2020/05/09 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場闘奴鍛錬場」にヴォルフさんが現れました。
ヴォルフ > 闘技場からはまだ、観客たちの歓声が届く。
まだまだ、見世物は続いているのだろう。

その歓声を聴きながら、少年は四角く切り取られた夜空を見上げていた。
ここは、闘技場に隣接した闘奴達の鍛錬場だ。

ここのところ、少年は仕合を組まれていなかった。
身体が、鈍る。
安穏とした日々が、そのまま緊張の糸を弛緩させることを、少年は危ぶんだ。

今宵も、少年みずから武器を取り、まるで自らを虐めるかのようにして、激しい鍛錬に励んだのだった…。

そうして、粗末な腰布も下帯も取り去った姿…まったくの裸身のまま、頭から井戸の冷水を被り…四角く切り取られた夜空を見上げたのだった。

ヴォルフ > 乾いた布を手にし、少年は荒っぽく身体を拭き始めた。
滴る水滴を、荒々しく乱暴に。少年は払い、拭ってゆく。
春とはいえ、夜はまだ冷える。
夜気が少年の濡れた身体から熱を奪う。

それすら、気にした気配もなく。
無造作に、自分の身体への気遣いもなく。
少年は身支度を調えた。

下帯を締め、粗末な腰布を巻く。
そして、本身の剣よりも随分と重く、自分で作った木剣を手に、鍛錬場の塀の段差に腰かけた。

頭上、四角く切り取られた夜空を、ただ呆っと見上げるために…。

ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場闘奴鍛錬場」からヴォルフさんが去りました。