2019/04/17 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にシスター・マルレーンさんが現れました。
シスター・マルレーン > いい加減にしなさい。

手紙を読んだ時に思わず出た第一声がそれである。
闘技場の現地調査依頼。これはまだわかる。
教会を力が無いと見なして軽視する風潮があるので、正しき力を持ってそれを否定する副目標つきである。
しかも出場登録完了済み。

私を何だと思っているのだ。ホントに泣くぞコノヤロー。

ここ数か月でもっとも盛大にぼやきながら、渋々、本当に渋々闘技場にやってくるシスター。
人助けでもなければ真っ当な冒険者稼業でもないのだから、気力が出ないのは当然と言えば当然であるが……。

「………これでひーふー、三日目ですか。」

指折り数えながら、控室で溜息をつく。
この三日間試合が無いわけではない。なんとかかんとか、まあ負けることは無く過ごすことはできていた。
やれば何とかなっちゃうもんですね。まだ慣れないもんですけど。

シスター・マルレーン > 彼女の能力は、割と1対1に向いている。
棍はリーチがあり、ただの棍ではなくて威力はブーストされているし、
振り回せないほどに肉薄すれば、同じくブーストされたパンチが飛んでくる。

割と修行にはなるけれど、当然この闘技場に来る客層を考えればお察しの通り、下卑た言葉や罵倒が容赦なく投げつけられるわけで。

「だからって化け物は無いんじゃないですかね、化け物は。」

ちょびっと傷ついていた。
会場アナウンスでも妙な二つ名つけられるし。

シスター・マルレーン > 「さて。」

溜息をつきながら立ち上がる。
気持ちの上ではひたすら傷ついたり消耗したりが激しいところだが、ここに来てからはいつになく睡眠をしっかり取って、何時間もの瞑想に耽り、身体の調子は悪くない。

むしろ、戦いの準備には余念がない。

「今日は誰だったでしょうね。初日に倒した方でしょうか。
 それとも、………そろそろ何かいやーな相手をぶつけられそうで嫌なんですけどね。」

やれやれ、と棍を握り締めれば、くるりと身体に添えるようにして歩き始める。
血塗れシスターだとか、邪教徒の血を啜りにきたとかほんとやめてくれませんかね。

ゲートが開きながら、今日も死んだ目で入場していくシスター。

ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にブレイドさんが現れました。
ブレイド > 「さてと…」

表でアナウンスががなりたてている。
血塗れシスターの邪悪を打ちのめす棍が今日も血の雨を降らすのかーとかなんとか。
まさかこんな目立つ舞台になるとは思わなかった。
正直、ものすごく帰りたい。

『闘技場にて、とある相手と戦ってほしい』

という妙な依頼。
打ちのめせれば満額支払い、負けても半額。
報酬自体もなかなかのものであり、半額でもそれなりに懐が潤う。
相手のシスターとやらに恨みでもあるのか、その一派を嫌うものの依頼か…
それとも、そのシスターを負かすためのマッチポンプか。
勝っても負けても得をするなら、最後の考えに行き着いてしまうのだが…やだやだ、深くは考えまい。

「じゃ、いきますかね…」

控室の椅子から立ち上がると、日差しの中に現れる。
そこに見えるシスターは…はて、どこかでみたようなすがた。

シスター・マルレーン > 殴れー、殺せー、早くしろー、という大きなヤジと歓声に交じって、仕事しろー、淫売ー、今晩いくらだー、といった罵声も混じる。
名前を呼ばれれば死んだ目で片腕を上げてご挨拶をして、相手をちらと見つめ。

「………あら。」

目をぱちぱち。
こんなところで以前出会った人ともう一度出会う、なんて思いもしなかったのか、あははは、あはは、と少しだけ愛想笑いと共に顔を赤くして。

「以前お世話になりました。」

言葉と目線であいさつをする。
そう、土木工事を一人でしていたあのシスターである。
まあ土木工事を一人でしているのは割と毎日なのでアレだけど。

「ええと、今日はその、………どのような……?」

自分でも間が抜けていると思う。
あはは、はは、と笑いながら相手に要件を尋ねる。

ブレイド > まあ、この手の野次が飛ぶだろう。
こういう場所であれば。三日連続常勝のかわいい系シスターとなれば
そろそろ敗北して無様な姿が見たいと願う客層も増えるものだ。

