2017/08/17 のログ
■ガリア > 普通? 普通なァ…、……ま、良いや、暇潰しにはなる…と、良いなァ?
(――己にとっても、相手にとっても。 実際最初に目にした感想は禄でもなかったが
何時ぞや公園でこんにゃくぶつけられた辺りの記憶が鮮明なのだから仕方ない筈だ
それでも、王都にいた時と今とでは、状況は違う。 周囲の観客達は戦いを望み
そして、何よりもこんな処に訪れた理由は共に同じ筈だ
先刻の条件、全く聞いていなかった己は、僅か片眉跳ね上げて其れを聞くけれど
為るほどね、と、特段反応は示す事無く、了解だ、と頷き返して。)
―――……んじゃ、号令宜しく。
(無駄口は要らぬ、と、最後に告げたのは、開始の合図を求める物
審判員が其れに頷き、開始の合図を大きく響かせた、其の瞬間
――一足飛びで、娘の懐まで一気に踏み込めば
其の腹の当たり目掛けて掌底を突き出し、一撃で仕留めようとするだろう
無論、マトモに当てることが叶えば、だが――)
■タマモ > 「少なくとも、ここで会えた者達の中では…良い暇潰しとなるじゃろう、きっとな?」
疑問形となる言葉を掛けるも、それは違いないとの確信は持っていた。
いつものように、それは何となく…だらかではなく、相手の雰囲気で分かる。
手にする扇子で口元を覆いながら、開いていた唐傘をゆっくりと閉じた。
さて、余計な事を考えるのは、止めとしておこう。
審判員の言伝が終わり、号令を求める男の言葉、そして…
「………やはり、妾の思った通りじゃ…嬉しいぞ?」
開始の合図と共に、目の前にまで距離を一気に詰めた男。
ぽつりと呟けば、その動きを捉える瞳が下へと向く。
己の腹部へと突き出される掌底、ゆらりと少女の姿が緩やかに揺れ、唐傘の胴の部分が同時に男の腕に流れるように添えられた。
突き出す腕の勢いを殺す事はせず、僅かに外側へと押す、ただそれだけ。
掌底の当たり所をずらし、紙一重でそれを避けた。
そのままの動きで、数歩の距離を置いて。
■ガリア > (――例えば。 此れが王都の辺りで暴れている程度のゴロツキ程度で在れば
間違い無く一撃で暫くオネンネにさせる程度の勢いは篭めた
ただ、其れも当たらなければ何の意味も無い事、槍の如く突き出した其の掌を
僅かな力で逸らされたなら、其の掌は甲斐なく空を切る事となる
数歩分、距離を置いて離れる姿を視線で追えば、片足で突撃の勢いを留め
そのまま、相手の着地直後を狙うかに方向転換し、地面へと片掌を付いて支えとしては)
―――……っら、よッ!!
(――右脚一閃、敢行するは、水面蹴りによる足払い
傘では対処し辛いと判断した足元への仕掛けが、当たれば僥倖
もし当たらずとも、相手のバランスを多少なりと崩せれば万々歳と言った所で)
■タマモ > 突きを避ければ、次は何が来るのか。
それを考えながら、数歩置いた距離で男の動きを見詰め続ける視線はそのままで。
その視線の中で身を低くする相手に、次の攻撃は下を狙うものだろうと予想する。
相手の動きを視界の中に捉え続ければ、それなりに予想は立つものだ。
「ふふ…」
考えてみれば、いつもは開始直後に尻尾の一振りで終わってしまう。
きっと、そんな状況下であろうと、この男はそれを避けてきた事だろう。
扇子に隠れた下で、唇が笑みの形を浮かべた。
とん、と地面を蹴って地を薙ぐ相手の脚を、後方に軽く飛びながら避ける。
そうしながら、唐傘を持つ手が、それを軽く斜め下へと向けさせて。
■ガリア > (――脚に感触は――ない。
掠りもしなかったか、と残念がるよりも、口元には愉快げな笑みを浮かべ
再び視線を娘の方へと向ければ、次の攻め手を考える段
真っ直ぐ最短距離を詰めるか、其れとも横から回り込むか
ひらりひらりと、蝶の様に舞う相手を追い詰めるのは厄介なモノだ
体制を最低限整え、しゃがみ込んだままで狙い定めれば――)
――――っとォ…!
