2021/02/14 のログ
■ファンヤ・ヤント > アケローン闘技場内 控室
対面同士にある、選手らが闘技場に出向く前の場所では、装備の点検 体の柔軟 精神統一
挑戦者とベテラン 奴隷と戦士 勝敗が確定化されているメンツが織り交ざった割合がそこにはいた
メンバーは闘技場内を盛り上げる、拡声による進行役の声が響く中
武舞台の入り口で眺める者 映像から見つめる者などもいた。
ファンヤもまた、二刀を左腰に下げながら腕を組み、武舞台の様子を直接眺めている
エルフとしての、狩猟者の視力なのか、舞台の上はくっきりと眺められている。
一方的な試合と強姦がメインながら、極稀に血潮湧き踊る、決闘が湧く場。
そう言った際にはまるで未確定 賭け金も多く跳ねあがるだろうか。
「女は喰われる奴ばっかりだねー。 これ、私場違いじゃない?」
女戦士や魔術使いならまだいいほうだ
バフート行にしか見えないようなエルフや、獣人など同性の悲惨な結末
凌辱と敗北の果てを眺めては、同じく挑戦するだろう武器を携えたメンツと小話が広がる。
敢えて敗北した者の様子を眺めて買い上げるだろう者もいる中、武舞台は逃げ道がないよう、電撃柵が敷かれていた
焼け焦げ 伏せるものではない 痺れ鈍り、重くなる形成を転じさせる希望 そして一度でも当たれば奴隷は終わりを告げる絶望だ。
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場 電撃の死闘」にリコリスさんが現れました。
■リコリス > 流れが奇妙な方向に変わったのは、ファンヤの出番の数試合前からだった。
こちらから出場したのはいかにも屈強で野蛮な男の戦士、対面の控室から出たのはいかにも貧弱なエルフ。素人目にも明らかに、一方的な強姦で観客を楽しませるための試合、だったのだが…。
あろうことか、貧弱に見えたエルフ少女は華麗な格闘技で男の戦士をのしてしまったのだ。
驚愕のどよめき。運ばれる失神した男。出場した時の暗い顔とは対照的な晴れやかな笑顔で一礼する少女。
これが1試合のみであれば、稀に見る素晴らしい試合として終わったであろう。
だが、その試合だけでは無かった。対面から現れる人間、ミレー、異邦人、魔族。その全てが奴隷の女に見えた。だが彼女らは次々とこちらから出場する屈強な戦士達を叩きのめしていったのだ。
観客の驚愕の声は次第に罵声へと変わる。この悪趣味な催しに訪れた客は貧弱そうな少女が勝ち目の無い戦いに挑んで無残に犯される姿が見たいのであって、華麗に男をボコボコにする姿など見たくないのだ。
ここまであり得ない試合が続けば、賭けも悲惨なものとなっているだろう。
しかし、格闘技の心得がある者なら気付いたかもしれない。次々屈強な男を倒していく謎の少女達、彼女達の戦い方、技、動き方はどうも同じに見えると。
そうして、ついにファンヤの出番が来た。
彼女が武舞台に上がれば、対面からは異民族の装束に身を包んだ女が現れる。
「どうも、ファンヤ・ヤントさん。リコリスです」
彼女は礼儀正しく挨拶を口にする。
■ファンヤ・ヤント > 「……どういうこと?」
中性的なハスキーボイスに、敵意が混じる
貧弱なエルフ奴隷が、犯される姿が見れると思っていた
するとどうだろう、華麗且つ身軽な動きでインファイト。
弓もダガーも、真銀製の剣を使うわけでもない。
男が倒れ伏し、気絶判定による勝敗の決定
それだけならまだしも、次々と現れる女奴隷たちが勝ち続ける大番狂わせ
「どっかの奴隷買いが仕込みを済ませていたとかってある?」
『やったら後で殺られんのが目に見えてんだろうよ?』
しかし互いに仕込み以外に思い浮かばない。 戦い方の共通点がグループ仕込み
教師が同じとしか思えないやり方だったせいだ。
この海沿いに住まう者 楽しむ者なら誰もが理解する これは八百長処ではないと。
擬態による、番狂わせのようなお楽しみではない 胴元が困惑するほどの、舞台。
周囲から巻き起こる怒号 それはこの舞台は圧倒的な差の賭け率による小金を得ながら、凌辱を
偶の決闘で手に汗握る大枚叩きを行う為の場所であるからだ。
進行役がやや焦り声で、拡声アイテムを使い、武舞台の上に声を流す。
『皆さん、お静かに! お静かにお願いします!
