2018/06/12 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にアルマさんが現れました。
アルマ > 決着を伝えるアナウンスと共に歓声が響き、戦いが終わる。
ステージの上には観客が握りしめていた紙束が投げ込まれ、床に倒れ込み小刻みに痙攣する敗者の身体を医療スタッフが手慣れた様子で裏口へと運び込んでいく。

一連の様子を見届けてなお、ステージ中央に立つ勝者はどことなく満足いかない様子で、しきりに拳の握りを確かめていた。

魔力の練りは悪くない、戦闘に対するモチベーションも十分高い。

「…なんかこう…まだ足りないのよね…、気持ちに体が追いついてないというか」

既に連戦で数試合を重ね、賞金的には降りても問題ない。しかしどこか満たされない部分がステージの上に引き止め、次の相手を待つ事を選択させていた。

ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」に黒須さんが現れました。
黒須 > 「…つえぇな、あの女…」

(闘技場の観客席から酒を飲んでは眺めていた。
最後まで続ける姿を見て、ステージに立つアルマを見続けていた。
連戦を重ねてステージに彼女を見るが、その姿から物足りなさを感じた)

「…ちと、やってみるか?めんどくせぇけど…」

(観客席から立ち上がり、ステージの方へ歩みを進める。
手に持っている酒を全て飲み干し、後頭部を掻いては適当な所に瓶を置く)

「…なぁ、これ…俺が出ても良いのか?」

(近くにいたアナウンサーに聞き、アルマと一緒にステージを指さし、可能なら自分も出たいと言う)

アルマ > 突然の申し出にアナウンサーはにわかに戸惑いを見せて反射的にアリーナの特等席、今大会の主催者が座る席の方へ視線を移していた。

「ふぅん…いいわね、こういう事もなくちゃ」

目深に被ったフードの下で小さく笑い、右手でわざとらしく挑発すれば囃し立てるように観客が湧き始める。
その後、主催者から試合の許可が出るまでに時間はがかからなかった。

「さぁ、許可が出たわ。良かったわね、野良犬さん?」

黒須 > 「別に…俺が戦いたかったわけじゃねぇよ。おめぇが何だか満足そうじゃねぇから、相手をするってとこだ…」

(片手でステージに手を付け、ひょいっと軽々しくステージに乗る。その後、勝負をするため、上に着ていた革ジャンを脱ぎ捨てる。
表に出るのはさらさらと整った体毛に割れた腹筋。正しく戦う者の体をしている。)

「そいじゃ、始めるか?」

(その場で、タタン、タタンっとリズムよく飛び跳ねて体を慣らしている)

アルマ > 「あら?貴方なら私を満足させられるって事かしら。気を使ってくれるのはありがたいけど随分な自信ね」

レートの表示板の差し替え等の準備が慌ただしく行われていく中、女はステージへと飛び降りた男の身体へ視線を走らせる。
鋭そうな牙に見るからに鍛えられた腹筋、獣人特有のしなやかで軽い足運び。どこか気だるそうな態度とは裏腹に戦う事に慣れていることは容易に想像が出来た。

「……そうね、じゃあ始めましょうか––––!」

いうが否や、女の全身を覆うマントが内側から煽られてはためく。
魔力による瞬間的な肉体強化。次の瞬間には拳を構えた女は男との距離を当初の場所から半分程まで詰めていて。

黒須 > 「さあな?満足できるかは知らねぇが…努力はする」

(かなりめんどくさい、と言うか適当な男。
しかし、今までのバトルからすればこの女性は相手が誰でも関係なく全力で当たる事を理解した)

「…はえぇな」

(そう言うと、見下すように目を下にやって現れえたアルマを見る。
瞬間移動のような速度から考えて、下手にフックやアッパーなどのパンチ、または蹴りを出せば折られるか、ボディを入れられる。
そう考えれば、大きく毛むくじゃらな両腕を固めてガードの体勢を取る)

アルマ > 今までの獣人との対戦経験から言って目の前の相手がとった行動はいささか意外であった。

いくら常人を遥かに超える身体能力を持つ獣人と言えども先手を取られた状態でカウンターを完全に返すのは困難だ。
ただここまで冷静な対応をしてくるのは殆どない経験で

「フッ!…柔らかそうな体毛してる癖に堅いわね…」

1発、2発と左右の拳を入れても筋肉でガチガチに固められた防御の上では効果が薄い。
一撃で有効打を当てられる相手でないと判断して改めて距離を取ろうと後ろへ飛んだ。

黒須 > 「フッ!フッ!」

(相手の拳が来ると、何かを噴き出すように息を噴射する。
実際、ただ空気を吐いているだけである。
腕に来るダメージを伸ばすため、体の部分部分に刺激を流して痛みを和らげるつもりでやり、何とか腕のダメージは削れた。幸い、折れるまではしなかったが、少々皮膚が痛い程度だ)

「おっと…?どこへ行くんだ?」

(後ろへ飛ぶ瞬間を見計らい、拳を戻す前に片腕を掴む。
その後、自分の方へ引っ張る…ことはせずに、逆にアルマと同じ方向へ飛ぶ。
見た目的にはアルマに襲い掛かる野犬のような姿であり、一番早くにアルマの後ろへ着地する。
腕を掴んだまま、背中を反らせて着地すると、勢いを利用して自分の前にアルマを叩き付けようとする)

アルマ > バックステップを踏んだ女の眼前へ現れる黒い狼頭。

腕を掴まれた際引っ張られるたのであればすぐにそれに気づいた上で対応する手段があっただろう。しかし腕を掴みながらら自らと同じ方向へ同じ速さで飛ばれた為感知が僅かに遅れた。

