2023/02/24 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にホアジャオさんが現れました。
ホアジャオ > 日暮れ時、船着き場に昼間門前市をなしていた露店もそろそろと店をたたみ始めて。それにつれて人々の波も引いていくころ。

ダイラスの街ほうめんへ流れる人波とは逆方向に、波止場の奥へと向かう女がひとり。三つ編みを潮風と弾む足取りに揺らしながら、紙包みを胸に抱えて人波を掻い潜って行く。

行きつく先は大小様々な船が舫ってある奥、空となった木箱や木樽が山と積まれている付近。貨物の積み荷の揚げ降ろしもない時刻とてヒトの姿はなく、見えるのはここを根城にしているらしいカモメや野良猫たちの姿だ。
女はその小さな影を機にかける様子はなく、手ごろな高さの木箱を見付けるとその上に紙袋を置き、次いでひょいと自分も飛び乗る。
小さな影たちは一度は逃げるふりを見せたあと、女の様子を伺っている様である。

「ン、 ふっ ふっ ふ」

そんな影たちを一瞥しながら、女は朱い唇をにんまり三日月にして胡坐をかく。その膝の上に乗せた紙袋から取り出すのは、未だ湯気のたつ中華饅頭だ。

…ごくり。

と小さな影たちからちょっとした緊張感が伝わって来る。

ホアジャオ > 女はそれに気付いてか気付かないでか、頓着なくぱくりと一口。
その唇の端から湯気が零れて行って、潮風に攫われていく。

公主の降嫁以来、シェンヤン料理を出す店のグレードは日に日に増している。
女がこの中華饅頭を購入したのもその店の内のひとつで、海鮮の餡の程よい塩気と皮の甘みと歯ごたえと、絶妙なものがある。

一口食べては、頬を動かしている間に皮の部分を毟って足元に放ってやると、すかさず集まってくる小さな影たちを視界の端で面白がりながら
夜の(ならず者たちをぶちのめして)おたのしみ前の腹ごしらえを済ます。
今夜この街で、どこの暗がりでこの女の楽しげな笑い声が響くやら、またはその他の何かが起こるやら―――

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からホアジャオさんが去りました。