(追撃――否、其れに移る前に、見えたのは相手の動き
手にしている獲物が動く様に、何か仕掛けて来るのかと反射的に制動掛けては)
――…何て獲物だァ、其れよ…ッ!
(左腕で、傘の先端を大きく払いのけようとする動作は、届くかどうか
叶えば、更に一歩踏み込んで、其の二の腕辺りへ手刀を放たんとする、が
其の余裕が在るかは、きっと娘の仕掛け次第と為るだろうか)。
■タマモ > 男は肉弾戦を得意としている様子、この足払いを避けて、次にくるのは何だろうか?
次々に思考を巡らせるも、己が身は軽く地面から浮いている。
予想では、立て続けに連撃でもくるのではと、そう思い、それを逸らそうと唐傘を前に立てていたが…
「む…違えたか…」
連撃はこない、男は次の動きに制動を掛ける。その動きにぽつりと言葉を洩らす。
とん、と地面に足を着き、口元を隠す扇子がゆっくりと下げられる。
「おや、ただの傘じゃが…見た事はないか?」
いや、見た事は間違いなくあるだろうが、あえて問うてみた。
問いと共に、払い除けようとする腕の動きに合わせ、すっと唐傘は外側へと流れ、するりと円を描くように、手前へと戻そうとする。
…が、次の踏み込みからの手刀の動きには、唐傘は間に合わない。
しかし、その手刀の動きは、唐傘を持つ腕を狙っているもの。
ぱっと唐傘から手を離し、唐傘を持つ重みを消す。
そのまま、くるりと身を横向きに転じさせ、腕を狙う手刀を身を引くようにして避けてみせた。
手を離し地面へと落ちる唐傘を、途中でぱしんと手に取って、やはり数歩置いた場所へと引いてゆく。
■ガリア > (仕掛けは――無い、ならば受け流す為の動作か
読み違えは御互い様、但し多少リズムを狂わせたとすれば分は此方に
放つ手刀は、致命的な痛手こそ負わせられずとも
「一撃当てる」と言う相手の条件を、先ずは越え様と動く物か
――ただ、其れも敢え無く空を切る
戦いの最中において躊躇無く獲物を手放すのは
獲物への愛着の有無に関わらず、難しい物
ひらりと、また、舞を舞うかに身を翻し
一度手放した傘すらも回収して下がる姿を見れば)
―――……いんや、無い訳じゃないがね。
態々こんなトコに持ち込んで来るんだし、何か仕込んでるのかと思っただけだァ。
(傘自体は知っている、知ってはいるが、武器として扱う輩は多くは無い
唯の気まぐれで傘を手にしていると言うのなら、ただ己が深読みしただけだが
追撃を止め、一度距離を測り、様子を伺いながら、相手を中心として、ゆっくりと回り込む様に歩みを進め)
―――……で、此れは俺が当てるだけのゲームで、御前からは何もなしか?
もしそうなら、遠慮無く攻め込ませて貰うんだけどよォ。
(一度、軽口めいて紡ぐ言葉は、唯の戯言だ
馬鹿の一つ覚えみたいに真っ直ぐ突っ込んでも、恐らくはいなされるだけだろう
一撃、一撃当てるならば、策を練る必要が在る――ならばこの場で出来る事は
――ふと、転がっていた石を軽く足先で跳ね上げては、手に取る
其れを、軽く掌の中で弄んでは、相手に向けて思い切り振り被り――
実際投げずに、投げる振りを――フェイント染みて)。
■タマモ > さて、距離は置いたが、また男が突っ込んできたら手を出す余裕がなさそうだ。
さすがに防戦一方と言うのも、余り気分の良いものではないが…さてはて。
「まぁ、少し考えればそうじゃろうな…?