「くう……っ!」

空中であらぬ方向に身体が回り振り回される感覚。
慌てて身体強化を発動するも、受け身は間に合わず女の体に砂煙を上げてステージの床にたたきつけられた。

黒須 > 「・・・。」

(地面に叩き付けた後、しばらく止まらずにすぐにステップを刻んで後ろに飛ぶ。
黒須の流儀はあくまで「護身」。自分から攻めても大したダメージを与えられないため、一度与えたらすぐに取れるように距離を作る)

「…どうした?次はどうする…?」

(挑発的声かけではなく、本心で次にどう来るのかを知ろうとする。
自分は相手を満足できる相手になる様にするため、彼女と対等。または、それ以上の能力で叩かなければいけないため、そのための作戦を考えるのであった)

アルマ > 強化の分幾分かダメージが軽減されたとは言え肺の空気が全て吐き出されるような圧力に息が詰まる。

「ぐぅっ…かはっ……あ、あら…?」

覚悟した追撃がない事を気にしながら立ち上がると、再び魔力を体に走らせ

「馬鹿にしてる…訳じゃないわね。あまりいい気分じゃないけれど」

そのまま真顔で構えれば今度は腕の回りに数個の魔力球が形成されていく。それは手の動きに合わせて矢となって獣人へと解き放たれて。

黒須 > 「おっと…?気を損ねちまったか…。」

(真顔になるアルマの姿を見て、次に来る魔力の矢を確認する。
下手に触れば何か来るかもしれないと考え、ここは避ける一本でいくかっと考える。
しかし、その場で立てば追撃などで必ず自分の体に刺さる。その為、真っすぐに前に体勢を低くして走り出す。
一匹の獣の様に走りアルマに近づいていくが)

「…チッ!」

(肩に矢が一本突き刺さる。
そのせいで体勢が崩れてアルマの前に倒れそうにある。
しかし、ただ倒れるだけでは意味が無い。
倒れる息を使って、足払い。倒れた所を下からアッパーを放つ。
真っすぐに、天高くに向けて拳を向ける)

アルマ > 不規則な軌道を描きながら飛ぶ魔力の矢を獣特有の低姿勢かつ不規則なステップにより全て潜り抜けていく。

「ならこれならッ!」

矢の不発を確信した女は地面を這うかのような低さで肉薄する男に対し一歩踏み出す。向かってくる顔面を狙った打ちおろすようなカウンター。

過度の前のめりにより姿勢の制御が困難になっている相手にこの攻撃は有効打を確信した……はずだった。

「!?」

女の視界が傾く。
足を崩された、そう認識した頃には左頰に突き上げられた拳が触れていた。

渾身のアッパーにより女の身体は浮き上がり、打ち上げられる。

黒須 > 「ッ…!追い打ちが好みか…なら、うってやらぁ!!」

(相手の先ほどの感覚から見て、勝つことを考え始めた。
打ち上げられる彼女の体。それを上で回る事を許さないかのように服を引いぱり、自分に寄せようとし、決まれば逆の腕でまたアッパーを放とうとする。)

「グッ…!!」

(肩に刺さる矢がびりびりと痛くても知ったこっちゃないっと言う具合で拳を振るう。
一度打てば打ち上げて、また寄せてはアッパーのループを繰り返そうとしている)

アルマ > 無理に引き寄せられるたびに爪が依頼に引っかかり、殴られる事で傷が広がっていく。
既にマントは首回りの一部のみを残してボロとなりその内に着用していたバトルスーツはいくつもの裂傷が刻まれていた。

(あぁ…これだ……足りなかったのはこれだ)

一心不乱の打撃で全身に拳を受けながら朦朧とした意識で女は考える。

あらゆる存在に勝てるというほど自惚れていた訳ではない。ただ年月を重ね強さを得ると同時にリスクを避ける賢しさも身につけていた。
負けない戦い、戦いを避ける立ち振る舞い。
生き延びる上ではこれ以上ない戦法であるそれはいつしかスリルや熱を奪っていたのかもしれない。

(痛くて気持ち悪くてたまらない…けど、たまにはこういうのも…悪くはないのかしらね…)

歯を食いしばり、負傷もその次で拳を突き上げる獣人の形相を横目に女は意識を手放した。

黒須 > 「おら…。おら…!おらぁ…!!」

(徐々に強くなっていくアッパーを続け、最後の一撃となる拳をアルマの頬にぶつけては、勢いを使って真上に打ち上げようとする)

「…ふぅ」

(そのまま呼吸を整えて仁王立ち。
彼女が意識を手放したのは知らずに立ち、また不満があればさらにぶつけるのみっと考え、相手の動きを見る)

アルマ > 力の抜けた肢体は地面に張り付くように勢い良くステージへと落下した。

ピクリとも動かないその身体にに観客は沈黙し、しかし次の瞬間試合終了を告げる音と共に観客席が爆発したかのような盛り上がりを見せる。

黒須 > 「はぁ…。はぁ…。つっかれたぁ…。」

(久しぶりにした激しい運動により体が疲労感を覚え、体からもどっぷり汗が涌き出る。
動かなくなったアルマを見て、担ぐ)

「…医務室はどこだ…?連れていく…」

(近くにいた係員の様な人間に話しかけ、アルマを連れていく。
医務室にあるベットに寝かせれば、少し離れた所で地べたに座り、持ってきた革ジャンのポケットからタバコを取り出してくわえて蒸かす)