2020/08/24 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にタマモさんが現れました。
タマモ > ここは港湾都市ダイラスにある、アケローン闘技場。
様々な戦いが執り行われ、様々な戦果が残され続けている。
今日もまた、何らかの試合が開催され、少女は舞台の上に立っていた。

少女が相手をしているのは、鎧を着込む一人の女性。
だが、その手に握っていただろう剣は舞台の上に落ち、ただ立ち尽くしているように見える。
その視線は、相手であろう少女へとは向けられず、どこへと向けられているものか、と言った感じだ。

「言の葉は封じられ、体の自由は奪われて、その心この場になし。
その身心に受けしは、誰に理解されるものでもなく。
しかし、延々の刻を快楽に確かに蝕まれ…
………そして、堕ちる」

流れるような、そんな言葉を少女は紡ぎ。
それに合わせ、ゆらりと片手を振り翳す。
どさり、その手の動きにつられるように、その女性も舞台の上へと倒れ込んだ。
見ている誰もが、何が起こったのか、さっぱりと理解していない。
それを理解しているのは、今倒れたばかりの、女性だけなのだ。

「ふふ…今日と言う日、忘れる事もあるまいて。
また、相手をする機会、それを得るも得られぬも、お主次第。
………まぁ、楽しみにしていよう。
ほれ、勝負ありじゃぞ?」

倒れた女性は、倒れた舞台の上で、小刻みに体を痙攣させている。
それを一瞥してから、戸惑う審判員へと視線を向け、そう伝えれば。
慌てたように指示を出し、救護班の手によって、舞台から連れ出されて行くのだった。

「目に見えぬもまた、想像を掻き立てられるものじゃろう?
真実を知りたければ、本人に後から聞けば良い。
もっとも…本人が、それを答えてくれるかは、疑問じゃがな?
まぁ、今日はそんな気分じゃ、期待なんぞしてものぅ?」

ひらひらと手を振りながら、少女は笑い、そう言って。
次なる相手が、来るか来ないか、のんびりと待つのだ。

タマモ > 少女が誘ったのは、現実とは異なる夢の空間。
そこで行われていたのは、誰の目にも映る事のない、凌辱の宴。
ある者はただ蹂躙され、ある者はただ犯され尽くし、ある者はただ嬲られ続ける。
夢とも現実とも付かぬ、そんな世界を、何度も何度も繰り返す。
それは、相手の心が強ければ強い程、長々と相手を苦しめるのだ。
………いや、悦ばせているのだろうか?

「あぁ、曇る気分を晴らすのに、これ程の場所はそうそうあるまい。
賞金は、そのついでじゃ、その点は感謝せねばならぬかのぅ?」

袖から取り出すは扇子、それを、ばさりと広げてみせて。
己の口元を隠しながら、瞳を細め、くすくすと笑う。

今日の少女は、気分が悪そうだ。
普段から、ちょくちょくとここで戦っている少女。
それを知る者達の大半は、そう思っている事だろう。

ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」に黒須さんが現れました。
黒須 > 「今日こそは…骨のあるやつがいいな…。」

(控え室から会場へと向かう黒須。
いつも通りの姿に重ねて、サングラスをかけている姿でゆったりとした足取りで会場へ。
ここでの参加はただ1つ、暇つぶしだ。
正確に言えば、師団の任務以外での訓練が欲しくなり、自身の実力維持のため、対戦相手を探したのだった。)

「さて、今日は…。…あ?」

(会場にやってくるや、相手を見る。
扇子で隠れる顔を見るも、その容姿はどこかで知っていた。
鼻を1度動かし匂いを嗅ぐと一瞬でわかった。
そのまま、相手と顔が会う距離にまで近づくとサングラスを外す。)

「…タマモか。まさか、また会うとはな…。」

(相変わらずの睨みを聞かせたポーカーフェイス。
知人の顔を見つけてはふぅっとため息を吐き、サングラスを片付ける。)

タマモ > ぴくん、少女の耳が揺れる。
対戦相手が潜る扉、その先からやって来る、相手の足音を察知したからだ。
自然と、視線はそちらへと向けば…

「…おや、誰かと思えば…
こんな場所で会うとは、奇遇なものじゃのぅ?
えーっと………まぁ、良いか」

そこから現れた人影は、見覚えのある姿だった。
扇子を口元から離し、ぱたぱたと扇ぐ。
相手の言葉に、そう返す少女なのだが…
最後に、何かを言い掛け、誤魔化した風。
まぁ、それが何であるのかは、すぐに分かる事だろうが。

