2017/09/11 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にリュシーさんが現れました。
■リュシー > (昼間のうちにこの街を出て、王都へ戻ることも多分できたはずだけれど、
街が夜の帳と賑わいに包まれるころ、己の姿はまだ、この街にあった。
己がなし崩しに間借りしている娼館の玄関から、少しばかり脇へ避けた辺りへ、
壁を背にして佇みながら、やはりどうしようもなくぼんやりと、
目の前を行き交う男たち、彼らにしなだれかかる美しい女たちの姿を、
見るとはなしに眺めては見送り、また、新たな人物を眺めては見送り―――
ふと、足許へ置いたバックパックに視線を落とす。
そろそろこれを背負って、歩き出すべきである、と思っているのに、
では、いったいどこへ、と考えれば足が止まってしまう。
父の追っ手は今もまだ、王都で己を探しているのだろうか。
それともそろそろ、ほかの都市にも捜索の網を広げるころか。
いずれにしても―――ずっと同じ場所に策もなく留まるのは、得策とは思えなかった。
そうして、溜め息。
思い切れずにいつまでも迷っているなんて、己らしくない、とも思うのだけれど。)
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にルヴィエラさんが現れました。
■ルヴィエラ > (――ふわりと、僅かに布が翻った。
足音も無く、宵闇に紛れて浮き上がった姿が、其処に在る
バックパックを見下ろして、溜息を零す娘の瞳が上向く頃
何時の間にか其処に在るローブの長い裾に、気が付けるやも知れぬ。)
―――……悩むと言う事は、考える癖が付いたという事だ。
何時かのキミよりも、随分と成長したのではないかな?
(響かせる一言は、娘が最後に聞いただろう己が声音と同じ様に
ただ、穏やかな響きを以って向けられる筈
見下ろす紅の瞳も同じ様に――娘を、こんな風に追い込んだ張本人であると言うのに)。
■リュシー > (それは我ながらなんとも悩ましげで、艶めいた溜め息、だったかもしれない。
けれど、明らかに己へと向けられた声音、そして、仰のいた瞳が捉えたその姿に、
ぎょっと目を剥いて壁に背を貼りつかせる、その瞬間の顔はたぶん、
色気とはほど遠かったのではないか、と。)
っ、―――――び、っくり、した……。
(いつのまに、だとか、さっきまで中に居なかったですか、とか、
言いたいことは色々あったのだが、―――とりあえず。
飛び出しそうに鼓動を跳ねさせた心臓を押さえこむよう、
片手でぎゅっと胸元を押さえながら)
……どうせなら、もうちょっと頭の中身も、創りかえてくれても良かったんだよ?
もとがおバカだから、いくら考えても、ロクなこと思いつけない。
(おっぱい大きくしてくれるついでに、脳みそも詰めてくれてたら、なんて、
軽口で誤魔化してみたけれども、表情はあまり明るくない。
それでも、空いている方の手でドレスの裾をちょっと摘まんでみせ)
……そういえば、これ、ありがとう。
上から下までサイズぴったりで、ちょっと怖くなったけどね。
(己が目覚めたとき、枕元に用意されていた服は、彼が手配したものだろう。
礼の言葉ひとつ素直に言えない体たらくだが、一応は、少し笑ってみせられた、だろうか。)
■ルヴィエラ > (驚いた顔は、それはそれは、悪戯好きな男の表情を愉しげに綻ばせた事だろう
とは言えローブのフードを被っているから、はっきりとは見えるのは口元位かも知れないが)
頭の中身を弄った所で、変わらないモノは変わらない。
其れに、初めから答えを出せる者など、ごく僅かだからね。
答えも出せずに悩み続ける…ごく自然な事を、キミは漸く味わっているのだよ。
(――例えば、其れは娘にとってみれば、苦味かも知れないが。
其の苦味こそを味わい、そして飲み下すのが、人間と言う生き物だ。
ドレスを摘んで向けられる言葉には、ふふ、とまた口元を笑ませ)
私が与えた身体だ、私自身が知らぬ筈が無いだろう?
