2016/01/10 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にイーリスさんが現れました。
イーリス > 不夜城と言われる一大歓楽街ハイブラゼール。
夜も更けてきたという時間帯でも、煌々と照らす明かりは昼と変わりがない。
老いも若きも、男も女も、そして身分も関係なく、嬌声を上げる者、怒号にまみれる者、さまざまな喧騒に包まれていた。
そんな喧騒の中、静寂を纏ったように一人進む人影は迷うことなく目的の酒場へ。

「相変わらず賑やかなもんだ」

やや辟易したような、ため息交じりの呟きを落とし、外の喧騒とは一線を画す寂れた…否、静かな酒場のカウンターへ。
カウンターの向こうには、凡庸とした初老の男性が一人ワイングラスを磨きながら佇んでおり、
カウンタースツールへと腰掛けるとともに安酒をオーダーする。

イーリス > 馴染みの店のため、のんびりと寛ぐ態ではあったが、徐に腰に下げていた革袋を手にする。
その中には、主に金貨が入ってはいるが、乱雑に宝石の類も入っており、その中から適当につまみ上げて、テーブルへ。
オーダーした安酒の代金にしてはかなり多いそれを見ても、主たるバーテンダーの顔色は変わらない。

「戦乱も治まって、最近どうだ?大口の船でも出る予定があるかな」

世間話でもするような、ごく自然な声色。幸い客はいないから、声のトーンを落とす必要もない。
その答えがカウンターの向こうから返ってくる前に、ことり、と麦酒が注がれたグラスが置かれた。
港周辺ならジョッキだが、ここはグラスだから、相応に客層も知れる。
グラスを置いた主は、凡庸とした表情はそのまま、手を引くのに合わせて、テーブルの上の“代金”を回収する。
その一連の所作は実に無駄がなく、慣れた仕草であった。

イーリス > 当然“代金”を支払ったのだから答えは明瞭。
近々大口の商船が出るらしい。向かう先は東方らしいが、金目のモノは勿論、人も載せるのだというから、なかなか実入りが期待できる。

「ふぅん」

そっけなく相槌を返す様は、さほど興味があるようには見えない。
さほど表情を変えることなく、グラスに手を伸ばして、一気に半分ほど喉を潤すと、ふっと息を吐いて立ち上がる。

「ご馳走さん。次来るときは、もう少し繁盛してることを祈るよ」

冗談めいた言葉を残す程度に気心の知れた仲、というところ。
ふっと表情を和らげたのち、のんびりとカウンターを離れ、ありがとうございました、との声を背で聞き。
再び喧騒包む夜の街へと消えていく…。

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」からイーリスさんが去りました。