黒須 > 「まさか、今日の対戦相手がお前だとはな…。」

(やれやれと言った様子で髪を掻く黒須。
最後の誤魔化しに片眉を上げるも、おそらく名前を憶えられていないのだろうと思った。
そもそも、自分から名前を名乗った覚えがないため、覚えてないのも仕方がない事だろう。)

「まぁ、良い…。
そこらのチンピラよりかは腕が動きそうだな。
それで…やるか?」

(軽く首を鳴らし、指を鳴らす。
戦闘態勢に入るが構えは作らないのが彼流の準備。
始まれば即座に入ることができるからこそ、戦えるのだ。)

タマモ > 「うん?…まぁ、そんな時も、あるものじゃろう。
事前に分かってしまっては、面白味も無い」

等と、そんな会話を普通に交わしてはいるものの。
相手は己の名前を知っていた、拙い、覚えておらん。
そんな考えが、ぐるぐると巡っていた。
表向きには、今のところ、まだ出していないが。

「………お、おぉ、そうじゃな。
やらねば、事は始まらぬ」

うむ、と頷きながら、視線は中央にいる審判員へ。
戦いの合図を、そんな意味合いだが、それは感じ取れるものだろう。
双方の様子を見比べれば、手を挙げ、戦いの開始を宣言した。

…が、少女は、そのまま、のんびりと扇子を扇いでいた。
そもそも構えがないのか、何らかの意図があるものなのか。
それは、まだ今は分からない。

ただ分かる事は、開始の合図の時に、双方の名前が出た。
そこに、目敏く反応した事だけは、理解出来るだろう。

黒須 > (審判の合図を確認すると再度相手の方を確認し。
自分の戦い方はこちらから攻めず、相手の攻撃を受けて反撃するのが一般的だった。
しかし、そうとも限らずにのんびりと過ごしている少女を見ては少しだけ様子を見た。)

「…攻めは、無いようだな…。」

(自分にしか聞こえない声で呟くと、周りが少しざわめいてきた。
それもそのはず、名前を聞けばこの状況を考えてしまう。
黒須・狼。貧民地区でかなり名前が売れていた男であるため、その戦い方もかなり話されていた。
カウンターを専門とする戦闘の彼が、相手の攻撃無しでは何もないのがわかっていたため、期待と不安が会場に溢れていた。)

「仕方ない、今日は変えるか…。」

(そう呟くと、片手を地面にくっつけ、軽く力を入れると、タマモに向かって剛速球の如くスピードで突進をする。
片手と両足の筋力を使った突進攻撃を放てば、周りは見た事無い珍しい黒須の攻撃に息をのむ。
その後、目の前で立ち止まれば、止まった勢いを使っての踵落とし。
少女と言えど手加減せずに脳天めがけて大きな足が降り落ちて来る。)

タマモ > のんびりと様子見、そう見える少女の姿。
まぁ、実際にそうなのだから、仕方無いのだが。
とは言え、そこに油断が無い事は、少女の真の戦い方を知る者のみだった。
なぜならば、その手に、扇子を携えたままだからだ。

が、相手の男の名が出た途端、妙にざわつく周囲の声。
ぴんっ、と立てる狐の耳が、その声を留めれば、軽く思案をする仕草。

「なるほどなるほど、お主、そう言ったたいぷじゃったか。
相性と言うものは、大事なものじゃのぅ?」

何から呟きを漏らせば、突っ込んで来る男の姿。
それを見遣ってはいるも、少女はまだまだ動かない。

当然だ、今の状況で、少女が動く必要はないのだから。
今のこの状況こそが、最も効果的な守りの術なのだ。
少女が手にする扇子こそが、その要。

目の前で止まれば、その勢いを使っての踵落とし。
その一撃は、どれ程のものなのか。
例え、実際に少女の脳天を砕く威力を持とうとも…その踵落としは、少女の頭部寸前で、不可視の壁に阻まれた。
魔力ではない何か、不理解な力で己の身を守った少女は、たんっ、と床を蹴って距離を置く。

「………これはこれは、なかなかの…
とは言え、妾としても、これ以上これは使えぬか。
こうした戦いに、相性に頼り勝つのは、不本意じゃ」

そう言葉を紡げば、ぱしん、と扇子を閉じる。
その扇子を袖へと戻せば、続けて、それとは違う一対の扇子が取り出され。
ゆらりと揺れ動き、少女も構えらしきものを取った。

