2022/11/20 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にミオンさんが現れました。
ミオン >  
朝方、陽の光が届かぬ倉庫街を、ひたひたと駆け抜ける素足の足音。
素肌に襤褸布を一枚、マントのように巻きつけただけで、
あてもなくただ走り続けているのは、小柄で華奢な少女だった。

「どこだ、ここ…… て、ゆか、どっちに、行けば、」

船着き場に置かれた檻の中から、やっとの思いで抜け出してきたけれど、
どこへ行けば人目につかず逃げ切れるのか、皆目見当もつかない。
わかっているのは、港近くをいつまでもうろうろしていては、
いずれ追っ手がかかり、連れ戻されてしまうだろうということ。
そうなれば他の『積み荷』――――奴隷同様、どこかへ売られてしまうだろうし、
売られた先で待つ未来は、どうせロクなものではない。
いくら、何をされてもひと晩でけろりと復活できるとは言え、

「冗談じゃないよな、ホント、……人間、魔族よりコワくね?」

残酷で、理不尽で、下品で、粗暴で―――――ありとあらゆるマイナスイメージが、
小さな頭のなかをグルグルと渦巻いている。
だから足が痛かろうと、疲労がからだをふらつかせようと、
あてもない逃避行を止めることはできない、のだった。

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にアラナさんが現れました。
アラナ > 「……主よ」

また、奴隷船が入港したのだと思う。

「……なぜ、この世は」

このように、残酷なのだろうか?

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からアラナさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にアラナさんが現れました。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からアラナさんが去りました。
ミオン >  
――――――――どこかで誰かが嘆くような、
一心に、祈りを捧げているような。

そんな声が聞こえた気もしたけれど、今の少女にとって、
祈りも嘆きも、どこまでも遠い。
逃げ切らなければ、ということしか考えられないし、
どこからか声が聞こえたとして、その声の主を探す余裕もない。
むしろどこかに人が居るというのなら、出来る限り、
その人物から離れよう、隠れようと思うばかりだ。

「ち、くしょ………ここ、ごちゃごちゃ、しすぎだろ……!」

ひとり毒づいて、林立する倉庫らしき建物を憎々しげに睨みつける。
あちらの角を曲がり、こちらに積まれた木箱を乗り越え。
そろそろ船の乗組員だって、起きてくる頃かも知れないのだ。

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にエルフェさんが現れました。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にアラナさんが現れました。
エルフェ > そんな人気のない時間帯に。―――彼女の足音とは違う音が入り交じる。
それはそう。よくある割の良いギルドの依頼。港湾都市の船などに運ぶ荷物を朝の出港前に整えて欲しいなんて言う依頼。
勿論、荷物が何かは理解している。雑貨だったり。交易品だったり。奴隷の入ったものだったり。
そんな"荷物運び"を行っている冒険者が―――音に気付いた。

「およ……?」

勿論、船の乗組員はまだまだ夢の中。此処にいるのは自分ぐらいだ。
だからこの時間に駆け足が響き渡るのはおかしい。――おかしいと思うからこそ、風の精霊に祈りを捧げ、音の出どころを察知しつつ……向かう。
路地を越え、荷物を乗り越え、見つけた―――!

そこにいるのが黄金色の髪の毛を揺らす可愛らしい女の子なら、つい口元を緩めちゃったりするんだけれど―――。

「おーいっ!! そこの子! 何逃げてるのっ!! こっち、こっち!」

だから、まずは声を掛ける事から。
彼女が知る"怖い人間"とは少し掛け離れた……一見は少女にしか見えない荷物運びが、倉庫の影から顔を出して手招きしている。
魔族である彼女ならわかるかもしれないが、人間とは違う雰囲気を醸し出す自分に……相手が警戒心をどれほど抱くかどうか。

ミオン >  
――――――声が、聞こえた。

女の声だ。それも、だいぶ若い。
ちょうど少女の向かう先、倉庫の陰から覗いた人影に、
一瞬、ぎくりと肩を震わせたけれども。
その人影が年若い少女のものであり、手招きするしなやかな手つきも、
ふわりと鼻腔を擽る香り―――――その人影が纏う、気配も。

