2020/03/29 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場闘奴鍛錬場」にヴォルフさんが現れました。
ヴォルフ > 寒の戻りとは、このような日を言うのだろう。
吐く息は白く凝り、肌身を刺すように冷気が忍び寄ってくる。
鉄格子を嵌められた塀を隔てた港湾都市の街路もまた、今宵はとみに人通りが減っているようにも見受けられた。
傷はもう、塞がった。
そう言い張る少年に、遂に教官も折れたのが昼のことだ。
常のように鍛錬に参加し、他の闘奴達と同様に木剣を振り、何人かの闘奴と模擬闘技も行った。
鮮烈な勝利で初戦を飾った少年は、鍛錬においても待遇が変わっていることを今日この日、初めて知ったのだ。
望めば、グラディウス以外の武器や防具を修練することが許された。
金になると、華があると見込まれた闘奴は、そう簡単に死なれてしまってはもったいない。
そしてまた、そういった闘奴が新たな闘い方を披露すれば、それだけ客は沸くことになる。
この日…初めて少年が手にした武器は、槍だった。
右手に槍、左手に丸盾。
それが、定石の設えであるという。
それを…槍を両手で使えはせぬかと、少年は思ったのだった。
試したい。
その思いに今、少年は凍てつく夜気の中に歩み出て、鍛錬用に重く重く設えられた槍を握る…。

ヴォルフ > 槍を扱き、突き出し、払い、戻す。
突く。
払う。
戻す。
基本中の基本の三動作。それを、片手ではなく両手で行うことでより速く、鋭く、強く。
確かに盾の防備は捨てることになろうが…これは、むしろ己の性にはあってはいまいか。
その感触に少年は獰猛な笑みを刷く。
そして…寒風吹きすさぶ鍛錬場に、少年はひたすら汗を散らしてゆく…。

ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場闘奴鍛錬場」からヴォルフさんが去りました。