何、キミの服は私が奪ってしまったからね、招いて置きながら裸で帰すのは私の主義に反する。
勿論、無礼な客人は別だが、ね。
(礼は無くとも、元はと言えば己が奪ったドレスの代わり。
気に留めるなと、ゆるり、首を横に振って見せれば――
其れから、置かれたままの荷物を僅かに見下ろして。)
――留まる理由も無いが、往く宛てもない。 ……そんな所かな?
■リュシー > (――――あ、今、コイツ笑いやがった。
一瞬だけ大変にガラの悪い言葉が頭に浮かんだものの、辛うじて飲みこむことが出来た。
要するに、今までが考えなさ過ぎたのだ、とわかってはいるが、
あらためてほかの人に言われると、少しだけ傷つくような。
けれど、―――反論は、出てこない。
ただ、そっと溜め息を吐いて肩を竦めるのみ。)
考えてばっかりじゃ、前に進めなくなるじゃないか。
ときには、とにかく動いてみた方が良いこともあるでしょ?
(もっとも、今まで考えなしに動きまわった結果が、コレ、なのだが。
それにしてもやはり、目の前の男は人間ではないのだ。
どこか超然とした物言いは―――ほんのすこし、もやっとするけれど。)
たしかに、この身体を創ったのはあん……ルヴィエラだけど。
それに、ぼくの着てたもの、全部どっかにやっちゃったのも、あんただけど……、
―――――もう、怒ってないの。
(己を「こう」したのは、そもそも己が「無礼」だったからでは、などと。
低く、囁くような声音で尋ねるも―――
足許の荷物へ彼の視線が落ちると、己もまた、そっとそれを見つめて)
いや、……そうでも、ないんだよ?
イイトシして女の子のお尻追っかけまわす息子よりは、
若くてカワイイ娘のほうが、ずっといい、って、父上は言ってたし。
うちへ戻ったらきっと、喜んで迎えてくれるだろうなぁ。
(そしてきっと早晩、どこぞの変態貴族へでも嫁に出されるのだろう。
さすがの己もそこまではわかってしまうから、戻れない。
だからと言って、ここでぶらぶらしているのも―――)
………そう言えば、あの部屋、幾らなの。
いまのぼくでも、払えるような金額なのかな。
■ルヴィエラ > (相手が何を今脳裏に過ぎらせたか、判らなくは無い。
其れでも、こう言う時は遠慮無く愉しんで見せるのが己なりの礼儀だ
でなければ、態々脅かした意味が無いのだし。
漸く、被っていたフードに手を掛けて、其の顔を晒せば
僅かに通りへと向ける視線――其の先、客を引く館の娘達の様子を見守る様に眺め。)
……時には、だ…ふふ、良く判って居る様だ。
「兎に角動いてみる」と言うのも、ある意味考えた先の結論なのだからね。
(人によっては、己が物言いは少々癇に障るらしい。
今までに何度目の前で嫌な顔をされたか、自覚は在れど直す気は無い
ふと、問われた言葉に、視線を再び娘へと向けては。)
――其の「無礼」に対する代償は、既に十分払わせただろう?
此れまでと同じ生き方を奪われ、身体と性別を奪われた。
……私の機嫌を損ねたのは確かだがね。 最早今のキミは…私にとって、顔を見知る一人の娘だ。
そうだろう、リュシー?
(――娘の事を、全く見過ごしていた訳では無い。
彼が其の姿を変えられてからの、彼の家の事情辺りにも多少聞き及んではいた。
紡がれる、今彼女を取り巻く状況の変化に、くつくつと笑いながら)
人様から金を毟るのならば、もう少し相手を選んでいるよ。
だが、もし其れが気に為るので在れば、キミに出来る事を為して、支払えば良い。
(明確な宿代は設けない。 支払い無く部屋に居ても構わない。
だが、少しでも支払う意思が在るのならば、其れは喜んで受け取ろう。
すべては、娘の意志、そして行動次第だ。
ふと、片掌が伸ばされて、其の頬へと触れるだろう。
柔く目元を親指で撫ぜ、其れから、其の顔を上向かせて。)
――今までの生き方はもう出来ないだろう、だが…其の身体は若い。
今までとは違う生き方を見つけるには、十分な筈だ。
一朝一夕で答えを出せないなら…暫くは、この館を見て過ごしてみるのは如何かな?