黒須 > (踵が少女の頭めがけて振るのが自分の目でもわかる。
鍛え上げられた体すべては、目の前の減少をスローモーションの様に取られるように間で発達していたのだったから。
そのまま、当たるかと思ったが見えない壁に守られたのを感じた。
勢いだけを乗せた蹴りが跳ね返る様に軌道を変え、そのままとんぼ返り。
地面に着地し、蹴りを出そうとしていたつま先を軽く地面に叩いて整える。)

「…魔術か。チッ、厄介だな…。」

(眉間にを軽く引き寄せては睨む顔が強くなる。
しかし、さっきの壁のおかげで、足には魔力が溜まった。
これは今のうちにセーブしておくとして、体の中に納めた。)

「…あれが奴の武器か…。
確認するのも面倒だ、一気に攻めておくか。」

(相手の変えた扇子は気になった物の、確認をしてしまい延長戦に持って来るのはめんどくさかった。
だからこそ、沈めた方が早いと思い、もう一度構える。
先ほどと同じ突進を行った。
今度は体を使った真正面からの激突。
それはガードされるんは分かっていた。
だからこそ、その後の隙を狙おうと考えたのだ。
跳ね返り、距離が出来れば一度ガードを弱める、そうなれば一撃を与えれると予測を立てた。
そうなるのを考え、突進の後の行動を見過ごさずに行い、よそ通りならそのまま一撃拳を相手体に当てようとした。)

タマモ > 少女がそれを収めたのは、確認を終えた為だ。
一撃の重さは、己の手にあった扇子、神扇と呼ばれるそれで止めてよく分かった。
距離を置き、地面に着地をする男を見遣る。

「あー………いや、すまんが、妾は魔術の類は使えん。
力の源は、秘密としておくがな?」

そう伝えながら、軽く呼吸を整える。
ちなみに、言葉の通り、少女が扱うのは魔術とは違う。
その力には魔力は通っておらず、魔力を吸収する術は、意味がないと感じるはずだ。

「妾が扱うは、武術であり、舞踊である。
武芸とも言える術は、観賞するに値するものぞ?
一気に畳み掛けようなんぞ、もったいないものなんじゃがのぅ」

はふん、軽く溜息を吐きながらの言葉。
構えを取ったまま、再び突貫する男に視線は揺らがず。
激突を狙った男であるが、その動きに合わせたように、風に流れるように、少女はそれを捌く。
防ぎ弾かれた後を、と考えていたようだが、実際には受け流されただけであり。
その考えは逆に、男自身の体勢を崩す結果となるだろうか?

もしそうなれば、軽く足でも引っ掛け転ばせてやろうか。
そうでなければ、次の動きを待つように、とん、と床を再び蹴って、同じ程度の距離を取るのだ。

まぁ、獣を模する姿から見て、バランス感覚は良さそうだが。

黒須 > 「あぁ?今のは魔術じゃねぇのかよ…。」

(予想がようだが、前髪を軽く持ち上げてため息を吐くだけで終えた。
予想違いならそれでいい、わからない物を考えても仕方がないからだ。)

(結果、相手の動きは思い通りの動きにならず、自分の攻撃は流された。
受け止める壁が無いためにそのまま勢いよく通り過ぎる様になる。
けれども、それだけで慌てる程修羅場を乗り越えて来たわけではない。
通り過ぎたのであるならば、そのまま次の構えへ)

「…オラァ!」

(前かがみになり、そのまま地面に両手を付く。
前へと言った力は腕へと周り、そのまま筋力を使って足へと跳ね返した。
相手との狙いを付けると後ろ向きの足刀を放つ。
勢いの乗った足刀は刃の様に鋭い動きとなり、相手の顔面に傷を付けようとする軌道で放たれた。)

「舞踊か…面倒だな…。」

(おそらくこの足刀も跳ね返されるばかりだ。
そうなれば、外からの攻撃が通用しないのが予想できる。
外れるも当たるも、その後の行動として相手をそのまま抱きしめる様に掴むと考えた。
動けなく拘束したままなら攻撃が通じると考えれば、捕まえた後は柔軟性を活かし、そのままジャーマンスープレックスの軌道に乗せようとした。
身長差を考えた上、相手だけが攻撃を喰らうような高さにし、落とせば舞踊を活かすにも逃げさせれないだろうと思ったのだ。)