「おう…」

同じく死んだ目。
客はの下卑た期待の応援と罵倒をうけつつも、シスターに向かってひらりと手を振る。

「あはは…まぁ、なんだ…アンタも大変だな」

挨拶を受けつつも、くるくると大型ナイフを二本
両の手に構える。
どのような…まぁ、ここで、このような形で出てきたのだから説明する必要はあまりないだろうが

「うらみはねぇっつーかやりたくねーんだけどな…顔見知りだし。
これも依頼ってやつだ。アンタと戦えだとさ」

笑う彼女にため息一つ。
まったくもってやりにくいったら。

シスター・マルレーン > 「大変さがあれから何にも変わってないんですけどむしろ増えてるんですけど。
 なんだかもうついでにあれ買ってきてレベルの気安さで依頼がくるんですけど。」

若干早口で愚痴を漏らしながら、頭をかりかりと指でかいて。
相手がナイフを構えれば、ははは、やっぱり、と渋い顔。

棍をゆっくりと構えなおす。
その棍が僅かに発光を始めれば、ピタリとも動かずにその延長線上に相手の喉。
僅かなブレもない構えを見せながら、大きく息を吐き出す。
まるでずっしりと岩がそこにあるようなピリピリとした圧を放ちつつ、じり、と少し前に出る。

「依頼ですか。
 それであれば………仕方ないですね。
 では、一つ手合わせを。
 乙女なんですから、加減してくださいね?」

なんて、ぺろ、と舌を一瞬出してウィンク一つ。
すぐに真面目な顔に戻すけれど。

ブレイド > 「冒険者以上に、シスターってもんはつれぇんだな。
シスターじゃなくてよかったぜ。アンタにゃわりぃけどな」

相手の愚痴を受け止めつつ、軽口を返す。
男なんだからブラザーだろう?
まぁ、そもそもミレーなのだから教会にバレたら吊るし上げられるのだが。

相手の構える得物が発光している。
陽光の下なお目立つ光。エンチャントってやつか。
というか、なるほど…
なめてかかる訳にはいかないか。構える前と後では威圧感が違う。

「乙女がそんなプレッシャー出すかよ…」

イメージ、イメージ…魔力を巡らせるイメージ…
足、脚、腕、手…活性化させる。イメージしろ。
つい先日に習った魔術。それによる身体の強化。
完全にものにするにはまだ修練が足りていないが…
もう少し待ってくれよと心の中で願いつつも、相手の出方を伺う。

シスター・マルレーン > 「ホントに。
 他の生き方ができるのが羨ましいところです。」

こっちも軽口を返しながら、じり、じり、とにじり寄る。
そういう意味では、所狭しと駆け回るような戦い方はしたことが無い。
ステップが鈍重というわけでもないが、それはあくまでも戦闘中の身体や足の使い方が機敏というだけ。

「………乙女ってことにしておいてくださいよ。
 化け物とか言われてるんですから。」

それでも長い棍のリーチはかなりのもの。
じりじりと制空権が足の進みと共に動いていけば、目の前の相手に近づいていく。
こうやって圧をかければ、周囲を回る様に動き始めるのが大概だが。 お互いに、ほとんど動かない。

「では。」

一回にこりと笑えば、根のくるりと回転させ、相手に向けていた部分とは反対の先端で地面を削り取り、目の前の相手に砂と石を思い切りぶちまける。
聖女? 知るかそんなもん! と言わんばかりの目つぶしがてらの喧嘩殺法。
エンチャントした棍はバターでも削るかのように地面をえぐって、砂埃を上げる。

ブレイド > 「アンタ、生きづらそうだもんな…
お人好してのはそういうもんだ」

そもそもこの魔術、実戦投入するのは初めてだし
練習のときには軽口なんて叩かないし、敵がいない。
なかなか、集中がうまくいかない。にじり寄るシスターの圧は強まるばかり。

そして、軽口の後の笑顔一つ。
それが合図とばかりに…目潰し!?

「っ!?」

砂埃に石礫、相手は目つぶしのつもりだろうが
直撃すればそれだけでも痛手になりかねない。
流石にシスターだの乙女だのの後でそんなことをしてくるとは思わず面食らってしまったが
右側に回り込むように飛び避ける。
自分でも思った以上の速度、そして跳躍。
なんとか間に合ったか?