えー……次の舞台は女性二人による舞台となります!
賭け率は互いに五分と五分! 完全なる運と見極めによって先ほどまでの金運、取り戻していただきたいところ!
今回のカードは 海賊 ファンヤ・ヤント! 対 賞金稼ぎ リコリス! です!』
胴元がどう思っているのか、今回の展開 耳の長さからわかる、エルフ系統のファンヤ
そしてアサシンを思わせる身軽な装備のリコリス 二人が舞台の上に立つと、始まりの合図の前に声を掛けられた。
この困惑の舞台 向こうはどうとも思っていないらしい。
「よろしくリコリス。」
そう言って、腰に下げた二刀が、抜かれ両腕に垂れ下がる。
黒鉄色の剣身に、糸直刃の細い刃文が、会場内の明かりで鈍く光る。
構えは、右の抜き身を肩に寄せ、左の抜き身を寝かせ、前に突き出す。
腰は低く構え、脚がそれに合わせて伸びた。
「さっきのエルフが大勝ちしたじゃん。
あれに気分悪くってさ。 終わったらヤらせてね。」
ニコッと笑みを浮かべて締めくくる。
しかし笑みとは裏腹に、攻撃的な文面は、エルフが好い目を見る。
それが大層、気に入らない。
■リコリス > ぎゃあぎゃあ、わあわあと、観客から歓声や罵声が飛び交う中でお互いに手短に挨拶を済ませる。
ファンヤは構えたが、リコリスはにやにやと笑みを浮かべながら腕を上げる気配も無い。
「さっき…?あぁ、あの試合か?なるほど。そのエルフは…」
瞬間、彼女の姿はファンヤの目の前にあった。
そう、目の前、額が引っ付きそうなほどに。
殺意など全く感じさせない動きで、彼女の懐に飛び込んだ。
そして、彼女は、見覚えのあるであろう表情で言う。
「こんな顔をしていたかしら?」
姿形はそのままながら、顔だけは数試合前のエルフのもの。
間近で見せた為、ファンヤにしか見えていないだろう。
しかし彼女はそのまま何もせず、ファンヤの攻撃を食らう前に飛びのいた。
元の場所に着地した時には、その顔は元のにやにやしたシェンヤン系の顔に戻っていた。
「まぁそういうことだ。おっと、騒ぐんじゃないぞ?どうせここの衛兵に私は捕まえられん」
そう、今までの試合、出場したのは他の選手に化けたリコリスである。
彼女の変身術は体格すら変え、変身相手と瓜二つになるのだ。
余程親しい人間でなければ見分けることは不可能であるし、奴隷にそのような存在がいるはずもない。
しかし、戦闘能力はリコリスのまま。ゆえにここに出場するような男はあっさりと倒せるのだ。
「あと私とヤりたがってるようだから言っておく。この一番美人な顔は本物だ。
一試合だけは普通に戦っていいと依頼主に言われているんでね」
自分の頬をぺちぺちと軽く叩きながら、挑発するようなまなざしで言う。
賞金稼ぎらしく、ここには金で雇われて来ているようだった。
大方今回の興行の主催者に恨みを持つ何者かが、試合をぶち壊して失敗させるために送り込んだのだろうか。
「ま、お前がノされなかったらの話だがな。今までは変装していたから素手だったが、
この試合はこちらも普通に武器を使わせてもらう。死なすようなヘマはしないから安心して倒されるといい」
言い終えた瞬間、リコリスの手から、明らかに先ほどまで所持していなかった武器が
ファンヤの額目掛け凄まじいスピードで真っ直ぐに飛んでくる。手裏剣だ!