警戒心が消え失せたわけでは、ない。
けれど、少なくとも男ではない、取り敢えず害意も感じられない。
ならば、と素早く決断し、素足の少女は地を蹴った。
ほとんど彼女の懐へ、飛び込んでゆく勢いで。
そちらへと、一心に駆け寄ってゆき――――――――――。

アラナ > 「あのガキ、どこへ行きやがった!?」

その、船から出てきた男達、彼らの眼は、嫌と言うほど。

「……大いなる、主よ」

教会で、見てきた「眼」

「……この者達に、錯乱を」

女性を、モノとしてしか、見ない男の眼。

――今、私が祈願した祈りは――

神聖なる祈祷術、神から奇跡がもたらされる物ではない。

――……精霊の術――

簡単かつ、弱い魔法、約10秒程度に、相手に錯覚を与える精霊の術だ。

「……でも、これなら」

少しは、あの少女が逃げる時間が稼げるだろう。

――……私は――

教会に巣くう、人の形をした、オスのケダモノ達から、自分の身を守る為に、幾度も使用した術、それを早速使用した。

――……そして――

私のような、先天的な力が無い少女、および少年が、偽善者達によって、どのような運命をたどったかは、言うまでもない。

――この、世界は――

女を、馬鹿にしている。

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からアラナさんが去りました。
エルフェ > 遠目で見ても―――見なくても分かる。
全身を覆う襤褸布。そして首元に鈍く輝く首輪。それは、奴隷だ。
此処から逃げ出したのか、はたまたそうでないかはわからない。何せ奴隷が扱われてる町だ。どんな事情で此処に居ても可笑しくない。

――― 一瞬、ふわりと。肌を撫でたのは精霊の術の気配。
そう、精霊と人間のハーフだからこそ、感じた違和。
もしかして、他にも誰かいたのかな?なんて思ったけど……今はそう。
彼女を"じゃまもの"が入らない場所に誘導するのが先決。だって……

目をつけたのはこっちが早いんだから。―――なんて。


「って、とわっとぉ――!?!?」


なんてモノローグを思いっきりぶっ飛ばすかのように、弾丸のように飛び込んでくる小さな影。
文字通り、懐に飛び込んでくるというのなら、軟らかなその体ごと抱き止め……。

「こほんっ!
 理由は聞かないけど――! こっちこっち! ……わたしが荷物運び終えたとこなら、出港まで時間、潰せるはずだよ!」

その手を取り、駆け出していくか。
向かう先は言葉通り、荷物の運搬を終え、人気が無い倉庫の一角。
だが、それは。……自分以外、邪魔者が絶対に現れないというコト。
害意はない。敵意もない。牡でもない。――ただ、可愛い子と淫らに浸りたい。という……
両性という捕食者である少女の都合の良い場所に誘導されていく。

…… 数分もせず。
その言葉の通り、怒声も、男の声も何も聞こえない。
少し肌寒いプレハブ的な、倉庫へと互いにたどり付くはずで。

「よーしっ!ここまでくればもう安心!」

ミオン >  
誰が見ても、その姿は奴隷としか思われないだろう。
自力では外せない首輪が、重く纏わりついているのだから。
ついでに今は、まともな服すら着けていない有り様で、
更には遠くどこかから、追い縋る誰かの声さえ聞こえてくるとなれば、
十人中、九人まではこの少女を、『逃亡奴隷』の四文字で規定するだろう。

それについては、大いに物申したいところだけれども。
今はとにかく、降りかかる火の粉を払いたい、目の前に迫る危機を回避したい。
飛び込んだからだを受け止めてくれた彼女の存在は、
そういう意味ではまさしく、救いの天使と思われた。
追っ手が何故だかほんの一瞬、遠退いたような気もしたのだが。
誰か、何かの干渉が行われたせいだとは、さすがに気づけないままに。

「―――――――― は、ぁっ、 た、………ぁ、」

助かった、とか、ありがとう、とか、言うべきことは在ったろう。
しかし全力で駆け抜けた挙げ句の急停止に、言葉どころか呼吸すらままならない。
ただ、こくこくと小刻みに頭を頷かせ、縋りついた彼女の導きに従うばかり。

