2016/04/07 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にロザリアさんが現れました。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にクラウンさんが現れました。
ロザリア > 「むっ、あれは何であろうな?
 あちらにも大勢の人が出入りしている建物があるぞ?」

大きな通りをまるでおのぼりさんのように歩いているのは黒紅のドレスに身を包んだ吸血姫
ちゃんと耳が隠れるように髪型を少し変えているが、
それでもその容姿きょろきょろと辺りを見回す様子は目立ってしまう

従者を引き連れて…というよりもたまには賑やかな街を歩きたいという我儘を通す代わりに
執事達がクラウンをお供につけたのだった

クラウン > 「………。」

白いローブが風にはためく。この季節の海風は、やはり穏やかとは言い難い。
そのローブに身を包むのは、小さな少年。
吸血姫ロザリア=Ⅳ=キルフリートに忠誠を誓う魔神、クラウン。

「……ロザリア様、やはり場所を変えた方がよろしいのでは。
 ここは人が多すぎますし、何より……まともな店が少なすぎるかと。」

そんなことを提案しつつ、ぐいっとローブのフードを下ろす。
普段であれば、その顔には笑顔の仮面を身に着けているはずなのだが、今はそれがない。
「そのような仮面をつけていては逆に悪目立ちする」という聡明な(?)判断により、現在は仮面を取り外しているのだ。

「(………。顔がスースーして落ち着かない。)」

ロザリア > 「そうは言っても王都は旧神の加護が強すぎるではないか。
 吾の仕掛けた結界も取り払われてしまったし…
 それにこの街も来たことはなかったがなかなかの賑わいだぞ」

賑わっている方向性が若干違うのだが、
人間であった時にも見たことがないような賑やかさに少しばかり表情が明るい
ふと、顔を向けて従者のなんだか落ち着かないような表情を見ればその顔を覗き込む

「どうした?こういった賑やかな場所は苦手であったか…?」

クラウン > 「それはそうでしょうが、わざわざこのような場所に来なくとも……
 それこそ、多少は田舎臭いかも知れませんがダイラスの商店で買物をするという手もあったかと。
 ……というより、この店は……」

少し怪訝な顔で辺りを見回す。
桃色の看板、客引きの女、黄金色の外装……
否が応にも、そこが『歓楽街』であることを、暴力的なほどの勢いで視覚から訴えてくる。
こういった場所の知識は無いわけではないため、一応用途は理解しているのがそれに拍車をかけた。

「……いえ、決してそのような事は。…ですが、その。
 …ロザリア様の前以外で仮面を外すのは、慣れないもので。特に、このような衆目に晒すような形で……」

その素顔は仏頂面であった。

ロザリア > 「むっ…キルフリートの城主たるこの儂にみすぼらしい田舎で買い物をしろというのか」

覗きこむ顔がムッとした表情になる、続く言葉にはなんだそんなことかと笑い…

「良いではないか。余計に目立つ装いで歩くよりは良かろう。
 それに宵闇城の霧はそれなりに名が知れておるからな。
 それよりも、お主ちらちらとあちらの店を見ておるが、何の店なのだ?」

興味ありげにそちらに視線を向けるロザリア

クラウン > 「……左様でございますか。いえ、そういう事ならこちらとしても異論はございませんが。」

はぁ、と少し諦めたように息を吐いて、フードをぐいと下ろした。

「………。そうですね。むやみに面倒事に巻き込まれて悦ぶ趣味もございませんので。
 せめて口元だけでも隠したいところでしたが。」

そう言って目線を伏せたが、ロザリアの質問には目線を少し上げて言葉を詰まらせる。
なにせ、あの店は……おそらく、というより明らかに娼館の類なのだ。

「………あー、申し訳ありませんが存じ上げません。ええ。
 外装が派手なので少し興味を惹かれただけで。」

ロザリア > フードを下ろす様子に、陰気に見えるぞなどと小言を挟みつつ

「ほう。なるほど。
 確かに客目を引く外装をしているものだな。
 王都などではあのような建物はなかったように思える」

知らないと言えば素直にそれを信じ、
無垢な少女のような顔でその建物を見る
おそらく、というか。その表情からロザリアがその建物に興味を抱いたのは確定である

「知らぬまま、というのは何事においても良いものではない。
 よし、何を売り物としているのか行ってみようぞ」

クラウン > 「性根が陰気なもので、ええ。
 ………ちょっ……、と待ってください。ええ、ちょっと待って下さいね。」

珍しく、一瞬だけ慌てたような表情を見せるも、すぐに仏頂面に戻る。
しかし、その心の中では相当焦っていた。

「(……不味い。なんとか他のことに気を引かなければ……
  しかし、何を……?……む。)」

そこで目に止まったのは、斜向かいの一つの建物。
同じく少し派手な外観だが、目の前にある娼館と比べればいっそ地味にすら見えてしまう。
苦肉の策だった。一時凌ぎにしかならないかもしれない。しかし、そのような事を気にしている余裕はもはや無かった。