「んなことしてりゃそうも呼ばれるだろ…っ!」

ともあれ間合いの不利がついたままでは話にならない。
一気に間を詰めるために、礫を避けた勢いそのままに彼女に向かって走り出す

シスター・マルレーン > 「そんなつもりもないんですけどねぇ。」

とほー、とため息。 戦闘中にお喋りはご法度だが、まだ余裕があるのか。
この距離での目潰しは完全に取った、と手ごたえがあったが、その距離での回避に、表情が少しだけ変わる。

想像以上の速度と身のこなし。

「ふーん…?」

口を開かずに済む言葉を発しながら、駆け寄ってくる相手に向けて棍を構えて、……先ほど構えていた突きではなく、右に、左にモーションが大きくなり過ぎぬよう振り回しながら、突進してくる相手をけん制しようとする。

余裕が消えて真顔のまま、薙ぎ払うように相手を切り倒さんと、前に、前に。

ブレイド > 流石に軽口を交えつつ戦える相手ではないか。
三日間負け無しは伊達ではあるまい。
あの距離…並の…いや、魔術による強化がなければ普通に直撃していた目潰し。
そこからわかることは
あのシスターは素の自分よりは明らかに格が上ということだ。
つまり、集中を切ればそのままえぐられた地面と同じような傷を体に刻むことになるということだ。

「(まばたきくらいさせろって…)」

コンパクトな牽制。
下手に突きを放ってこないあたり、相手も警戒しているのだろうか。
だが、こちらもそのせいでうまく近寄れない。
むしろこちらが詰められている。

かわしてばかりじゃ拉致は開かない…
受け止めるための防御姿勢。しかし自在な動きだ。相手の動きのパターンを読まねば。

シスター・マルレーン > ガチガチのプレートを着込んだ相手ならば、この程度の殴打では牽制にもなるまい。
相手がおおよそ速度勝負であると予想できるからこその、細かい動き。

無言のまま、じりじりと相手を詰める。左右に、左右に。
相手が来るとしたら棍を避けて右からか左からか。
そのいずれかに突進してくるであろうことを警戒する動きだと分かるだろう。

その目は先ほどまでとは打って変わって機械的なもの。
右にフェイントをかければ右へのけん制を、左にフェイントをかければ左へのけん制を。
素直な行動ではあるが、一気に攻め込まずにただただ、相手を追いつめるように迫ってくる。
先ほどのプレッシャーよりも、更に強い圧をかけながら、にじり、にじり。

ブレイド > 真綿で首を絞めてくるようにじわじわと圧をかけてくる。
何やってんだクソガキー!もっとつっこめー!などと、ヤジが飛んでくる。
うるさいだまれ、お前らがやってみろ。
そんなんできたらやってる。

しかし精密な動きの中にフェイントまで混ぜてくる。
戦いなれている。
しかも、速度で勝っているのだが、それを活かさせないように
まるで棍の籠に捉えるかのように。

「うそだろ…こいつ…」

いつの間にやら壁際。ゴクリと喉を鳴らす。

シスター・マルレーン > 「ホントですよ?」

ただ、ここからが難しい。
結局相手の意識を刈り取るにしろ、戦闘続行不能にさせるにしろ、強めの一撃を打ち込む必要がある。
強い一撃というのは、それだけ隙が大きく。

ゆらり、ゆらりと根を揺らし、その振れ幅をぐ、っと大きくする。
それが必殺を狙っていることはわかるだろう。
何度も何度もフェイントを重ねたのは、その布石。
今度はフェイントも何も無しに、振り下ろし気味に相手に突き出さんとする。

棍が壁に突き刺さるんじゃないかと思えるくらいのそれが、空気を切り裂く音を身に纏って。

ブレイド > 来る、それはわかる。
棍の振れ幅が大きくなる。つまり、倒せる一撃を放つつもりなのだと。
壁際に追い詰められて、速度も活かせない。
だからこそ相手に集中しなければならない。