確かに仕掛けの一つはしてある、ご名答じゃ。
後は、そうじゃのぅ…そうそう壊れぬ、その程度か?」
うん、男からの言葉は、当然の事だろうと思う。
なので、嘘を付くのも不要と、さらりと答えてやる。
…続く言葉、動きに、やっと男の手が一度止まったな、と。
「………いいや?単に、妾の攻める間が無かっただけじゃぞ?
手を止めてくれたのは、妾としては助かったのじゃ。
こうして…やっと動けるからのぅ?」
距離を測り近付かないのを見れば、左上から右下に、右上から左下に、振り払うかのように唐傘を振ってみせる。
だが、二度目の振り払いをした時に、僅かに唐傘が揺れるような動き。
男が、足元の石を蹴り上げた、その辺りのタイミングだろう。
こちらをしっかりと見ているならば、その振り払った唐傘から、何本かの串が男に向かい飛ばされたのが見えるか。
次の瞬間、今度は少女が動く。
その唐傘の動きに合わせたように、先の男の動きのように、一気に距離を詰める動き。
石を投げる振りをする動きに合わせ、くるりと寸前で身を翻し、男を狙い唐傘が薙ぎ払われた。
■ガリア > 丈夫に作ってある、てか? なら、やっぱりフツーの傘じゃあ無さそうだなァ。
(成る程、ならば唯の戯れではなく矢張り立派な「獲物」で在る。
そう認識を改めては、さて、戦いの最中に視線を外す程愚かでも無い
流石に、相手が傘を振るう其の動きから、暗器が射出されるとは少々予想外だった、が
見えていれば対応は変わる、途中までフェイントの心算で振るっていた腕を
僅かに手首のスナップだけ強めて、石を本当に投擲し――)
―――なぁる程、確かに。 そいつは俺の判断ミスだなァ…ッ!
(放られる石が、串の一本を潰す
そうして、もう一本を左掌で叩き落せば、残りを回避しようと試み――
其処に合わせ、振るわれる唐傘の軌道が、寸前に迫る
薙ぎ払いから後ろに下がれば串が来る、左右に避けるのは間に合わぬ
上へと飛べばどちらも避けられるが、次に良い的と為るだろう
ならば、いっそ険しい道を行くのが活路――即ち、最良の判断は
串の軌道から僅かに身体をずらし、そして、奮われる唐傘の為に脇腹を空ける
そして、胴体にて其の一撃を受け止め、思い切り踏ん張っては
さて、相手の臀力次第では、吹き飛ぶ羽目になるやも知れぬが
傘の部分でも一瞬捉える事が出来れば、其の瞬間、其の胴体へとカウンター気味に
中段蹴りを叩き込んで、相打ちを狙おうとする、か)。
■タマモ > 「ふむ…正確には、妾の力で壊れぬようにしてある、じゃな。
お主に分かり易く言うならば、魔法製?と言った感じじゃろうか?
まぁ、魔法とは少々違うがのぅ」
ふふんっ、とどこか自慢気に言いながらも、いつもとは違い油断はしない。
と、一本でも当たれば良いのだが、と飛ばした串は、見事に避けられた。
だが、次の男の行動は少々こちらの威力を甘く見積もっていと言えるだろう。
薙ぎ払う唐傘には、ただ仕込みがあるだけではないのだ。
確かに壊れなくする為でもあるが、己が力を通し易くする意味でも、妖力が込められている。
その威力自体は低いが、巨体を持つ魔物さえも吹き飛ばす程の衝撃で男を跳ね飛ばすだろう。
そう、ダメージよりも相手の体勢を崩す、それが目的の攻撃。
「とは言え…さすがは…」
むぅ、と唸りながら、少女は呟く。
男のカウンターを狙った中段蹴りは、本来の威力は発揮していなかった。
ただし、少女の着物の帯を留める紐の一本が切れ、垂れ下がっている。
男が狙う、一撃が、掠めたとは言え当たったという証拠だ。
■ガリア > あーはァ、魔法製、なァ…ッ!
