2017/11/05 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” カジノ」にアンネリーゼさんが現れました。
アンネリーゼ > 日々の退屈を紛らす為に、やってきたのは悪徳の都。
一夜で人生が180度変わるとも言われている、悪魔の住む場所。
ハイブラゼールのカジノの一角で、少女は優雅にカクテルグラスを傾ける。
目の前で行われているのは、貴族の子女によるポーカー対決。
でっぷりと太ったわがままな貴族の少年と気位の高そうな貴族令嬢の一勝負だ。
無論、これはまともな勝負ではない。ディーラーと少年が結託し、令嬢を奴隷に堕とす為だけに行われる遊戯だ。
眺める皆も、それを理解しながら敢えて貴族令嬢を応援し、彼女が追いつめられる度にわざとらしくため息をこぼす。

「ふぅん、わざわざ大変ねぇ。一度で有り金をすべて巻き上げるんじゃなくて、真綿で首を締める様に調整するなんて」

ディーラーは与えるカードを調整しながら、巧みに令嬢の掛け金を引き出す。
そして貴族の少年は時折意図的に負けながら、掛け金の一部を彼女に回して勝負の時間を長引かせる。
令嬢はただ自分の勝ちだけを目指して必死にカードを手繰りながら、その実は少年とディーラーの掌の上。
それが、この町で行われる日常――強者が弱者を玩弄する世界だった。

アンネリーゼ > 「それにしても……流石に飽きてくるわね、毎度毎度、必ず負ける側が決まっているというのは」

悪趣味な貴族たちにはもてはやされているが、純粋に退屈を嫌う少女からすれば興覚めだ。
勝敗のわかっている戦いの何が楽しいというのか。貴族たちの気持ちも理解できなくはないが、それを是とするわけではない。
故に少女は、いつも通り紳士淑女を目で追いながら、目ぼしい相手がいないかを確認。
とある少女と約束したから奴隷に堕とすまではしないが、一夜を共に過ごすくらいはするつもりで。

「むぅ……それとも、あの勝負にちょっかいかけて、でっぷり太ったあいつを任せてやろうかしら」

ディーラーに魅了をかけてもいいし、カードを遠くからすり替えてもいい。
どうしてやろうかと悩みながら、カクテルグラスが空になる。

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” カジノ」にアルマさんが現れました。
アルマ > 「これは…失敗だったかしらね…」

人で溢れる賑やかなカジノの中、一際派手な格好の女性はそう小さく呟いた。
王都での滞在が長引いたため、暇潰しに訪れたカジノ。

適度に人が大金を賭ける様を肴に適度に酒を飲もうという打算であったが入ったカジノで行われていたのは勝負などというのは建前のディーラー観客が一丸となった出来レースで。
多少の期待感と共に乗り合い馬車まで使ってたダイラスへ赴いた女性にとって目の前の勝負は肩透かし以外の何物でも無かった。

「はぁ……まぁいいわ、飲むだけ飲んで帰ろうかしら。貴女、なんでもいいから持ってる物くれないかしら?」

溜息と共に肩を落とすと、ホールスタッフから適当にグラスを受取、カジノの一角に腰掛けてそれを煽った。

アンネリーゼ > ぼんやりと周囲を眺めていると、退屈そうに勝負を眺める女性が一人。
その肢体を遠めに観察し、にんまりと笑みを浮かべる。なんと均整の取れていて妖艶な肉体か。
しなやかに鍛えられた筋肉の上に、程よく脂肪の柔らかさが乗った、如何にもおいしそうな風情。
それに、目の前の勝負を詰まらなそうに見ている、という点で、ここにいる他の客よりも価値観が合いそうで。
ならば、と少女はホールのスタッフを一人呼び止めると、そっとチップを渡しながら。

「あちらの素敵な女性に一杯差し上げてくれるかしら。ついでに、私の方を示してくれればいいから」

それだけ告げれば、彼女の元へとスタッフが歩いていき、やがてカクテルをいっぱい差し出すだろう。
少女の意図通りに事が運んで、彼女がこちらを見てくれるなら、きっと微笑みながら手を振る少女が見えるはず。
手慣れたナンパの常套手段だが、これがなんだかんだで一番有効なのだ。なにせ、使い古されているのだから。