どちらからくる
右?左?それとも…

「っ!正面!?」

まっすぐ貫くように放たれた一撃。
フェイントを予測していたせいか、回避は間に合わない。
防御はだめだ。ならば…

「っぉぉぉ!」

襲い来る棍の先端、正面から受ければナイフもろとも打ちのめされているだろうが…
受け流し気味に刃の上を滑らせて、そのまま相手に突進を敢行する

シスター・マルレーン > 「んな……っ!」

相手の速度を恐れず、ただまっすぐに突いていればもしくは刃を打ち砕くこともできたかもしれないが。チリチリと、まるで金属同士が擦れ合うような音と共に棍が壁をぐしゃ、っと壊す音が響いて。

「……し、まっ………っ!」

そのまま相手に突っ込まれれば、不利を悟ってその棍を手放し、一気に距離が肉薄する。
身体がぶつかれば、白手袋のみの空手のシスターは僅かによろめいてしまい。
そのまま全体重をかければ倒れるかもしれない。

ブレイド > こちらが防戦一方であったこともあってか
それとも軽戦士タイプという見積もりで、正面から来ると思わなかったか

なんにせよ賭けには勝った。
壁を砕く音が響けば、棍を引き戻すこともままならないはず。
手を離し、退こうとする姿が見えるが、後手では逃げ切れまい。
さらに魔術で強化された速度であれば、不格好ではあるがそのまま体当たり
体重をかけ、間合いと脚をうばう。組み伏せるように。

「はっ、あ…あぶねぇ…」

シスター・マルレーン > どさっ、と思い切り地面を滑るように仰向けに倒れれば、組み伏せられる。
いわゆるマウントポジション。

殺せ! 殴れ! 剥げ! 犯せ!
罵倒と歓声が響く中、普段なら顔を顰めそうな彼女は、じ、っと相手を見ていた。
焦りは見えるが、怯えは見えない。
相手が余裕をかまさなければ、わかるだろうか。

ただの白手袋が、僅かにぼやりと発光を始めていることに。
そして押し倒されたはずの女の目が、じ、っと、まだ喉元を狙っていることに。

「アブナイ、ですよ。」

びゅう、っと拳を突き出す。
まだこの間合いも自分の間合いだと言わんばかりの近接格闘。
聖女? 知らない子ですね。 喧嘩殺法第二弾が容赦なくブレイドを襲う。

ブレイド > 予想通り、ヤジから一転の歓声と罵倒。
だが、相手の目は死んでいるどころではない。
ここまで不利を取られれば、普通は焦り以上に感じるものはあるだろう。
このような場だ。嬲られる、犯される…そういったことに思考が行ってしまうものだ。
だが、こちらを見据えている。
何か、ある?

訝しんだ瞬間、光を帯びた拳

「なにっ!?」

マウントは保ったままであるものの、上体をあげ走る光をさける。
なんだ!?

「食えねぇな…っ!」

相手が諦めないなら仕方がない。
起こした上体を一気に相手側に倒し、むしろ相手の懐…距離をなくす。
寝技は得意というわけではないが…おそらく打撃戦、相手は相当に慣れている。

シスター・マルレーン > 「お腹を壊すでしょうねっ!」

空振りとなれば、久々に舌打ちを。
腕を引き戻して、もう一度相手のあごを砕かんとしたところで、がばりと距離を詰められる。

それこそ、抱っこをするかのような姿勢のまま。

「この、……密着とか、離れなさい、よっ!」

確かに打撃戦の慣れは抜群であり、こういった姿勢での戦闘は不得意。
その見立ては間違いがなかった。
相手の肩を掴んで、ぐぐぐ、っと引きはがすように力を籠める。
今までの圧や、精巧に組まれたものと比べると稚拙な、力任せな行動。

ブレイド > おそろしいものだ。
少しでも油断していたら、喉と顎…
潰され砕かれていただろう。容赦などまったくないあたり
聖女やシスターなんかよりも、生粋の女格闘家といった風情だ。

彼女との間合いを一気に詰めて、引き剥がされないように抱きつく。
正真正銘のゼロレンジ…これには流石に慣れていないようだ。
行動の精彩を欠いている。

「ここで離すわけにゃ…いかねぇだろっ!」

そのまま相手の脇の下に腕を通して
せめて右手を固めてしまいたいところ。
腕にも魔力を巡らせておいたことがここで効いているようだ。

シスター・マルレーン > ぁ、っぐ、っ……と、小さく声が漏れる。
相手が腕を固めようとしているのは分かる。
このまま動かなければ、あと数秒で終わってしまう。

「でぇぃっ!」

ゼロレンジであれば、今度は顔面同士をぶつけ合うようなヘッドバッド。
威力はさほどでもないだろうが、驚きは強烈なものだろう。

もしも相手の拘束が弱まるならば、逆に今度はこちらから抱き着くようにしていこうとする。
自分の胸に埋めながら、思い切り締め上げるという力任せの荒業に持っていこうと。

