2019/12/01 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にタマモさんが現れました。
タマモ > ここは港湾都市にある、アケローン闘技場。
舞台の上では、一つの試合が終わっていた。

「………ふむ」

とん、と鞘に収められた一振りの刀を、床に立て掛ける。
色彩的には地味だが、繊細な柄を施された一品だ。
誰とて見覚えの無い刀、当然だ、己の地から持ち込んだ物なのだから。

ただ、今回の試合で、この刀が抜かれた事は一度も無かった。
抜く必要がない、ではなく、抜く事が出来ないから。
それを知るのは、少女と、一部の者達だけ。

「扱いなれぬ刀とて、ここまで出来るものじゃ。
ふふんっ、なかなかの刀捌きじゃろう?ん?」

鞘に収めたまま、それで刀捌きとか言うのはどうか、疑問だが。
そんな事を、倒れた相手に言いながら、自慢気に胸を張る少女だった。
その相手は、舞台から運ばれていき、舞台の上には少女と、審判員のみとなる。

少女が参加するのは、大体は、勝ち残りで賞金が得られるものだ。
今回も同様で、次の対戦相手を待つ状況と、今なった。
その相手が、現れるか現れないかは知らないが、とりあえず、寛ぐように体の力を抜き、一休憩。

タマモ > 今回の試合は、この刀を使い勝者となる事。
そんな条件を縛りとして付け、少女は参加したのだ。

己が所持する刀、この刃は肉体を傷付けず、魂を直接斬る。
本来は悪霊や怨霊の類、それを相手にする為に扱うもの。
ただ、これで生者を相手が出来ない訳ではない。
その場合、斬られた部位に激痛を引き起こし、痛みによって狂わせ倒すものとなる。
まぁ、別の意味で厄介な武器ではあるだろう。
その性質上、その刃で通常の攻撃をいなせないのも、ある意味痛手か。

「刀を扱うならば、馬鹿鴉に一振り借りれば良かったか…」

刀を弄びながら、ぽつりと呟く。
己が式の一人であり、何本もの刀を所持している者。
もっとも、理由が理由だ、頼み方次第では、お叱りを受ける訳だが。

ともあれ、それも今更な話だ。
相手が現れれば、このまま続けるしかない。
はふん、と溜息を一つ、のんびりと空を見上げる。

タマモ > 「それにしても…」

くいっ、と刀を握り直し、とん、と肩に掛ける。
視線は、改めて相手が出場する扉、そちらへと向けて。

「せめて、普段の糸乃、その程度は欲しいのぅ。
………いや、ちと望みが高い、か?」

能力を扱わない状態、そんな普段の式の一人を思い出す。
糸を使わずとも、身体能力はそれなりに高い。
今の己のように、こうした場で戦う事があれば、同じような結果を出せるだろう。
まぁ、表舞台に立つ事自体、そもそもしないだろうが。

待ってはいるも、なかなか、相手は現れない。
今回は、これで終わり、となるだろうか?
それならそれで、賞金を貰って終わりである。

タマモ > 「今度こそ、これは妾の小遣いに…!」

結局のところ、相手は現れず終い。
少女は勝者として、賞金を受け取る事となる。
それを手に、持ってない方の手で握り拳を作り、そう呟く。
その結末は…

結局、賞金の大半は、邸宅に居る式の元へと送られるのだった。

ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」からタマモさんが去りました。