■ファンヤ・ヤント > 衝撃
ファンヤの目の前には、憎い同胞とすら呼ぶことは唾棄に代わる相手がいた。
からかい、その面貌のまま、目の前に殺意なく 間合い詰めのみに徹したのだろう
入られた瞬間に考えるよりも先に動いた両腕。
殺 す
その二刀が両腕揃って袈裟に振り下ろされた瞬間、回避も間合い詰めの内だったのだろう
間合い外に跳び抜けたリコリスが悪い顔のまま言葉を繋いだ。
言葉が抜けていく中で、変化の術を使っていることだけは分かった。
化ける術が得意らしい。
雇い主がいることまで口に出すあたり、相当自信があるようだった。
翡翠色の瞳は、変化と分かり、本当のエルフではない。
しかし、ファンヤをイラつかせた相手と同一人物
それは確かだった。
「じゃあその時はエルフがいいなぁ。
美人さんだよ? でも、遠慮しちゃうでしょ?」
笑みを浮かべるまま、殺意は下がらない。 冷えもしない。
身体が熱くなるままに、武器を使うと宣言して見せた相手の武器。
ファンヤが扱う片刃剣と生まれは同じの、投擲武器。
回転し、真っ直ぐに向かってくる凄まじい速度。
狩猟族の視力か 同じく投擲を扱う経験か、正確性のあるそれが額の高さ。
身体が前倒しに低くなる様に、一蹴跳び。
間合いを詰めながら、次の一手が来る前に。床へ向かって二刀の交差斬りが入った。
床が抉れ、礫となってリコリスに襲う。 向かっていく飛翔体の群れ。
放った両腕が左右に振り上げられた姿勢のまま、飛翔体の背後にて斬り落とさんとする、殺意の視線。
■リコリス > 「なんだ、そんなにエルフが好きなのか?それとも誇り高きエルフ様は同族としかヤりたくないと」
殺意に満ちた斬撃をかわした後でも、リコリスは余裕の表情でファンヤを挑発する。
そして片手を顔にかざしファンヤにだけ見せるようにしながら、
その顔を先ほどとは違うエルフのものに変化させる。
「エルフなら結構ストックがあるぞ。嬉しいだろ?」
次々にリコリスの顔が変化していく。どれもこれも美しい明らかなエルフ顔。
襲い来る礫をひらりひらりとかわしながら、にこにこと微笑むエルフの顔を見せていく。
明らかに、挑発している。ファンヤの言動に何かを感じ取ったらしい。
勿論間合いは詰めさせない。背後が見えているかのように迷いなく、後ろへと下がっていく。
「姿かたちだけならちょっと見ただけで真似できるんでね…お好みのエルフに変化してあげよう」
不意に避けることも後ろに下がることもやめ、立ち止まる。
迫りくる礫に不敵に笑うその顔は、ファンヤ自身のものだった。
礫が何かにぶつかり、空中で砕ける。手裏剣、無数の手裏剣だ!
いつの間にか投げられたそれは、こちらに走り寄ってくるファンヤ目掛け一直線に襲い掛かる!
「それで仕留められるほどヤワでもないんだろう?海賊さんは」
リコリスは片手の籠手に手をやると、がしゃりと音がして中の折り畳み鉤爪が露になった。
それを構えながら、リコリスもファンヤに突っ込んでいく。
彼女が手裏剣をかわしきれば、次はリコリス自身が襲い掛かるだろう。
素早く柔軟な動きで翻弄するように、ファンヤの二刀と切り結ぶ。
■ファンヤ・ヤント > 周囲が、真面な殺し合いに怒号が歓声に代わる
エルフ アサシン 海賊 賞金首
どちらが勝てど金は得る 金は失う
しかし後に残るのは酒が美味い展開が待っている。
殺せ 倒せ エルフが勝て ナイフ投げが勝て
うるさく響く中で、互いは互いしか見ていない。
電撃柵まで追い詰めれば一撃で済んだだろう展開は、呆気無く手裏剣で砕き放つ床材の礫 弾き落とされる。
恐ろしいほどの正確性 そして震えるほどの手数の多さ
弾数どころか、その投げの速度 雇われ者の賞金首としては一級だろう。
一部を砕き、隙間は広がればそこを避けていくのだ。
性格とは違い真面目な掛け合いがそこには広がっていた。
しかし、数多のエルフの顔を見せ、ファンヤの感情に油を注ぐ
感情の火は盛大に燃え盛る中で、二刀は冷たく切っ先まで濡れ光る。
ただのエルフなら殺意だった それが混ざり者の自分自身。
エルフが、草しか食わないなどと誰が確定したか 誰が非力な弓手だとのたまったか。
二刀を携えるファンヤは、幻想のエルフを否定する。 殺意が、一面に押し出される。
翡翠色の瞳は、まるで欲深い獣の目のように濡れていた。
