2020/06/13 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にタピオカさんが現れました。
タピオカ > アケローン闘技場に怒声と野次と空になったエールジョッキが飛び交っている。
血と汗と精液をたっぷり吸い込んだコロッセオの地面にひしめくのは無数の挑戦者たちだ。
ある者は力任せに突貫をし、ある者は逃げ回り、そして要領の良い者はその背後から留めの一撃を入れる。
意図的に背を向けたり膝をついたり不甲斐ない戦いをする者には観客席から容赦のない罵声とゴミが投げつけられる。

「これで3人目っ……!
まだまだ生き残りは多いなあ。
最後の1人になるまで勝てるかな、……っとぉっ!」

今宵の闘技場の趣旨はフリーフォーオールのバトロワ形式だ。
参加者を一斉に放り込み、自分以外はみんな敵。最後の1人になるまで戦わせる。勝ち残れば200万ゴルド。
敷地内には場を盛り上げるために木箱や木馬、鉄の馬車や十字架に拘束具等が配置されている。
非常にわかりやすいルールと賞金金額に惹かれ、力試しに参加した褐色肌の冒険者は今しがた、左から襲ってきた大柄な男性の膝を蹴りつけ、奪った斧の背で昏倒させたところだ。

まだ序盤戦。人数も熱気も殺気もあたりに充満している。
見れば戦意を喪失してしまったのだろう、女性の冒険者が尻もちをついている。そんな彼女の衣服がレザーアーマーごと引き破られても、誰も止める人は居ない。

軽く息を切らしながら、右手に斧。左手には拾い上げた短剣を持って次の相手を求め、戦場を駆け。

タピオカ > 考えるよりも先に身体が動いた。上半身を弓なりに反らした、その鼻先すれすれに矢が通る。矢の風切羽根の風圧すら頬に感じて、直感で回避できた運の良さに一瞬だけ感謝する。
戦場という雰囲気作りのために設置された鉄大砲の影から身の丈ほど大きな合成弓を構える傭兵らしき姿を見つけた。

自分の身の回りに遮蔽物は無い。加えて、相手との距離はそれなりにある。逃げるにしても、戦うにしても不利だ。手元には近接武器しかないし、魔法も使えない。

「でも、こういうの……ワクワクする……!」

再び射掛けてきた矢を、斧で跳ね返す。
戦うのは好きだ。逆境ならなお楽しい。
邪魔な短剣を捨てると、射手の正面に向かって一直線。獲物を攫う野の獣になって疾走する。途中で放たれたもう一撃を、地面に身を投げるようにして避けるとそこから数歩は四つん這いに走り、二足走行に戻る頃には腰の得物を抜いていた。曲刀の刀身が闘技場を不気味に照らす篝火を反射した時にはもう、真っ二つになった合成弓が地面に転がっており――。

ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」からタピオカさんが去りました。