タマモ > 「む、良いではないか、その程度の事。
妾は魔術は使えぬが、お主は、その類を使えるじゃろう?
逆も然り、妾の力は妾が使え、お主には使えぬ。
互いに互い、互いの力を理解出来ぬならば、平等と言うものじゃ」

ゆらゆらと、揺れるような、舞うような動き。
そうしながら伝える言葉は、お互いに力の理解が出来ないならば、力無しで戦えば良いだろう?との含みを持っているが。
そこまでの理解足るかは、男次第である。

「おぉっと!?
まったく、女子の顔を狙うとは、躊躇の欠片もありはしない。
戦いの上では、間違った選択なんてもの、ないじゃろうがな」

屈み込むようになれば、地面に手を付く動作から、その足が顔面を狙い飛んで来る。
相変わらず、男の動きから離れぬ瞳は、その動きを捉え。
その軌道を読んだかのように、上体を後ろに逸らし、避けるのだ。
その際放つ言葉は、文句でもあるようだが、否定はせぬもので。
飛び退れば、やれやれ、と肩を竦ませてみせる。

「ふむ…身体的に、機敏さはあり、力も強く、柔軟性も高い。
しかし、剛の技に頼り過ぎる節があるか。
柔よく剛を制す、柔の技を磨けば、もっと光るじゃろう」

足刀も、いなされる、それは予想していたのだろう。
だが、その後だ。
小柄な体、掴めばどうにかなるのだと、そうとも思っていたか。
己の体に、男の手が触れた途端、唇の端をつり上げて。
そう男に言葉を掛ければ、逆に、少女の手が伸び、その男の手を掴む。
男の手は、まるで滑るように、思ったよりも掴もうとした場所よりも伸ばされて。
その勢いを、そのまま乗せて、己の体も巻き込むようにして、地面へと投げ落とすのだ。

威力自体は、多分、そこまで強い衝撃としては、与えられないだろう。
その代わり、男の掴もうとする手から逃れ、たんっ、と地面を蹴れば、綺麗な曲線を描き地面へと着地。
仕切り直しと、構えを取り直すのだった。

別の意味で、男と同じ反撃を主体にする技法、それを得意とするのだろうか?と思わせる動きの数々。
男が嫌う、長期戦になりそうな感じだが…

黒須 > 「こんな場所だ、顔だの胸だのうだうだ行っている暇はねぇんだよ…。」

(相手の文句を聞きながらも舌打ちでもしたそうなへの字になる。
すぐさま次の動きになるも相手が手を入れたことにより、うまく掴むことができなかった。
その後のスープレックスも決めるも、自分の頭がぶつかる直前に腹筋と背筋を活かして止まり、ブリッジの状態を維持する。)

「チッ、ちょこまかと動きやがるな。」

(立ち直り、通常の体勢になる。
撃ってもダメ、掴んでもダメ、そうなればかなり厄介になり、嫌な予感がしていた長期戦へと持っていかれる。)

「クソッ、めんどうだ…。」

(長期戦を嫌うのはただ体力を持っていかれるからだけなのではなく、長いと策を考え、行動するのがめんどくさくなってしまうのだ。
だからこそ、一瞬に終わらせたいと思っていたのだった。)

「…あれならどうだ…?」

(何かを思いついたか、一度ハッとなるとすぐに顔を戻す。
着地し距離を離された所を再度近寄る。
そうすると、今度は単純に相手の肩を掴まえようとする。
それを見られて避けれられても次の策を使う。
自分が進んでいた方向に足を伸ばして止まる。
狙う場所は相手の腹の部分であった。
結果的に腹に手を添えれば行えた。)

「来るものを避けて避けれるのは良いセンスだ…。
だが…距離が離れていなくて、素早い物は…どうなんだ?」

(そんな軽口を漏らすと、腹にくっつけていた手から衝撃波を飛ばそうとしていた。
彼が得意とする技の一つの発頸だ。
しかも、初めの踵落としを弾かれた威力が腕に乗り放たれたため、かなりの威力の衝撃をタマモの体に与えようとした。)

タマモ > 「じゃろうな、同じ技法を持つ同士、気持ちは分かるぞ?」

そうしておきながら、少女自身、長期戦は得意ではない。
その理由が、ほとんど男と同じなのだから、何とも言えぬものであろうか。
そして、ここからが男と少女の違いだ。

「うむ、面倒じゃのぅ…」

男の呟きに、それを返すような、少女の呟き。
そこで、何かを思い付いただろう男が、次なる動きを見せる。
何度も繰り返される、男からの攻撃。
それを見越してか、反撃に徹していた少女も、同時に動いた。