―――――数分後。

荷運びが終わって、がらんとした倉庫の片隅で。
ぐったりと項垂れ、ぜぇはぁと肩で息をしていた少女は、ようやく、
人心地ついたようにのろのろと顔を上げ、

「たす、……かった、 ありがと、な、
 ………す、こし、休んだ、ら、……すぐ、行く、から、――――― ケホ、」

行くと言っても、アテなど皆無ではあるが。
見ず知らずの彼女に、あまり迷惑はかけられない、という、気持ちだけは示しておきたい。

エルフェ > 「あーあー、無理しないで!……もし辛かったら、足取り合わせるから!」

何かの干渉があったとしても、遭遇する可能性だって考えられる。
だから風の精霊の加護を高め、ふわりと風の力で彼女の体を抱き止め、
逃げる際も脚力を強化し、疾走する。急発進、急停止、急発進……繰り返しを行った彼女は、数分後。

ずいぶんと息絶え絶えというように、倉庫の片隅で身体の調子を落ち着かせている。
此処までくれば多分、もう邪魔者は来ない。同時に風の精霊にお願いして――防音まで行ってしまえば、もう逃げ場なんて無い。

「どういたしまして!――困った時はお互い様だよ?
 ……あ、直ぐ行くのは止めたほうが良いよ。」

此処で逃がす訳にはいかない。だから、嘘とホントを織り交ぜた冒険者風を吹かせてみたり――。

「まだ朝前だったからこれだけ人が少なかったけど……。此処からもっと時間が経つと、人も出入りも増えていくの。
 此処はもう作業終了!って報告したから来ないと思うから…… 夕方の出港辺りまで、此処で時間を潰すのがいいんじゃないかな?」

割と的を得た――と我ながら思う。
とりあえず、近くにあった積み終え、折りたたんだダンボールを床に敷いて、腰掛けて。隣を示してみる。

ミオン >  
背の高さ、もっと端的に言えば、足の長さ、の差。
加えて、昨晩からの疲労だとか、普段の運動不足だとか、
―――――とにかく、なかなかの消耗ぶりで、息も絶え絶えに。

仰ぎ見た視線の先、相手はやはり、若い娘のようだ。
しかし随分と物慣れた風情で、これはいわゆる、冒険者というやつだろうか。
そんなことをぼんやり考えながら、軽く眉根を寄せ、小首を傾げて。

「いや、え、と、―――――… え、そ、なのか?」

ちら、と先刻入って来た、扉の方を一瞥する。
不思議なくらい静まり返って、己の息遣いばかりがやけに響くような、
けれどもこの扉の向こうは、未だ安全ではないのだ、と言われれば、
場所柄、なるほど、と頷くよりない。

さっさと座り場所まで整えて、ほらほら、と隣を示されれば。
じとりと湿っぽい目つきで、空間と、彼女の顔とを見比べてから、
大きく肩を上下させて息を吐き。

「―――――… じゃあ、そう、させてもらうかな。
 おれがここに居て、アンタが困ったりしない、なら」

せいいっぱい、強がってはいるけれども、実際限界は近い。
引き摺るような足取りで近づき、崩れ落ちるように、示された場所へ腰を落ち着けて、
両足を前に投げ出し、背後に両手をついて天を仰ぐと、はあああ、と盛大な溜息をひとつ。

エルフェ > 「そうだよっ!……朝の荷物積み。朝っぱらから私が駆り出されるぐらい賑やかだからね!
 此処はもう作業が終わってるから、人気はなくなってるけど……やっぱり出る為には、またあそこを通ったりして、都市部の方に向かわないとだから。」

既に施されてる術式による防音。それが巻き起こす不自然な程の静寂。
その理由が、既に此処での作業が終わっているから――なんて、ちょっと言い訳が難しかったかな?と思ったけど。
目の前の相手は合点がいくというように頷いてくれた。安心。

此処で敷物を整え、笑顔を向けているのが屈強な男子だったり、如何にも~。な感じだったら、その警戒心を解すことはできなかったと思う。
息を吐き出し、ゆっくりと身体を弛緩させ――……。
腰を落ち着かせた相手は、それまでのこともあって、疲労が蓄積しているというのがわかる。
だから――逃げ場がない。

「え?困る?なんで?
 困ってる人がいるなら助けるのが冒険者だからね!―――その辺りは気にしないでよっ!

