2019/08/02 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にラファルさんが現れました。
ラファル > 「とゆーわけで。 わたしだっ!!!!」

『『『『いや誰だよ!』』』』

 今宵は、貴族子女の社会見学(?)ともいえる、保護者同伴での、闘技祭り。
 基本的に殺害禁止で、剣闘士や挑戦者が己の技量を見せつけるための場である。
 魔獣とのバトル、と言っても、剣闘士が勝つことのできるレベルの魔獣が呼ばれるのだ、事故は起きるときは起きるがそれはスパイス、であろう。
 当然、今回は、事前に参加費を払っての登録する形の参加型である。
 勝ち抜けば、多額の報奨金が手に入るトーナメント方式。
 
 いまは、そのトーナメントも佳境であり、魔獣と剣闘士のバトルが白熱していたところに、幼女がどこからともなくぴょーんと表れて、ローキックで剣闘士を、回し蹴りで魔獣を倒す。
 乱入とかは日常茶飯事な闘技場ではあるが、幼女がやってきて両方とも瞬殺とか、あまり見ない光景。

 しかも、無い胸張って、堂々と私だとか言いはなつのだ、観客の反射的な突込み的な返答が響き渡る。

 そして、開催者の方面は、誰だあれは何なんだ、そういう演出入れてたか!?
 と、大慌てなのである。

 大慌てで、参加者登録の漏れがあったのか、とかそういう事務的なところの確認が始まる。
 幼女は、乱入したままのポーズのまま、待っている。

 何を?

 ――――何かを。

ラファル > しばらくして、運営の実況者からの声。
 魔道具を使い、声を大きくしてバトルとかを面白おかしく実況しているのだが。

『大変お待たせしました、ただいまの乱入者の参加登録がありました。』

 有るはずがない、有るはずないがここで、無いというと、運営の手腕の方が疑われてしまうのだ。
 なので、熟練の実況者である彼は、乱入者が、演出という形に修正するのだ。
 そして、『何者か』から、書類が手渡されたような音がする。

『えー、参加者登録書によりますと。
 名前は、ラファル・トゥルネソル、何と!ダイラスの港湾区にある、トゥルネソル商会のご令嬢だぁ!
 参加の理由が書いてあります!

 なになに……』

 飛び入り参加のはずであるのに、なぜ参加者の登録書があるのか、熟練の実況者は心に少しばかり、ヒヤッとしたものを感じながらも読み上げていくことにする。

『えー、おとーちゃんもおかーちゃんも、お出かけでいなくなって暇になったから、内緒で遊びに来た。


 らふぁるとぅるねそる、10さい。


 保護者ぁーーーー!!』


 実況の人とは思う、ちゃんと娘さんに目を光らせてくださいというか10歳の女の子を置いて仕事に行かないでください。
 いくら何でも監視不行き届きもいい所なのである、思わず絶叫してしまう実況さん。
 しかも、よくよく見てみれば、精巧にできているが、これ、幼女の手書きであるのだ。
 実況者が慌てて確認するも登録は受理されているうえに、正式に参加費も払われているらしい。

 実況は頭を抱える。
 こんな幼女に宛がえる様な剣闘士いただろうか、上手く手加減してやられた不利とかできるよなの。

 ばたばたと、運営方面は剣闘士探しから始める。

ラファル > にひー、と笑いながら、半裸の幼女は、相手を待つことにする。
 彼らは動転して居るのであろうことが目に見えてわかるのだ、だって、さっき目の前で魔獣を退治したのだが、そのことはすぽんと堕ちている模様。
 とりあえず、医療班が気絶している魔獣を回収して,檻に引っ張っていき。
 剣闘士を連れて医務室へと走っていく。
 まあ、気絶させただけだから問題はないよね、なんて走っていく彼らをひらひらと手を振って見送ることに。

『えー、すみません、登録が漏れていた選手のために、新たに試合を組みますので。
 少しお時間をいただきます、休憩時間としますので、少々お待ちください。』

 実況の人がそんなアナウンスをして。
 幼女は選手控室に引っ張られていく。
 保護者がいま、商会から出かけているし、他の家族は―――?マグメールなのである。
 なので、自己責任だという事で、試合を組むことにしたようだ。
 幼女、わくわくが止まらない模様。

ラファル > 「……あー。なんか、こう、もっと派手にしたほーが良かったかにゃ。」

 うーん、こう、BGMでも引っ提げてばばーん、的な感じとか。
 待合室でちょこんと座り、足をプラプラさせて考える幼女。
 流石にいろいろと悩んでいるらしい運営。

 そりゃそうだ、それなりに大金持ちのご令嬢が乱入してきた、しかも親に無断で。
 それに大けがさせてしまえばスポンサーが離れてしまうかもしれない。
 なので、慎重に慎重を重ねている模様。

「あ、そっか。」

 慎重を考えると、魔獣とのバトルはないと思われる。
 あー。戦ってみたかったなーとか今更悩む幼女。
 今から行って―――多分だめだろう。
 一人で気が付いて一人むくれるのであった。

ラファル > しばらくして、扉がノックされた。
 開けてみると、闘技場の受付の人であった。
 彼は、ものすごーく嫌そうに、少女にルールを説明する。
 曰く、大けがするようなことは駄目よ、殺しちゃだめよ、などなど。
 それをふんふんと聞きながら刻々頷く。

『後で、ご両親に怒ってもらうから。』

 SHOCKだ!?
 なんで、とか言おうと思ったけど言っても無駄そうな気がする。
 というか、見覚えのある顔が居るのだ。
 マグメールで家令長をしている青年の姿をとったドラゴンさん。

「あ。」

 これは終わったーとか、幼女は思う。
 帰ったらお尻ぺんぺん間違いなしだ。

 ショボーンとしながら、闘技場にでて、対戦相手を。
 しっかり伸してお家に帰るのでした―――。

ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」からラファルさんが去りました。