(なんとなくは納得した、詰りはそう言う力で補強してあるのだろう
ならば物理的に如何こう、と言うのは中々難しくなる
実際、現実問題として――軋む、脇腹
其の見た目から放たれる膂力は、推測の遥かに上を行き
蹴りを放つ其の体勢ごと強引に吹っ飛ばされては、地面を滑り転がる
象に体当たりでも食らったかのような感覚は、中々体験出来る物でも無い
――戦場に出て居なければ、だが。)
――――っっっってェ…! うお、なんつー馬鹿力してやがる…!
(吹き飛ばされ、舞台上から落とされる寸前で、立て直す態勢
砂煙と、脇腹の鈍痛に若干咳き込みながらも、まだ倒れはせずに其処に立つ
背骨が歪んじゃいないだろうかと、軽く腕を回したりしながら確かめては
――けれど、先刻には見せなかった類の笑みを口元に浮かべて、娘の方を見据え様。)
―――……だーいぶ不恰好で魅せられたモンじゃねーが…。
……一発にァ、数えて貰えんのか?
(再び、歩いて距離を詰める。 まだ、鈍痛は残った儘だが、構わない
足先には、微かなれど、確かな感触が残るのだから――これで条件は達しただろう、と
実際は、「一撃当てるまで手加減する」と言う意味合いなのだから
一撃当てた今、寧ろ不利になるやも知れぬのだけれど、そんな事はお構いなし
寧ろ、其れこそを望むかのように、娘の前で今一度、拳と拳を合わせて見せよう
――来いよ、と、言いたげに)。
■タマモ > 「おぉ、納得してくれたようじゃな、それは良かった」
これで納得して貰えなかったら、もう説明のしようがない。
なので、男の言葉に満足気に返す。
それはさておき、男を吹き飛ばしたは良いのだが…
「妾はか弱い女子じゃ、妾自身の腕に馬鹿力なんぞはないぞ?
妾の持つ力を、これを通してお主に当てただけじゃ。
じゃが、まぁ…見事、いつもの力は使っておらんとは言え、妾にお主から当てたのじゃからのぅ」
唐傘を出した時のように、ぽんっと消すと、解けた紐を結び直す。
その手を袖の中に入れれば、中からもう一本、別の扇子を取り出した。
勘の優れた相手ならば、途端に嫌な予感を感じるだろう。
「お主の望みは、今の状態とはいえ、妾の全力じゃろう?
妾から出した条件じゃ、ならば…叶えるのが道理。
現代が九尾狐の力の一端、体験させてやろうではないか」
その言葉と共に、ゆらりと九本の尻尾が揺れ動く。
向けられる瞳がすぅっと細められ、その瞳の輝きの赤味が僅かに色濃くなる。
これもまた直感の優れた相手ならば感じられるのは、膨らんでくる威圧感か。
「では、期待に応えよう」
その言葉の共に、九本の尻尾が一斉に伸び、男へと襲い掛かる。
一本一本が、先の唐傘以上の威力を持って。
■ガリア > ハハッ、細かい理論なんざはわからねーよ、感覚だ、感覚。
か弱いって割に、あんな馬鹿力見せられちまったら納得するしかネェしなァ。
(細かい事を一々引き摺っていたら、戦いでは隙を多くする
そして其れは大抵命取りになる物だ、今回は在る程度織り込み済みで受けたとは言え
殺気に満ちた相手だったならば、こんな無茶は先ず出来ないだろう
そして、恐らくは此処から先も、そんな余裕は無くなる筈だ
まるで手品の様に消えた唐傘の代わり、取り出された一本の扇子
東方の意匠だろう其れは、今までとはまるで異なる威圧感を帯びている
当然、扇が問題なのではなく――扇を携える、彼女自身への脅威に、だ)
……そうさ、そいつを待ってたぜェ。 遠慮なんぜ要らねぇ、全力で来いよ。
全力で迎え撃ってやるぜ、狐っ娘ォ!!
