2016/07/02 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” カジノ」にアリアさんが現れました。
アリア > あの日、手持ちを失った後、宿に戻って何とか次の資金を調達出来た。
奇術師としての商売道具を担保にゴルドを借り、その日の内に倍以上の金額へと増やして返した、それだけ。
ちょっと本気を出して稼ごうと思えばこんなものだ。

そして、今は再びカジノのテーブルの一角に座っていた。
目の前に座っているのは、前に会った事のある坊ちゃんだ。
その時の仕返しのつもりだろう、それはすぐに分かった。
今、自分が賭けているものは、自分自身。
そして、その坊ちゃんが賭けているのは見た目でも相当な額だと分かる袋詰めの金だろう。
こちらが賭けれない程の金額をあえて提示してきた、その行為に頭にきて受けて立ったのだ。
勝負方法は前回と同じポーカー、一度で勝敗を決する一発勝負だ。

「あ、そうそう、その袖口に仕込んだカードは仕舞っといてな?
それ使いよったら、ぶっとばすで?」

カードが配られ、手役を確認する為に手に取り広げながら、坊ちゃんに声を掛けた。
その言葉に、坊ちゃんはぎくりとした仕草が見えた。
うちにイカサマなんて舐めくさっとる、ちょいと本場のイカサマってものを見せてやろか。
焦る坊ちゃんの姿を一瞥しながら、手元のカードをテーブルに裏にして並べた。

「ま、うちはこのままでええよ。好きなだけチェンジしーや」

その言葉に、坊ちゃんの表情は更に沈んでいく。
前の勝負の結果を思い出しているんだろう、見てて楽しい。

アリア > 伏せたカードを前にして、余裕を見せ付けるように椅子の背に凭れ掛る。
側を歩いていたボーイを呼び止め、トレイに乗せていたジュースを一杯貰う。
坊ちゃんはというと、手役が不安なのだろう、二度三度と無くチェンジをしていた。
ぱっとした表情が浮かばないところを見ると、大した手役が揃わないのは簡単に見て取れる。
その内に山札は尽き、これ以上のチェンジは無理と坊ちゃんはチェンジの手を止めた。

「やっと終わったん?そないに長々とチェンジしとったんや、よーっぽど良い役でも揃っとるんやろな?
ほな、結果発表といこか?」

心配をしていた役が、チェンジで捨てた中に入っていなかった。
それを理解しているだけに、信じたくはないが…まさか、揃っている訳がないと、言い聞かせているようにカードを握り締める。
坊ちゃんから提示された手役は…前と同じストレートフラッシュだった。

「これがデジャブってヤツやろな?」

にやーっとなんとも嫌らしい笑みを浮かべ、裏にしてあった自分の手役を表へと捲っていった。
一枚ずつ、ゆっくりと…これもまた前と同じ、ロイヤルストレートフラッシュ。
それを見た坊ちゃんは、項垂れ…ばたりとテーブルに突っ伏した。