アルマ > 早々に手にしたグラスを空にしてしまい手持ち無沙汰になったタイミングでカジノのススタッフがグラスを片手にこちらへ話し掛けてくる。

「あら、気が利くわね。ありがと……って、あちらから…?」

チップをスタッフに渡しながら怪訝な顔でこのカクテルの差出人を探す。ナンパに乗るような気分でもなかったがやはりこういうものは気になってしまうもの。

「さてと、その物好きの顔くらいは拝んでおきましょうかね、と……」

スタッフが方向を示した先を見据える。しかし、その先で視線が捉えたのは予想だにしない愛らしい少女の姿だった。
艷やかな金髪に真っ赤な瞳、顔立ちはさながら人形のように整っていて、さらに微笑み上品に手を振る所作は上品でいてどことなく無邪気さが感じられる。
それは目の前に繰り広げられる壮大な茶番より遥かに興味を惹かれるもので。

女性はグラスを片手に静かに席を立つとカジノ客の隙間を抜けるように歩き少女の元へ移動する。

「ふふ、カクテルありがとうね。あまりにつまらない勝負だからお酒飲んだら帰ろうと思ってたのよ」

少女の眼前に立ち、グラスを小さく傾けながら女性は小さく礼をして

アンネリーゼ > 雑踏の中、彼女と視線が交わる。
それ以外が色あせるような錯覚は、少々大げさすぎるだろうか。
歓迎の一杯を片手にやってくる彼女を見ながら、自身もまた近くのスタッフからグラスを受け取る。
先ほど飲んでいたものとは違う、濃い青色に金の粉がちりばめられた、夜空を思わせるようなもの。
沈んだサクランボは、さながら降り注いだ流星でも表しているのだろうか。

「ふふ、あの勝負はお気の毒様って感じよね。必死に勝ち筋を探っているのに勝てないなんて。
 駆け引きも、負けた時に動揺を表にしない態度も、相手よりは随分と出来る子なのに……。
 ――とはいえ、それもこの国の常、一々気にするよりは、お姉さんの様な素敵な女性と話す方が楽しいかと思って」

片目を悪戯っぽく瞑りながら、側へとやってきた彼女に微笑みかける。
外見だけから慮るなら、少女は親に連れられてカジノへとやってきた娘にでも見えるだろうか。
その実は市井に紛れた魔族にして、外見の十倍以上は弱いを重ねた存在なのだが。
閑話休題、目の前の彼女は、近寄ればなおのこと魅力的。ふわりと漂う女性的な香りを楽しみながら。

「あら、それなら私が少々時間を貰っても構わないかしら?
 なにせ、ここは悪趣味な大人が多すぎて飽き飽きしていた所なの。
 お付き合い頂けるなら、軽いお話から一夜のお供まで、お好みのままなのだけど」

ませた様な言葉遣いで誘いながら、彼女の反応を見る。
どちらに転ぶかはわからないが、きっとどちらでも楽しいはず。
彼女の選択を楽しみにしながら、カクテルにそっと口を付けた。

アルマ > 「えぇ、そうね。負ける方が悪い、正義が勝つのではなく、勝ったから正義。勝負の是非はともかく勝負感に関してはそれがこの国のらしさだと思うわ」

少女の側に寄り、言葉を交わし女性は始めてそこに違和感を抱く。
それは立ち振る舞いかからか、あるいはその言葉遣い、それとも周囲へ醸す雰囲気か。

いずれにしろその存在は彼女の外見、10代半ばの少女のそれとは明確なギャップであり、それが本能的な危険を煽ると同時にその危機感諸共引き摺り飲み込んでしまうような魅力を発していた。

「そうね…こんな勝負を見てるより貴女に付き合った方がずっと楽しそう。
多分、“似た物同士”話も合うでしょう、きっと」

口端を釣り上げ笑って見せると少女から貰った一杯に口を付けて再び少女を見やる。