(今まで、気配なぞ感じなかった其の九本の尻尾が、今や明確な凶器となって向かい来る
一瞬でも判断を誤れば、敗北の二文字が鮮明と為るだろう其の状況こそが
――己が、求めていた物だ。
9方面同時に遅い来る尻尾を、大きく回り込むようにして回避する
腕や脚で受け流し、戦場で身に染み付いた在りとあらゆる体術を駆使して
捌き、回避し、時には受けて利用する、先刻とは真逆の全力防戦に廻りながら
僅かな隙を、反撃の機会を狙い澄ませ、今は耐え忍ぶ
一度、数本の尻尾を多少無茶して横合いから殴りつけては
舞台上を一気に加速し、尻尾の雨から逃れよう
そうして、僅かに距離を詰めては、また襲い来る九尾と格闘し
――全てを捌ける訳では無い、痛みと衝撃は、堪えて無視をするだけだ
このまま先に己の方が、物量に潰されてしまうやも知れぬけれど
けれど、着実に、少しづつ――娘との、其の距離を詰めて行くのだろう)。
■タマモ > 「ふふ…面倒がなくて助かる、それで良い」
男とは違う理由で、少女は細かい事を引き摺らない。
さて、本来は力を示す為の扇子を取り出した…ならば、己がするべきは、その差を見せ付ける事。
男がどちらを強く意識するか、それは男次第だ。
「うむ、その清々しい程の潔さ、しっかりと打ち砕いてみせよう。
己が打ち砕く物の姿、とくと見るが良いのじゃ」
九本の尻尾を自在に操るも、少女自身はまた別の動きを見せる。
まだ閉じたままの、その扇子はそのままに、元々持っていた扇子を手の平の上に乗せ直す。
それは手の上でくるくると周りだし、ふわりと宙に浮かび上がる。
それを空中に留めたまま、袖から一本、また一本と扇子を取り出し、同じように浮かせ…
それを終えれば、六本の扇子が少女の周りを浮かぶ形となっていた。
本来は、切り裂く力を持つものだが…まぁ、今回は尻尾のように、叩き付ける衝撃を与えるに留めておいた。
それでも、斬撃から打撃へと変わる為、威力自体は高くなる。
「………終わりじゃ、せめて、意識は堪えてみせよ」
空いた手をすっと上げ、振り下ろす。
それを合図に、九本の尻尾に四苦八苦している男へと、更なる手数が加えられた。
■ガリア > (最早、返答している余裕は無くなった、其れほどまでに苛烈な九尾の攻め手
本来狐の尻尾ならば、もっとふわふわで在るべきだのと考えて居られたのは初撃までだ
腕で足で叩き落すたび、次第に無視出来ぬ痛みが動きを鈍らせようとするのだ
此れは最早1対1ではなく、集団対個、其れも恐ろしく錬度の高い連携を取るのだから厄介極まりない
漸く、僅かな隙間を見つけて一度飛び出せば、娘の方へと一瞬視線を向けたけれど)
――――おうおう、マジかよ半端ねーなァ…!