大振りの攻撃は当たらない、投げも避けられる。
ならば、次に来るのは、遠距離からの攻撃か、超接近での攻撃の二択と予想していた。
つまり、ここでの選択は、後者。

不意打ちとなろう少女の攻撃の動作は、手にした扇子を落としながら、だんっ、と地面を強く踏み締めての掌底による一撃。
あくまでも、少女は避けに徹するだろう。
そう強く思い描く程に嵌まる、落とし穴だ。
しかし、その威力もまた、決定打にはならないだろうが。
直撃して、その体を大きく後方に吹っ飛ばすだけのものなのだから。

「………疲れた」

と、ここまでの流れを見せながらも、唐突に少女の動きは止まる。
そんな言葉をぽつりと零し、落とした扇子を拾い上げ。

「よし、妾の負けじゃ!」

びしり、男の方へと指差せば、そんな宣言を放つ少女であった。

黒須 > (攻撃が通っていったが、相手には軽々と避けられてしまった。
自分の懇親の発頸も結局は紙一重と言う形で終わってしまったのだった。
また距離を取られて、面倒な状況にされると相手からの意外な一言を言われる。
それと同時に試合は終わった。
周りではブーイングかどうかは分からないが、とにかく騒がしい雰囲気になる。)

「…やっぱし、腕が鈍っているな…。」

(自分の腕を軽く動かしながら見るも、ダメージを与えられずに終わってしまったことにふぅっと息を漏らし髪を掻く。
その後、サングラスを取り出しては付け直しタマモに近寄る。)

「…お前が敗北を宣言したが…この試合は…俺の負けだ…。
ったく、貧民地区最強の名は…とっくの昔に廃れたな…。」

(やれやれと言った雰囲気で話す黒須。
自分のその名前は気に入っていたわけではないが、言われているなら維持しようとしていた。
しかし、腕が鈍ったことにより、もうその名も正しくないと思い、情けないと顔に出さずに心に出した。)

タマモ > 見た目、息を荒げている様子はない。
経緯を見ていれば、勝敗はこちらに傾いていたようにも見える。
だが、少女がその宣言をした理由、それは。

「いやいや、最初の周囲の声と、最初のお主の一撃がなければ、妾が守りに徹する事はなかった。
仕掛けようとした一撃一撃は重く、反撃に結構気を使わされてしまったものじゃ。
お陰様で、妾の集中力が切れてしもうたわ。
妾の宣言は、それがあってのものじゃぞ?」

鈍るだの、負けただの、廃れただの、言ってはいるが。
正直、本来の力を使わずとは言え、こう気を使わされた戦いは久々だったのだ。
もし、お互いに、それを行使していたら、もっと面倒な事になっていた事だろう。
それを含んだ上での、その宣言。

「まぁ、お主が負けを宣言しようと、妾も認めん。
これ以上続けられていたら、妾の負けは確実だったからのぅ。
ならば、今回は相子としようではないか?ん?」

最強云々とか、そんな名は興味は無い。
強いか弱いかなんてもの、少女からすれば、二の次だ。
戦いを、それなりに満足出来るか、出来ないか、それが重要。
そうした意味では、今回の戦いは満足した方なのだから。

ぽんぽんっ、と肩を叩けば、くるりと背を向ける。

「よし、勝者無しと言う事で、後は好きにせい。
黒須よ、せっかくじゃ、ついでに飲みに付き合え。
そんな気分じゃ、断る事はさせん」

そんな状況に、再び混乱したような審判員。
男へと、審判員へと、そう伝えれば、すたすたと歩き出す。
………男が付いて来なかったら?そこは、考えたら負けである。

黒須 > 「…よく言うな?
ま、俺も…話を聞いて喧嘩を吹っ掛けてきた奴らは、全員正面から当たって砕ける奴らばかりだからな…こう言ったのも、初めてなもんだ…。」

(カウンターや反撃を主流とした戦い方は周りから言われていた。
しかし、それも対策せずに正面から挑むのが大抵であり、今回の様に避けられてばかりの対戦は初めて出会った。)

「…ったく、めんどくせぇガキンチョだな…おい…。」

(なんというか、色んな意味で負けたと言うような気分になる。
まぁ、飲める酒があるなら貰うだけだと思い、少女の誘いにはついていくつもりだ。
その後どうなったかは二人の話であった。)

ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」からタマモさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」から黒須さんが去りました。