2016/12/16 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にセンカさんが現れました。
センカ > 日が落ち夜を迎えた港湾都市ダイラス。
荷の積み下ろしや船の発着の賑わいを見せた日中とは異なり、夜の賑わいはどこか不健全で、どこか浮き足立っている。
そんな浮き足立った賑わいの極致がここ、ハイブラゼールかもしれない。
酒、女、賭博……おおよそ考えられる限りの娯楽が詰め込まれ、ごった煮のようになった繁華街の一角……その片隅の酒場で、女は一人、酒を楽しんでいた。

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にネリスさんが現れました。
ネリス > 夜が深まっていく中、こぢんまりとした酒場の中。
その中を滑るように歩くローブ姿。
背格好から女性であると推察できるだろうが、目深にフードを被っており見えるのは口元くらいだろう。
先に飲んでいる女性のすぐ近くまで来ると、一つ席を空けて椅子に腰掛けた。

「…水割りを。」

その紅い唇が艶かしく動き、甘ったるい声が注文を告げる。
店主はそれを聞くなり一瞬動きを止めるものの、すぐに慌てた様子で用意を始める。
…聞き惚れた、のかもしれない。

センカ > 「……おや?」

L型のカウンターと、小さなテーブルが1つあるだけの小さな酒場。大通りに面した酒場のような活気はないが、静かに酒を飲める雰囲気作りがされているこの店が、女はお気に入りだった。
その静かな空気がどこか変わったのは、ドアベルの音が小さく鳴り響き、新たな来客を告げた頃から。
静かな酒場にふわり、とどこか薄桃色の靄がたなびいたような……妙に落ち着かなくなる空気に、女は酒盃を傾ける手を止め、ちらり、と1つ向こうに座った人影に視線を向け。

ネリス > そのたなびいたようなものは錯覚か…それとも別の何かだっただろうか。
周囲で静かに飲んでいる人はあまり気づいた様子はない。

差し出される琥珀色の液体が入ったグラスを白い繊手が受け取る。
グラスに巻き付いた指はまるで何かを愛撫しているようにも見えるかもしれない。

「…こんばんは。お邪魔しますね?」

こちらを向いた女性の声と気配に、一言断りを入れた。
僅かに除く紅い唇が艶かしく動き、笑みの形へと変わる。
それから、グラスの液体を一口含むと…ほう、と一つ息を吐き出した。

センカ > 「……いや、構わぬ。たまたま今日は儂が先に居ただけの話じゃ。こちらこそ気を使わせたようですまぬな。」

此方が向けた視線を感じたのか、目深にした覆いから覗く唇が言葉を紡ぐ……その声音、グラスを受け取り酒盃を傾ける仕草、それらの振る舞いがいちいち艶かしく見え。

不意に胸がざわつき、そのざわつきがゆるゆると下に降りていきそうになるのを振り払おうと、女は酒盃を目元まで軽く掲げて挨拶に代えてから、その中身を一気に干し、新たな一杯を初老の店主に頼んで。

「ギムレット」

ネリス > 女性の言葉にふふっと笑みを浮かべ、頷いて返す。

「いい飲みっぷり。…気持ちいいほどに。」

賞賛の言葉は甘くゆるゆるとまとわりつくよう。
振り払おうとしても絡み付いてくるような甘い声音。
こちらはと言えばゆっくりと嗜むように、一口一口を味わうように飲んでいく。

「…最近は冷えますから…酒精が恋しくなりますわ。…そう思いません?」

隣の女性に、フードの下から視線を向けつつ言葉を紡ぐ。
種族に気づいた様子はなく、ただ語りかけてくるだけ。

魔力も魔術も感知できない、ただの魅力。
ただの人間であればうっとりと聞き惚れそうな程に…。

センカ > そもそもこの娯楽ならより取り見取りに選べるハイブラゼールにおいて、女が酒場を選んだのは消去法に過ぎない。
飲む、打つ、買うでいけば、失う怖さのない賭け事など論外。では買うはどうか、これも好みの相手が見つからず断念。
そうして女に残されたのは飲むという選択肢のみ……。

「……なんのなんの、がさつなだけじゃよ。お主の方こそ実に色っぽい飲み方じゃな、見惚れそうじゃわ。」

そうして足を運んだ酒場での一人酒で、思わぬ出会いが女を待っていた。残念ながら覆いでその顔立ちははっきりしないものの、声音と仕草だけで判断すれば極上の部類だろう。

「……酒だけではなく、人肌も恋しくなるときがあるがの。」

どこか思わせぶりに感じる言葉、それを耳にした女は紅の瞳を細め、黒髪を軽くかきあげながらカウンターに片肘をつき、軽く隣に身を乗り出して。

ネリス > 相手の言葉にまたふふっと笑みを浮かべる。
ゆるゆるとグラスを手繰る手つきはとても妖しく、
見ているだけでも卑猥な妄想をかき立てそうな様子。

「ふふ、光栄ですこと。」

褒め言葉にくすくすと笑みを漏らす。
ちろ、と覗く舌先はとても赤い。

「…ふふ。お誘いでしょうか?」

軽く身を乗り出せば、ふわり、とどこか心をくすぐる香りが感じられるだろう。
体臭だろうか。思わず、行為や自慰の妄想に没入してしまいそうな…。

こくり、と琥珀色の液体を飲み干してしまう。
魅惑的な紅色の唇に、その全てが飲み込まれていった。

「…河岸をかえません? 貴女とはもう少し、別の場所で楽しみたい所ですが…。」

と、誘いの言葉を口にする。