(見えたのは、尻尾の攻め手に加えられようとする――浮遊する、獲物の存在
流石に、この期に及んでの追撃と在らば、苦笑いも浮かばない、が
――構えよう、相手が叩き潰しに来るというのならば、全力で耐え抜くのみ
刹那、娘の側には見えたやも知れぬ、今自らが打ち砕こうとする男の金瞳が、鮮やかさを増すのを
全身に刻まれた紋様が僅かに力を帯びると同時、先刻よりも更に増した速度で攻撃を捌こう
時に潰され、薙がれて、地面に叩き付けられても跳ね起き
少なくとも娘本体と繫がっているだろう尻尾を、全力でぶん殴り倒す様に
其れでも、其処までしても、万事休す、と言った体なのだろう
尻尾の一撃と、扇の一撃が同時に胴体を打ち払い、其の身体が宙に一瞬浮く
そうして逃げ場の失せた処に、遅い来る九尾と扇が、終幕を告げに襲い来るなら
――きっと、数瞬後には、場外の壁へと叩き付けられて呻く、男の姿が在る、か)。
■タマモ > 正直に言えば、ここまでの力を使う羽目になるとは思わなかった。
それ程までにこの男は、ここで相手となった者達とは比べ物とならない存在だった。
それでも、さすがにこの手数を捌き切るには至らなかったようで。
防戦一方の上での追加攻撃に、ついに襲い来る攻撃の直撃によって男の体は宙を舞う。
だが、そこで加減をすれば、全力で打ち砕くとは言えない。
とどめとばかりに、男を場外へと吹き飛ばした。
決着を告げる審判員の声に、扇子の動きは止まり、しゅるりと尻尾は縮まっていき、元ある姿へと戻る。
ゆっくりと場外で倒れる男へと近付きながら、手元に戻る扇子を回収し、ふわりと側に降り立つ。
…呻いているところを見れば、意識が途切れていないのだろう。
ふむ、と一つ頷いて。
「さすが、言うだけの事はあったようじゃな?
久し振りに、力を揮える戦いであった………お陰で、かなりの力を消耗してしもうたぞ?」
はふー…と、長い息を付き、男を見下ろす。
瞳の色は元に戻り、少しばかり息を乱す少女が見えるだろう。
■ガリア > (――壁に叩き付けられた瞬間、僅かな間視界が飛んだ
其れを即時取り戻すに至ったのは、痛みと精神力の賜物…と言う事にして置きたい
叩き付けられた事による砂埃が盛大に舞い、其れが晴れると同時に
きっと審判員は、この戦いに於ける勝者の名を、高らかに宣言するのだろう
一方、敗れた側はと言えば――もう、勝敗など割と如何でも良くなっていたのだが)
――――……ってェ…、……っは…最後に一発ぶちかまして遣りたかったってのによォ…。
やれ、休みの頭に来て正解だったなァ…、……流石に、暫く腕が動く気がしねェわ…。
(調子に乗って、大分無茶苦茶をやらかした気がする、が
娘が傍へ寄って来たのに気付けば、首だけを擡げて見せながら
――負けた為りに、何処か満足そうに笑って、そんな戯言を言い放つ、か
まぁ、実際の所、幾ら普通より治癒も回復も早いとは言え
今直ぐには動ける気はしていないのは、確かで
けれど、それでも、大分ぼろぼろになった片掌を、のろりと舞い上げては
娘へと向けて伸ばし――敗者から、勝者へと、握手を求めようとするだろう)。
■タマモ > そもそも、ここに来た目的は、ただの暇潰し。
少しでも力が出せれば…それだけ、なのだが、今日に限ってはそれ以上の収獲だった。
この時点で優勝はほぼ決定、賞金も得られるだろう。
だが、少女にとっても、男の勝敗のように、どうでも良いと思えている。
「おぉ、怖い怖い、お主の一発が当たったらそれだけで終わりそうじゃ。
しかし、さすがじゃのぅ…本当に意識が残っておるな?
てっきり、そのまま意識もぷっつりと思ったでのぅ…?」
首だけをこちらに向ける男に、言葉を返しながら屈み込む。
と、そうしたところで、伸ばされる手…握手を求めているのは、すぐ分かった。
だから、その手をしっかりと握り、体を起こさせる。
「お主ならば、少々力を与えてやれば、すぐに動けるようになるじゃろうて。
休みの頭から、寝て過ごすなんてあれじゃろう?
