2019/08/15 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にギュンター・ホーレルヴァッハさんが現れました。
ギュンター・ホーレルヴァッハ > はてさて。どうしてこんな事になってしまったのか。
闘技場の中央。明らかに戦闘用の衣服では無い礼服を纏った少年は、深い溜息を吐き出した。

元々は、付き合いのある貴族の知り合いの親戚の遠縁の知人の従妹の兄弟である商人が主催する闘技大会に来賓として招かれていただけ。

ところが、軍政に口を出す様になった己を快く思わない他の貴族から『ホーレルヴァッハ家の嫡男殿の戦姿はさぞ映えるでしょうなあ』等というごり押しめいた挑発が始まり。

呆れ果てて帰ろうとするも、主催から『一戦だけでも何とか』と死にそうな顔で懇願されてしまい、仕方なく引き受けてしまった。
先程まで己が座っていた貴賓席で嫌味ったらしい笑顔を向ける貴族達を軽く睨みつつ、取り合えず武器にもならなさそうな錫杖を軽く振り回す。儀礼用に造られた錫杖は、魔力を宿した高価な宝石をこれでもかと埋め込んだ一品ではあるが、だからどうしたという話である。

「……まあ、王族が闘技場に参加するというのは、臣民の受けこそ良いだろうが…」

現に、観客席を埋め尽くす市民たちは興奮した様子で此方を見下ろしている。それはそれで構わないのだが、どうせ立たせるならもう少し見栄えの良い戦士なり、格闘の心得のある者の方が良いのでは無いかと思ったり。
少女然とした風貌の己では、闘技場の熱気に相応しくないのではないかと首を傾げつつ。

「…さて、傭兵か冒険者か。それとも刺客の類か。誰が現れる事やら」

未だ現れぬ対戦者を待ちながら、再び溜息を吐き出した。

ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」に黒須さんが現れました。
黒須 > (熱狂止まぬこの闘技場にて同じ異様に戦闘服姿でない男が控室に居た。
黒いズボンに黒い革ジャン、黒いYシャツに黒い帽子と全てが黒一色である男、黒須・狼。
狼を思わせる様な長髪をして、煙草を咥えては一服をしていた。)

「…さてと、いい相手なら良いが、早く帰りてぇもんだな…。」

(ここに来たのはとても簡単な理由であった。
しばらくの間、師団より魔族進軍の話を聞かず、毎日個人のみでの稽古に呆れて、そろそろ腕の立つ相手と戦いたいと思いここにやってくれば、挑戦者を求める様な広告を見つけた。
暇つぶし兼スキルチェック故に参加することとなり、試合時間となった。
煙草を握り潰して灰にして風に乗せては捨てそのまま、ゆっくりと闘技場へと参加ゲートを通る。
そうなれば、現れた挑戦者に熱気が高まり、全ての市民が参加している貴族ともう一人の一般男性に目を向ける。
めんどくさそうに後ろ髪を掻きながら登場し、そのままステージへ)

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 視線の先に現れたのは、漆黒の衣装を纏った男。
第一印象は随分と背の高い男だな、というもの。己が小柄な体躯である事を除いても、一般男性に比べれば明らかに長身と言えるだろう。
場慣れしてる様にも見える。所謂歴戦の兵士という類だろうか。

「…貴様が私の相手か。言っておくが、泥臭い戦いも、衣服が汚れる事も私は好かぬ。殴り掛かってくるのは構わぬが、余り土埃を立ててくれるなよ?」

大人と子供等というレベルでは無いが、だからといって降伏するのは性に合わないし市民の熱気に水を注す事になる。
また王族である己に配慮しろというのは、己の矜持に反する。
従って、ステージに現れた彼に向けた最初の言葉は何とも闘技場で相対する者に相応しくないものであっただろう。

「何、遠慮はいらぬ。元より武術の経験も知識も無い。貴様の満足のいく試合にしてやれるかは自信が無いが、私とて手を抜くつもりもない。身分差を厭わず、挑む事を許そう」

トン、と錫杖で地面を打ち付けながら高慢な口調と穏やかな笑みで言葉を向ける。
同時に試合開始のゴングが鳴り響き、構えを取る事無く男に視線を向けているだろう。

黒須 > 「…ゲッ、貴族かよ…。」

(対戦相手として目に見えた相手を見る。
見るからに高貴な位置に属する人間であるのがわかり、貴族であることに少し虫の悪そうな顔をする。
自分は元貧民地区出身者、故に貴族とは天と地の差のある存在、考え方も気取り方も違うために馬が合わないのは知っていた。
故に、少々厄介な相手と戦うことになると、頭を掻いてめんどくさそうにする。)

「はぁ~…ま、貴族様が言うんだったら、こっちも全力で行かせてもらうがな?
けれど、怪我しても…そこは自己責任だぜ?」

(相手が構えるのとは真逆にポケットに手を突っ込んだまま相手を睨むかのような鋭い目つきで見ながら何もせずに突っ立っている。
ある意味の挑発や侮辱のような体制であり、戦わぬ二人の間には周りの観客の熱狂的声のみが響くだけであった。)

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「貴族の道楽。剣闘士への冒涜。どの様に取って貰っても構わぬよ。ただ、そうさな。此の場を埋め尽くす市民達を満足させねばならない、という点においては、同意を得たいところではあるが」

己の地位と権力。そして財力においては絶対的な自信を持っている。しかし、それは此の場において何の意味も為さない事も、また理解していた。
だからこそ、高慢ではあっても彼を蔑む事は無い。身分の差を否定する事は無いが、それを誇示する事はしないだろう。
君臨する者として、統治する者として。彼と相対する。それは、数多の戦を経験したであろう彼に向ける賛辞であったのかも知れない。

「うむ、此処はそういう場故な。貴様が私に何をしようと、それを咎める事はせぬ。
……尤も、貴様が私の元へ辿り着ければ。の話ではあるが」

カツン、と錫杖が大地を叩く。
次の瞬間、まるで湧き出る様に現れるのは男を超える巨体。
4m程の巨体を甲冑に包み、大の大人程はあろうかという長剣を軽々と振り回し、その巨体をすっぽりと隠す様な巨大な盾を構える巨人の騎士。

「手の内を隠すつもりはない。私の得意とする魔術は召喚系統。魔力が尽きぬ限り、我が従僕が尽きる事は無い。…精々戯れると良い。観客を退屈させぬ程度にな?」

笑う様な声色が響くと同時に、その巨体に見合わぬ速度で騎士が猛然と男に襲い掛かった。