「……ロザリア様、その前に他の買い物を済ませてしまうのも吉かと。
 あそこのブティック……服屋などどうでしょうか。」

ロザリア > 言い訳にならない言い訳を聞いていると、目の前の店よりも服飾を先にと言い出す

しかし思えばロザリアはそれを当初の目的にしていたようなものである
それもそうかと頷いて

「ふむ、向こうの店も気になるが……そうだな。
 うむ、先に服屋を先に見るとしよう。
 珍しい物を売っていて無用に時間を喰って夜が明けてもつまらぬからな」

こくこく、と納得したように頷く

クラウン > その発言を聞けば、見えず聞こえない程度に息を吐く。

「(ふぅ、当座の目標は成功……
  これで珍しい物に気を取られて時間を潰してくれれば幸いなのだが……)」

そんなことを胸中で渦巻かせつつ、ロザリアの後ろについて歩くようにブティックへ向かう。

「ええ、そう致しましょう。
 どうやら見たところ、小物店やアクセサリー店などもあるようです。
 アクセサリーはともかく、小物に関しても後で覗くのも悪くはないかと。」

しかし、ここは歓楽街のブティック。
『そういう服』を売っているであろうという可能性まで、クラウンは頭を回すことが出来なかったのだった。

ロザリア > そんな従者の気苦労などは知る由もなく、
ロザリはは軽い足取りでブティックへと歩いてゆく

色とりどりの衣服
歓楽街だけあって綺羅びやかな衣装も多く目を惹いた

子供の来店…?と少し訝しげに見る店員を尻目に店の中を見物していると1つのコーナーに目がとまる

下着のようであるが形状が妙である

「……のう。
 この下着はどう身につけるのだ?肝心の部分が隠れまい」

クラウン > 「……………………………………。」

頭を抱えた。数十秒前に巻き戻れるなら全力で自分の唇を縫い合わせてやりたいところだ。
そう、ここは歓楽街のブティック…ブティックと呼べるかどうかも怪しいが…なのである。
「そういう服」を売っている可能性があると、なぜ思いを巡らせることが出来なかったのか。
自虐と自己嫌悪に陥りながらも、この状況をどう切り抜けるかを思案するが……

「………あー、それは、そう、あのですね。
 ……えー、なんと申し上げましょうか……」

生来、話術が得意な方でもない。そろそろ限界だった。

ロザリア > 「見ろ、こちらの下着もであるぞ。
 これでは下着の役割を為さぬではないか。
 人間の服屋とは妙なものを売るものであるな」

ロザリアには性知識がないわけではない
戯れと称して人間の生娘を玩具にすることもままあることである
ただし、こういった文化には今の今まで触れたことがなかった

「吾よりもお前のほうが物知りだと思うのだが、お前も知らぬのか?
 用途がわからぬでは買っても意味がないな…。
 意匠が凝らされておっても肝心の部分に穴など開いているのでは話にならぬ」

そういって首を傾げつつ手にとった下着を戻す
中途半端に無垢な吸血姫は従者の胸中だとまるでわかっていなさそうである

クラウン > 「……えぇ、そうですね。妙なものです。」

もはや誤魔化すのも諦めて成り行きに任せることにしたらしい。
しかし、ロザリア本人にそのようなプレイの知識がなかったことが幸いし、あまり深くは詮索してこなかった。
助かった、と心の底から思いつつも、仏頂面は崩さない。

「ええ、あちらの普通の服を売っている方へ戻りましょうか。あちらならドレスなども売っているかと。」

鉄面皮を顔面に貼り付けながら、なんとか誘導しようとする。
そちらにもいかがわしい服が設置されている可能性もなくはないが、少なくとも下着よりはマシだろうという判断である。

「(……………。)」
それはそれとして、男子としては身に付けた後の姿も、どうしても考えてしまうものなのであった。

ロザリア > 「ふーむ……ドレスなどは城にたくさんあるからな…。
 人間の街などともう少し気軽に歩ける服などは…この店にはあまりないのだろうか」

綺羅びやかな衣装がやはり多く、露出が多いドレスも見られる
幼な顔のロザリアには僅かに似合わない感が否めない

「のう、このような服などは…む?どうしたのだ。
 やはり男子はこういった店は退屈だったのではないか」

何か考えているような鉄面従者の顔を再び覗きこむ

クラウン > 「…普段来ているものとは趣向の違うドレスを……とも思いましたが。
 ……ええ、この店にはそういったものは置いていないようですね。」

そう言われてあたりをぐるりと見回してみるも、どれもこれも派手なものばかりだ。
むしろ、見れば見るほど社交界でブイブイ言わせられそうなドレスばかりである。
上半身の露出度が下着に近いようなドレスもあり、流石にこれを主人が着て外を出歩く、などということは従者としては全力で阻止したい。

「あ、いえ何でもございません。少し考え事をしていたものでございまして。
 退屈などということは決してございません。」

ロザリア > 「ううむ、大人用のものが多いようだ…」

当然といえば当然なのだが、わずかに不満を残しつつ

「そうであれば良いのだが、従者に不満を持たれては名折れであるからな」

ふんす、と胸を張って、再び店の散策に戻るが…
綺羅びやかなアクセサリなどは目を引くものの、やはり決め手になるようなものはない

「うーむやはりあのおかしな下着のような妙な服の売り場が広いな。
 どういった時に着込むものなのだ……よし、少し店員に聞いてまいれ」

クラウン > 「まあ、見たところ周りに子供の影もありませんので。おそらくは大人向けの服の専門なのでしょう。」

そんなことを言ってなんとかごまかしを狙う。

「ええ、お気遣いに感謝いたします。
 ……ええ、わかりまし   …………………。」

今、事実上の死刑宣告を聞いた気がする。

「…………分かりました。」

それでもまさか行かないという選択肢もなく、しぶしぶ聞きに行くのだった。