もし頭突きを回避できていれば、腕を固めるところまで持っていかれてしまうだろう。

ブレイド > 腕を取れば、こちらの勝利は揺るがないだろう。
彼女の技量ではそこまではいってしまえばここから逃れる術はない。
膂力で勝っていたとしても、骨格がそれを許さないのだから…

しかし、そこから頭突きを見舞ってくるというのは完全に想定外。
そこらのチンピラじゃあるまいし…まさか…だが…首の微妙な動きは感知できたのである。
それがいけない。
つまるところ顔を上げてしまった。
ぶつけるように動く彼女の顔を正面から見てしまった。

「ばかかっ!?」

こちらからの回避は間に合うまい。

シスター・マルレーン > がつんっ!
ロマンチックにゃならない衝突である。 鼻が一番最初にやられて、唇も切れて。
覚悟を決めていたわけだから、こちらは当たったことに僅かに笑う。強烈な痛みにくらっとくるけれど、それは押し殺して。

「はい♡」

馬鹿かという言葉に、可愛らしく返事を一つ。
相手を抱きしめるようにしながら、でりゃっ、と全力で自分の身体に押し付ける。
チョークと鯖折りとを混ぜたような、とりあえず無理やり締め上げてます、といった技。
ある意味隙だらけではあるものの、腕を固められる直前からと考えれば思い切り盛り返す。
後は相手のタフネスとパワー次第。

ブレイド > 「っ…!?なにっ…をっ…!」

鼻を強打した際の独特な…目の奥のしびれるような感覚。
不意打ちめいた一撃のままに抱きすくめられ、強く締め付けられる。
締め上げ、苦痛を与えてギブアップを狙うとかそういうちゃちなものではない。
柔らかな胸に強く押し付けられ、その柔軟性故に逃れることもできず
呼吸すらも阻害する。
窒息してしまう。

「んぐっ!!うーっ!!」

唸り声をあげつつもがくが、それを逃すほど甘くない。
どうすればいい、このままでは…
息が荒くなる。まずい。
相手の体に回した手…弱点を探すように這い回る。
今狙えるのは…脇腹くらいか。そこに指を食い込ませようと掴む。時間は限られている。

シスター・マルレーン > 「んひっ!」

脇腹なんてむぎゅっとされたら、さすがにくすぐったさで変な声は出る。
くすぐりやらで相手が解除を狙っているなら、必死にそれを避けるように体をよじって、よじって。

意を決したように、相手をぐっと抱きしめたまま、闘技場の地面をゴロゴロゴロッ、と転がり始める。
外から見ていればふざけているのかと思うだろうが、これも立派な攻撃。
頭を打たせ、上下が何度も入れ替わって呼吸を奪うのだから。

顔を真っ赤にしたまま、必死に転がる。
本気で脇腹なり思いっきり狙われたら、流石に力が保てない!

ブレイド > 妙な声が上がる。
身を捩り、脇腹への攻撃(?)を嫌っているのか?
ならば…とは言うものの、相手もそのままではない。

「ぐ、むー…ふー…ふぐっ!」

ゴロゴロと転がることで振りほどこうというのか、それとも呼吸を見出しスタミナを奪うためか。
なんにしても効果的。これを続けられると良くない。
相手の胸に埋まったままに荒く息を吐きだすものの、吸っても少量しか吸気できない。
苦しくなってきた。
片手ではだめか…ならば…

