2016/07/05 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にロレンスさんが現れました。
ロレンス > ダイラスにある闘技場は、何時も以上に観客が多く、酒に酔いしれて騒いでいた。
かなりの額になるゴルドを受付に投げ込み、彼が求めた決闘は相手を女性に限ったものだ。
戦う女は金銭以外の何かを対価に賭け、こちらも相手の望むものを掛ける。
とはいえ、金が一番わかり易いものの一つでもあり、受付に自分の対価の一例と放り込んだのもその為だ。
ここ最近は妾の少女から血を頂くことが多かったのもあり、別の血を求めていた。
控室で待つ間も、外の喧騒が耳障りなぐらいに届く。
哀れな獲物を待つ男達の下卑た笑い声、場外で対戦者を募る呼子の声。
体一つを賭けて、大金持ちになるチャンスだの、少々誇大表現じゃないかと思う声に苦笑いをこぼす。

「…だが、これで来てくれるなら良いというものか」

何かを得るために何かを失う覚悟で戦う女性というのは、心に美しさを感じるものが多い。
こんな回りくどい条件を出すのもその為というところだ。
外に飛ばした赤黒い魔力の蝙蝠から外の映像を確かめつつ、呼び出されるのを待ち続ける。

ロレンス > 結構な時間が経過したが、対戦相手は現れる様子がない。
対価に放り込んだゴルドが大きすぎたのが、逆に警戒させてしまっただろうかと思い始めたところで、対戦相手が現れたとの言葉を聞かされる。

「ではいこうか」

早速手合わせと行こうと部屋を発つも、直ぐに後悔する結末が訪れるとは知らずにいた。
闘技場の舞台へと上がると、そこにいたのは所謂変化の魔法を使った男だ。
見たところ、妙齢の女性に見えるものの、魔術にも長けた彼からすれば、下手な女装程度にしかならない。
解説を適当に聞き流しつつ、開始のゴングがなると同時に赤黒い魔力を纏い、契約を交わした魔物の力を宿していく。

「……」

無言のまま地面をけると、あっという間に距離を詰めて首に手刀を一撃。
俊敏な魔物の力で加速したまま、その力を乗せた一撃はなかなかに重たく、相手の意識を摘み取る。
同時に魔法が溶けると、男の姿が石畳の上へと転がった。

「君は運がいい、君から奪うものがないが…元々賭けが成立していない」

勝っても何も得るものがない。
溜息とともにカツカツと舞台の上を降りて行くと、ブーイングの嵐が吹きすさぶ。
意識を失った男は、後程ひどい目に合いそうだ。
一撃で相手を伸した力は、賭けの額に似合うリスクだろう。
外を飛び回る蝙蝠の映像に、今の一戦が記録水晶越しに流されているのを確かめれば、少々困った様に笑いつつ控室の椅子へ腰を下ろした。

ロレンス > そうして相手を待ち続ける時間が過ぎて……。
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」からロレンスさんが去りました。