エルフの顔を見るたびに想起する
殺 し て や る と
投擲術と剣術が交差する。
砕くだけでは済まさず、砕いたままこちらへなお向かってきているのが手裏剣だった。
礫越しに向かう手裏剣に対し、正確無比 礫とは違いすべてがこちらへ向かってくる。
礫越しとは思わなかったものの 投擲がまた向かってくるのは想定の内。
さらに爪を備え、こちらへ向かってくるリコリス 先ほどとは真逆の追い打ち。
それをまるで飛び蜘蛛のように、両足が全身を跳ね上げた。
全身が廻り、手裏剣を避ける中で、回転するままに、二刀と爪が交差する。
弾ける火花 剣花となって一瞬散りながら、向こう側へと足を下ろす
右の一刀 歯列が噛み支えるなら、グローブに仕込んだ指ほどの幅を持つ仕込み飛針
「 シ ッ ィ !!」
左右に二度腕を振るい、その背中 頸と背骨へ向かって振るい放たれる。
■リコリス > 周囲の悪趣味な連中が、恥知らずにも賞賛の声を上げてくる。
檻の中の獣でも見ているつもりなのだろう。煩わしい。
今すぐここを抜け出て一番身なりの良さそうな観客を殺してやれば溜飲も下がろうが、
生憎そこまでは依頼されていない。
なので、リコリスはせいぜい目の前の女を怒らせて楽しむことにした。
「エルフらしい流石の身軽さ。でもそう殺意がダダ漏れだと良い弓手にはなれんね」
己の手裏剣を避け跳んだファンヤと切り結びながら、リコリスは挑発した。
彼女自身は、ここまで攻撃していながら殺意を微塵も感じさせないだろう。
まるで子供の遊びのような気の抜けようだ。
ファンヤが背後に回る。間を置かず仕込み飛針が放たれる。
一瞬足を止めたリコリス目掛け、一直線に突き進む!
そして、二本の飛針は正確に頚と背中を……すり抜けた。
「こういう飛び道具もエルフらしいな。私はいいと思うぞ」
その隣に、微動だにしないリコリスの隣に、にやにや笑いを浮かべたリコリスが立つ。
影分身。忍者の秘術の一つ。役目を終えた片方のリコリスはすぐに掻き消えた。
リコリスは走り出し、今度はファンヤの周囲をぐるぐると回る。
回るうちに、二人、四人、八人と姿が増えていく。
本人の素早い動きと、魔術的道術的な幻覚の相互作用が、本人と見間違えるような幻覚を作り出していた。
しかもご丁寧なことに、幻覚のいくつかはエルフの顔をしているし、
そのうちのいくつかはファンヤの顔だ。
「さぁてこれは避けられるかなエルフ君?」
リコリス達は、ファンヤ目掛け周囲から一斉に手裏剣を放った。
■ファンヤ・ヤント > エルフの身体か 蜘蛛の呪いか
跳び交う蜘蛛のような動きを称賛するリコリス
しかしその殺意 弓を射るには不純物だと謗るのならば叫んだ。
「―――誰か弓なんて使うかっ!」
エルフ嫌いが引き起こした、同族と呼びたくもない者らの得手する武器
二刀と飛針 蜘蛛の呪い
それで海の上で暴れ続けてきた混ざり者のエルフの拗らせだ
折り畳みの爪
強度によっては折れるかと思えば避けながらの廻り斬りでは不十分
飛針という投擲を、同じく投擲を扱う者が認めながらも突き刺さるそれは影法師
アサシンどころか、術使いも混じった業師に舌を打つ。
二刀両腕に戻すころには、周囲を囲う影法師の群れ。
火に油を注ぎ、鋭さを鈍らせようとする素振りか
性格か その仕事への姿勢
殺意と嘲笑が何度もぶつかり合う中、幻術という枠で放たれる投擲
それは王道にして厄介な代物だった
観客は、増える相手に盛り上がる なかなか見れぬ光景だと目の色を変える中で、行うことは決まっている。
全員、全部 斬ればいい。
二刀重ねる様に、右に捻られた両腕と胴体。
手裏剣すべてに重ねる様に、回転斬りが放たれ、確かな手ごたえがどこから伝わったか
回り続ける相手を、後はその方位手近から攻めればいい。
手ごたえの無い影法師と、やがて爪と二刀が重なり合うだろうか
続く忍術と二刀 萎えぬ殺意と続く嘲笑
行きつく果ては五分と五分
終り際、どちらが倒れ、犯したのかは闘技場の観客だけが知っている。
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場 電撃の死闘」からファンヤ・ヤントさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場 電撃の死闘」からリコリスさんが去りました。