたワインが心地良い。

ジルヴァラ > 互いの瞳を覗き込み、心を探る駆け引きには何物にも代えがたい面白さがある。
幾度かカードを交換し、上位の役を狙ってはみたものの、
すべてのフェイズを終えて手の内を明かせば勝敗は明らかだった。
ディーラーの見せたカードにはAが4つ、綺麗に並んでいる。
男は自分の手札を放って降参を示すと、相手に向け大仰に拍手を贈った。

「さすがだ。奢らせてくれ」

勝敗と関係なく、見事な手腕はそれだけで賞賛すべき価値がある。
男はまるで自分が勝利したかのように白い歯を見せ上機嫌に笑うと、
近くを通りがかった店員に向け、勝者の杯を手配した。

ジルヴァラ > ディーラーへ手渡された杯に、自分のグラスを軽く触れ合わせる。
彼は美しい所作で頭を下げ、恐縮を述べてから口をつけた。

ハイブラゼールと言えば、ゲスト・ホストを問わず、
下卑た欲求を満たすためあからさまな賭けに興じる者が多いが、
そうした中でも品格を崩さぬ彼の姿には頭が下がる。

しばらくディーラーとの会話を楽しんだ後、男は次の勝負を持ちかける。
次は勝たせてくれよ、と勝利の女神に胸の内で囁いて――。

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」からジルヴァラさんが去りました。