2022/12/17 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にテンドンさんが現れました。
テンドン > お昼ごろの船着き場、この凍えるような季節にあっても、停まっている船からは大勢の船員達が出入りを繰り返している。
これから出港する為に積み荷を積んでいるのか、それとも何処からか帰って来た所で積み荷を降ろしているのか、良く解らない。
その邪魔にならないように、波止場桟橋の片隅で腰掛けている。

「しょっぱ~~~……」

海面を撫でつけて通過する潮風は冷たくて塩辛い、目を細める。
両脚を放り投げだして座っても問題無いぐらいに桟橋は高く頑丈であり。
揺れる水面に届かずに空中に浮いている両脚をぱたぱたさせる。
遠く遠く向こう側を見渡しても、どこまでもどこまでも、海。

テンドン > 今日はこのダイラスに配達に来て、お仕事は既に終わっているのだ。
そして配達先のおじさんに折角だから釣りでもいったらどうかな、みたいに勧められ。

「そしてボクは釣り竿を片手に、御魚さんが釣れるのを待っているという事なのだった」

今日の潮具合は緩やか、波も全く荒れていない。
貸して貰った高そうな釣り竿を両脚の股でぎゅっと挟み込んで固定中。
長く緩くしなっている竿の端から垂れ落ちている針と錘付きの糸は海中に沈み、今も小波に遊ばれて揺蕩っている。
鈴付きのウキが付いているので、もしも引っ張られたら鈴が鳴ってウキが動く筈なのだ。

テンドン > 「慌てない慌てない…今日はたっぷり時間あるもんね……あー……釣れたらテンプラにしようかな…何処かで油分けてもらおっと…」

現状において側に置いてある、海水を掬った木桶の中は空っぽ、ボウズ中。
長閑な思考回路と戯れながら見下ろす海面の色は濃く、水中までは見通せない。
しかし時々に✨と銀色の鱗を煌かせる魚影が海上近くにまで迫る事もあり、そこに群れる魚達の気配ににゅっと表情がほころぶ。
ぱたんぱたんと吹き付ける潮風に転がされるように揺れる牛の尻尾、お尻から食み出して足と一緒に桟橋下に流れ、魚をからかうようにゆらゆらする。

テンドン > 「冬の風……」

ぽつり。
ごうごうと吹き過ぎる風の音を拾い上げて立ち上がる牛の耳。
片手に膝上で開いているのはラジエル学園にまでお仕事行った時に、お金持ちそうな生徒さんにおさがりで貰った勉強の本。

テンドン > 此処で一句
み 港 冬
な フ の
こ ナ 風
も ム
る シ

テンドン > 「テンドン・アルケニエ。港での一句、うーん、ふうりゅ~」

自画自賛。ふあああ、漏れる大あくび。
特に騒ぎ立てる事もなく時間の流れに身を任せる侭。

テンドン > リン リン リン。

「お、来たっ」

鈴の音色に御報せと、股挟みの釣り竿に感じる軽い引き。
読み掛けの本に🍁のしおりを挟みこんで立ち上がる。
ぎゅううっと思い切り向こう側に引っ張られる感覚にあわせ、両手に握り直した竿を手繰り。
Fish Fightはほんの少しの時間を費やすだけで片は付く。

ぱしゃんっ!!!

「最初の一匹目…!えへへ、結構形が良いね。君は天ぷらじゃなくてお刺身がいいかな~~☆彡」

水面を割って跳ね上がる魚一尾に満面の笑顔。
ぴちぴち新鮮そうに空中に揚げられ暴れる口から針を外し、木桶の海水内にぽいっちょ。

テンドン > 「…っしょ」

そしてまた腰掛け直して、針に餌の🐛を結び直し、また海面にへと投じる。
ぴしょん。

「…もっと大物が欲しいよね。鯨でも釣れないかな。鯨。食い出があるヤツ!」

釣果があったので大変気分がいい。
ふんふん♪と街で流行ってる音楽の鼻歌をハミングしながら。
そのリズムにノッて腰掛けている体が左右に揺れる。
尻尾もぱたぱた左右に揺れる。

テンドン > ………
……


「うほほ、一杯釣れたー!今日は御魚パーティー!残ったら塩漬けオイル漬けにしてアンチョビつくろ!!!」

喜ばしき哉大漁、桶の中身はとりどりの食用魚で溢れんばかり。
どっさりと抱えた成果を抱え込んでホップステップジャンプ!
お零れを求めてにゃんにゃん纏わりつく港のにゃんこ達を連れながら、意気揚々と船着き場を退去するのでありました。

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からテンドンさんが去りました。