2023/05/21 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にホアジャオさんが現れました。
■ホアジャオ > 夏の日差しにも近い陽が燦々と降り注いだ日。
陽が傾いてきて漸く船着き場にも長い影が落ちるようになった頃に、荷物を担いで街側から現れた女がひとり。
露天の立ち並ぶ一角の、途切れ目を探すように奥へ奥へと歩いて、最初弾むようだった足取りが段々不貞腐れたようなものになった頃に漸く、合間をみつけて担いでいた荷物を降ろす。
降ろす、と言うよりは『落とす』に近かったかもしれない。
ごん!と足元に響く音を立てた中身は多分影響は無さそうだが、行き交うヒトと両隣の露店の店主からはぎょっとした視線を向けられた。
女はそれに一向に頓着なく、次に抱えていた布を広げて荷物をその上に広げ始める。
並ぶのは――――石、石、石、白猫、また石、石…
一応、石と言っても河原に落ちているようなものではなく
その断面に様々な輝きを纏って居たり模様が入っていたりで、まあ、傍目に見てもちょっとは珍しい。
ちなみに猫はふつうの猫で、こっちは売り物というよりは重石替わりになっているようだった。
一通り並べ終えた女は満足げににんまり笑うと、これまた袋に入れて持ってきた小さな立て看板を前に置く。
曰く
『どれも時価。喧嘩に勝てばタダ!』
■ホアジャオ > 追いかけて行っても喧嘩相手に恵まれないのなら、こちらから呼んでみるまで。
そう思いついて遺跡に潜って、流石にお宝らしいものを見付けようとまでは欲張らず(一人だし)、珍しそうなものを拾って帰ってきた次第。
果たして値段が付くかどうかも怪しいモノたちだが、まあ様子見だ。
取り敢えず、こういったモノに興味がありそうな輩の検討位はつけられるようになるだろう。
そうすれば、今度潜った時に拾ってくるものの目星も着くかもしれない。
―――――とまで考えたかどうかは兎も角。
看板を設えた女はご満悦で、『商品』を前にどっかと胡坐をかく。
目の前には行き交う人、の向こうに陽光を弾く海が見える。近く遠くの露店からは魅力的な香りが漂ってくる。
猫が何かにつられてどこかに行きそうな気配を見せたら、その何かを見に行くのも良いかもしれない。
■ホアジャオ > 遺跡に潜ったのもそこそこ疲れたし、陽が傾いてきた船着き場の風は少し冷たくて心地いい。
当初は細い目を輝かせて商品を見る客(驚いたことに偶に足を止めるものが居た)を見たりしていたものの、やがてはとろんと瞼が落ちてきて細い目がもっと細くなる。
「ン―――――― あンま思ったように行かないなァ……―――」
独り言を言いながら背筋を伸ばして両手を伸ばして、伸びをくれてやれども眠気は去らない。
更に2人ほど、近所の子どもか親と離れて散策中かの子どもが何やら熱心に一つを見て囁き合っているので、気に入ったのかと聞いてみる。
お互いを見て、神妙に頷きかえして来るのに笑ってその一つをくれてやることにする。
「但し、只はダメだよ。何かと引き換え…―――あ、枇杷もってンの?
じゃそれと交換」
そういって、ようようひとつ売上を上げた。
■ホアジャオ > 子どもたちを見送って、それを潮に女は立ち上がる。
商品の石は、ひとまず元通り袋に仕舞って
(持って帰るの重いしなァ…)
こっそり壁の方に寄せて(放)置いていくことにする。
自堕落なのか特に興味を引くものがなかったからなのか、最後まで居座った白猫を片手に抱えると
女は店じまいのために投げ売りを始めた露店を散策しに、人混みに紛れて行く。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からホアジャオさんが去りました。