脇腹をさらにむにっと攻めるが、それだけではない。
今度はもう一方の手もだ。だがそこは相手が身をよじっても逃げれない箇所。
尻だ。

シスター・マルレーン > 「ひゃっ!?」

お尻をがっちりつかまれれば、思わず悲鳴があがった。
この。

この。

「ばかーーーーーっ!!!」

光り輝く拳を振り上げ、大振りな全力パンチを振りぬかんとする。
冷静だった彼女がついに冷静さを欠いての、欠いたからこその全力パンチ。

少女であれば平手打ちで済むのだろうが、彼女の平手打ちはノーガードで食らえば首から上が飛ぶ平手打ちだ。
ただし、今度は隙など全く考えない、反射的な攻撃で。

ブレイド > 尻を掴んだ瞬間、動きが止まった。
むしろ拘束すらも緩んだ。
チャンスだ。
顔を上げれば…拳を振り上げる姿。
喰らえば死ぬ。
そんな圧を感じる。だが、この距離、この状態…
思ってもいなかったが

「はっ…助かった…、ぜっ!」

密着状態での大ぶり。
先程のこちらの狙いを覚えていればできない行動だ。
拳を振るう彼女の腋に腕を通せば、一気に関節を極めてしまいに行く。

シスター・マルレーン > 「し、まっ……」

思い切り振り下ろしてから、己の未熟に気が付くが既にもう遅い。
腕をがっちり決められてしまえば、苦痛に思わず声が漏れて。

………ぽんぽん、と二回相手の膝を叩いて、ギブアップを宣言しよう。

地面と、壁と。
最後の一撃がまた地面を大きく削りながらも、一撃を決めきれなかった。

ブレイド > あぶない。
はっきりと言えば、実力そのものでは完全に向こうが上だった。
一撃でもまともに食らっていたら、無様にぶっ倒れていたのはこっちだ。
特に最後に一撃など…
自分の頭があのように削れていたと思うとゾッとする。

相手のギブアップ宣言…ジャッジがこちらの勝利をアナウンスするまでは技を解かないままで。
高らかに勝利が宣言されれば解放するだろう。

しかし、周囲はそのまま彼女を返すことをよしとするだろうか…

「はぁ…わりーな、なんか…」

シスター・マルレーン > 「いやー、負けちゃいましたね。」

手をぷらぷらとしながら、肘を押さえつつも立ち上がり。
ふー、っと吐息をつきながら壁に向かって歩けば、棍を両手で、ずるりと引き抜く。

「いいんですよ、負けたら負けたで後で叱責を食らう程度ですから。
 まあ、死なない程度に腕折られてたら、それはそれで後が困ったでしょうけれど。」

敗北したばかりだというのに、棍を金色にまた光らせて、ひゅんひゅんと振り回す。
なんだ、負けたけど文句あるのか、かかってこいや、と言わんばかりのパフォーマンスを見せ、血走った目で見つめてくる観客を威圧する。
最後にがん、っと地面をさすかのように床を突いて。ヒビを走らせ。

「とりあえず退場します?」

本当に負けたのか、ってくらいの、明るい苦笑。

ブレイド > ギブアップはとったが、勝利宣言をされる前に技を外していたら
そのまま客席まですっ飛ばされていたとも思えるほどに
敗北したにもかかわらず彼女は元気そのもの。

「正直、最後の一発がなけりゃわかんなかったよ」

結局防御にしか使わなかったナイフをくるくると回し腰の鞘に収める。
開放し、相手と談笑するこちらをみれば
何やってんだ!犯せー!ひん剥けー!だの、タマなしかてめぇー!
などといった罵詈雑言。…を黙らせるシスター威圧。

「そうだな…ま、このあとはどうなるもんかしらねーが…」

飯でも奢るぜ?と苦笑を返しつつ、健闘を称えるように拳を差し出す。

シスター・マルレーン > 「少し甘かったですかね。
 次はもう少し仕留めに行ければ………なんて負け惜しみ。」

てへ、と舌を出して声を漏らし。
………陽炎が少し見えるくらいに棍は光り輝いて、どうぞいつでも、と言わんばかりの圧。

「……どーもなりませんよ、帰ります、帰りますよ。
 別に借金抱えてここに来たわけでも無いですし、莫大な賞金をーってわけでもないですからね。
 そりゃ、この試合で足でも折られてたり、毒でも盛られてたら割と本気で危なかったかもしれないですけど。」

肩を竦めて、堂々と帰る宣言。

「いや、負けたんですから私が出すべきでしょう。 ……それで手打ちにしてもらっちゃったりとか。」

拳をこつん、とぶつけつつ、都合のいい提案をしながら歩き始める。
……ダメ?なんて、ちょっと可愛く聞いてみよう。