2023/04/03 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にホアジャオさんが現れました。
ホアジャオ > 日暮れよりも少し前の船着き場。

日中、すっかり暖かい日差しの太陽が海から吹く冷たい風を忘れさせるほどに温かく降り注いだせいで、空が徐々に茜色になる今も船着き場は陽気に浮かれたような人々でにぎわっている。

船から降りてくるもの、それを迎えるもの、今から旅立とうとするもの、それらを相手に商売をする露店と、その露店目当てに町から来たもの。

その雑踏を縫って、船着き場の片隅、空の木箱が積みあがったあたりへと弾む足取りを進める女が一人。
片手に紙袋、潮風に高く結った三つ編みを揺らして、上機嫌そのものの表情だ。

公主の護衛のアルバイトから解放されてついで屋台で中華まんを商っている店をみつけて、明るいうちにこのお気に入りの場所までたどり着けた。

女は適当な木箱の前で立ち止まると、ぽんと飛び乗ってその上に胡坐をかいた。
膝の上に紙袋をおくと、しばし光を乱反射する波を見て、細い目をさらに細める。

ホアジャオ > 波間をすいと飛んでいくウミネコを見やり、紙袋から女の手に余るほどの大きさの中華まんじゅうを取り出す。
少し冷めてしまったけれど―――

「烫(あちち)」

がぶと嚙みつくと、予想通りなかの海鮮あんは熱い。
紅い唇から、昼間でもわかるような湯気をこぼしながらなんとか口の中に収める。
あんの塩気と皮の甘みがちょうどいい。

――――あとは
(はらごなしに喧嘩相手見つかればなァ)

雑踏を抜ける間、横目で抜け目なく確認したところなかなかホネのありそうな輩はみつからなかった。

ホアジャオ > 闘技場がある街なのだから、もう少しそういった輩がうろうろしていてもよさそうなのに
とか考えながら、船を降りる人々を眺めている
その間に、大きな中華まんじゅうもほとんど食べ終わる。

小さな声に下をのぞき込めば、ここを住処にしている猫の姿。
直接の日差しから避けていたところ、香りに惹かれてきたらしい。

女は猫と目が合うとにんまり笑って
喧嘩相手ならぬ、遊び相手とどうやって遊ぼうか算段を始めた―――

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からホアジャオさんが去りました。