まぁ、休めば戻るが、残りの力もそうない…大して与えられぬが…」
そう言葉を紡げば、握る手から、じわりと力が流れ込む。
陰陽五行に応用を利かせたもの、その回復力を高めるものだ。
自然回復力が高いなら、軽く動ける程度にはなるだろう。
………ただ、自分も近い状態になるが、気にしない。
■ガリア > (伸ばした掌は、相手が其れを拒むならば其れまでのモノ
故に、相手が其れを受け入れ、応じてくれるならば、負けたにも拘らず晴れやかに笑おう
とは言え引き起こされる時には、多少なりと痛みで微苦笑になったろうけれど)
終わらせる心算で蹴った一発が、カス当たりだったからなァ…。
王都の微温湯で大分鈍ってんなこりゃ、良い荒療治になったぜ。
クク、意地だ意地、医務室贈りになる位なら、自分で歩いて行きてェだろ?
(――立たせて貰えただけ在り難い、が、矢張り脚にも来ている
けれど、次の瞬間、其れがゆっくりと軽減して行き、多少ならば動ける程度になるのだろう
何かしたのかと、娘の方を見やったなら、僅か双眸細め)
……んなら、俺も御前も仲良く医務室か、部屋の寝台送りと行こうじゃねーか。
贅沢に一日位は寝転がって過ごすのも悪かないぜェ? 理由が理由だしなァ。
――ほれ、勝者はアピールして、さっさと退場さ。
(見れば、先刻までよりも少し、娘の顔に疲労が濃い
己に何かした、其の反動だろうかと勝手に考えては
適当に勝ち名乗りへと応えるよう告げてから、出口を示そう
まぁ、娘の場合は賞金を受け取れば、別に医務室なんぞに寄る必要も無さそうでは在るけれど)
■タマモ > きっと、この男も普段は同じように暇をしていたのだろう。
にっこりと笑顔を返しながら、男の言葉に、ふむ、と納得する。
王都に居るならば、確かに鈍りそうなものだからだ。
「まぁ、それでも、これだけの事が出来る訳なのじゃな?
あー…確かに、担がれるのは妾も好まん」
とりあえず、力を与えてみれば、思った通りに動ける程度にはなった様子。
向けられる視線に、はて?とか、すっとぼけてみる。
「む…医務室は、どうも苦手じゃのぅ…
向かうならば、まだ部屋の寝台の方が良いのじゃ。
………そうじゃな、共に寝転がって一日過ごしてみるか?ん?」
お互いに、己の足で立ち上がる。
こちらに関しては、一度は上に戻るが、挑戦者なしで優勝との通達を受けた。
が、疲れた、とか適当に…いや、本当に疲れているのだが、理由を付けて、賞金を受け取りさっさと戻ってくる。
「あれじゃな…こういう時は、男子が女子をえすこーとするものじゃろう?
ほれ、どこに向かえば良いんじゃ?」
男の側へとやって来れば、横に付き、覗き込むように見上げ問う。
寝転がる、との意見は一致したが、医務室にしろ部屋にしろ、場所が分からないのだ。
…道を覚える気がない、とも言う。
■ガリア > 出来なきゃ、騎士なんて事はやってられねーよ。
っても、此処で負けてちゃ話になんねェし、また個人的に鍛え直しだなァ。
(一度、優勝者決定の為に舞台へ上がった背中へと声掛けてから
己は、さて、此処から如何した物かと考える
娘がまた此方へ戻って来るならば、覗き込んで来る其の横顔に
そうだなァ、と、軽く笑って肩を竦めて見せ。)
―――……んじゃ、俺が取ってた部屋に来るか?
高くもネェけど、安宿でもネェしな、其れで良けりゃ案内するさ。
あ、でも其の代わり半分出せよ、そんだけ賞金貰ってんだしよォ。
(ゆっくりと、付いて来いと言わんばかりに招いては
己が元々、宿泊の為に取っていた宿の部屋へと、案内する、か
きっと賞金の額に比べれば微々たるもの、それでも、まぁ
少なくとも其の寝台は、二人寝転がるには十分だろう
えすこーと、だとか棒読みで言う娘に、紳士って柄じゃないだとか戯言交わしつつ
――闘技場に併設された、宿泊施設へ、と)。
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」からタマモさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」からガリアさんが去りました。