2020/03/25 のログ
■ヴォルフ > 塀の向こうから、酔った声が少年にかけられる。
ちらり、一瞥だけを肩越しに投げた後に、少年は一切の興味もないかのように視線を再び頭上へと。
傷の痛みは、まだ強い。
それでも先刻、教官に隠れて少年は、日課としている素振りを己に強いた。
怪我などに、負けてたまるものか。
部族ではこうして身体を作ったものだと、そういう自負が少年にはあった。
おかげで、身体は熱を持ち、脂汗を滲ませている。
その、常は鋭すぎるほどに鋭い瞳も、今は若干の熱に潤んでいた…。
■ヴォルフ > いくら、熱を持った身体に心地よいからと、怪我の治らぬ身に夜風があまりよくないことは、少年にもよく弁えられていることだった。
それでも、こうして夜風を浴びて頭上の星々を見上げることは、かけがえのない自由を夢想する少年には、得難い時間であったのだった…。
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」からヴォルフさんが去りました。