2020/05/18 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にヴォルフさんが現れました。
■ヴォルフ > 闘技場へと続く扉が上がる。
地下へと続く暗闇の中にいる少年を、容赦のない白光が襲う瞬間だった。
それまで、地鳴りのようだった歓声が、一気に鼓膜を打ち震わせる。
眼の前、白い白い砂が広がった。
血を、映えさせるための白い砂…。
少年は、その砂の上へと踏み出すと、常のように数歩足踏みをする。サンダルの底に白い砂を擦り付けるように。
そして、手にしていたグラディウスとバックラーを置くと、掌に白砂を掬い取る…。
その白砂で手を洗うかのように。
少年は手指にも砂を擦り込んだ。
そうして、再び武器を取り少年は、物憂げに満員の観衆を見渡してゆく…。
今宵もまた、血を流せと、狂ったように叫ぶ観衆を物憂げに…。
今宵、どのような相手が立ち塞がるかも、知らされていない。
ただ少年は、その時が来るのを待つだけだ。
自由を勝ち取るための階梯の、一段となるべき相手が現れるのを…。