■リュシー > (笑いやがった、とは思ったが、さほど気にはしていない。
それよりもむしろ、気になるのはこの男が、己をどう思っているか、のほうだ。
この前は結局、気を失ってしまったし、気がついたら清潔な部屋で、
柔らかいベッドに寝かされていたけれど――――それでも。
フードを降ろした男の視線がすいと流れた先、羽振りの良さそうな客を、
巧みにその気にさせているらしき、女性の姿を一瞥してから)
……だってもう、わかっちゃったんだ。
ぼくはもう、このままなんだ、って……もとには、戻らないんだ、って。
そしたら、……考えてばっかり、いたら、
(怖くて、きっと動けなくなってしまう。
男が静かに指摘してくれたように、己は男であったころの、
ほとんど、すべてを奪われた。
それはもちろん、自業自得なのだけれど―――)
―――――、っ………
(ぞく、ん。
男が己の「名」を呼んだ、その声が耳朶を擽った瞬間、
身体の芯に甘い疼痛がひろがる。
胸元を押さえていた掌をさりげなくお腹へ滑らせ、もう一方の手も重ねて、
きゅ、と疼く子宮のうえ、あたりを押さえながら目を伏せて)
だって、でも、怒って、ないなら、……コレ、は、
………出来ることなんか、ないよ。
だから、困ってるんだ……ぼくは、本当に、なんにも……、
(この男がもう、己に怒りを憶えていない、と言うのなら、
どうしてこんなに、己の身体は熱っぽいままなのだろう。
ものを考えようとしても、身体がべつの衝動に負けそうになる。
苦しくて、恐ろしくて、―――――頬へ触れる掌にぴくん、と肩が震え、
目許をなぞられれば、伏せた睫毛がじわりと揺れた。
誘われるままに半ば仰のいて、男の紅い瞳を見つめる。
視界がわずかにぼやけているのは、きっと、己の瞳が潤んでしまっているせいだ。)
―――――だめ、だよ。
ここの、女の子たちは、……みんな、ちゃんと仕事、してるんだ。
なんにも、してないぼくは……置いてもらう、理由がない。
(きっぱりと、言い切ったつもりだったけれど―――くちびるが、震えてしまう。)
■ルヴィエラ > (覗き込むように、其の碧い瞳を見詰めて、そして微笑む
其の瞳に映る、変わった事への恐怖と、此れからへの不安
けれど、其れと同時に、間違い無く其の身に携えた儘のモノに
掌は、ゆるりと其の胸元を滑り
重ねられた娘の両掌、其の上から己が掌を重ねて――ほんの僅かに、ゆるりと圧した。)
―――……出来ないのは当然だ、今までに経験が無いのだからね。
だが、人は成長する事が出来る。 興味さえ在るのなら、料理や物作りを覚える事も出来るだろう。
勿論、キミが自ら働く、と言う事を受け入れるので在れば、だがね。
(掌が、ゆるりと縁を描き始める。 其の奥底で疼く子宮を、愛でる様に。
初めから労働力として数える筈が無い、ただ、此れから先の為に何かをしようと言う、其の心算が在るのなら。
己としては、きっと、其の応援をするつもりは在るのだと、そう確かに伝えて置こう。
けれど、其れとは別に、静かに其の身体を、片腕に抱き寄せては
其の耳元へと顔を寄せて、囁き掛けるのだ。)
――……其れでも、今を気にするのなら。
ならば、此処は娼館らしく…其の身体で、支払っても構わない。
……其れならば、キミにも出来る事、だろう?
(――其れは、免罪符足りうる言葉でも在る。
其の身体の疼きを、館に身を置く理由を、何れも満たす甘き対価
まるで、其の瞬間だけは誘惑めいて、そして、其の本性たる淫魔の在るべき姿として…誘う、か)。