 ああ、わたしはエルフェ。普段は王都にいるんだけど、ちょっとお仕事で此処まで来てる冒険者だよ。
 ――あ、食べ物いる?」

……なんというか、不自然な位入れたりつくせり。
つらつらと述べる言葉に悪意などはなく、自分の思っていることを言葉にしているだけ。だから、彼女の警戒心をわずかにすり抜ける。

言葉の境目に鞄を開け、熟れた果実なんかも取り出し、差し出して。
なんなら、「変なものじゃないよー?」って自分の分をひとかじりでもするかもしれない。

――その果物こそ、一番の罠。栄養価も高く、美味だが。
牡の精力を増強させ、容赦のない性交を果たせるようになり。牝に至ってはその子宮から乳腺まで活発化させる、夜伽のための逸品。

といっても、栄養補給を他者の体液でしか行えない彼女にしたら……ただ、媚薬を直飲みするような、身体の熱に襲われるだけかもしれないけれど。

―――視線を彷徨わせる。彼女の顔や、襤褸布に覆われたままの肢体にも。
……身体のラインは見えない。けど、こういう子って実は発育がすごかったりするよね~……とか、脱ぐととってもすごい。みたいなのを想像してたりする。
それが、果実と合わさるとどのぐらいになるかは――きっと、誰もわからない。

ミオン >  
「荷物運び……すんの? アンタが?」

食いつくところはまさかの、そこである。
ぎょっと目を見開いて、まじまじと相手の顔を見つめ返す。
ついでに不躾なくらいじろじろと、どこからどう見ても少女然とした、
からだのラインなども確認しつつ。

「……見かけによらず、けっこ、力持ちなのか?」

そんな、人によっては『失礼な!』のひと言と共に、平手打ちでも飛んできそうな台詞を吐いた。
しかし、少女にしてみれば、頭に浮かんだ疑問を素直に、そのまま口に出しただけ。
何しろ相手はどこから見ても、危なそうなところなど欠片も無い、女の子、に見えるので。

「いや、だからさ、……おれが逃げてきたの、わかってんだろ?
 そしたらこう、メンドクサイことになりそうだな、とか、ほら、
 ―――――… まぁ、気にしなくていいって言うなら、おれは助かるけども」

ほんのり頬が赤らんでいるのは、見返り無しの好意に慣れていないから、
照れている、と言うか、戸惑っている、と言うか。
彼女の親切がやや度を越しているのでは、とか、裏があるのでは、とか、
そこまで深読みするには、少し疲れ過ぎているのもあり。
人間の食べ物は要らないからだだというのに、ほとんど反射的に、差し出された果物を手に取って。

「あ、ありがと、―――――――― は、ぐ、 んむ、……」

一応味覚はある、ので、甘くて美味しい、とは感じる。
傍らで彼女も口にしたのだから、警戒心も抱かない。
しかし―――――

「エル、フェ……… そっか、冒険者なのか、やっぱり。
 あ、えっと、おれは、―――――……」

遅ればせながら名乗ろうと、主が普段呼んでいた、『ミオン』という名を紡ぎ切ったか、切らぬかというところで。
どくん、と不意に、鼓動が跳ねて―――――小さな掌から、かじりかけの果物が転がり落ちる。
からになった手が、襤褸布越しの胸元を掴んで、上体が前のめりに。

「ぇ、――――…… ぁ、ぁ、 ふ、ぇッ……!?
 なん、……… ぇ゛、ぁ、――――――― ぅあ、あ!」

あつい。
くるしい。
頭が、ぐちゃぐちゃになる。
からだが―――――とけそう、だった。

蹲る少女のからだは、傍らの彼女が、密かに望んだように。
小柄な体躯に不釣り合いなくらい、豊かな乳房、くびれた腰、大きく張った臀部。
襤褸布がはち切れんばかりのグラマラスボディに変貌を遂げて、
しかも、その芯は煮え滾るような熱を孕み始め。
は、は、と獣のような息遣い、堪え切れずに零れる喘ぎ。
何が起こってしまったのか、どうすればいいのかもわからなくて、
濡れて戸惑う瞳が、助けを求めてさまよい、揺れる。

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にアラナさんが現れました。
アラナ > アラナ→ミオン様 > 申し訳ございません。今回は少しログの確認でございましたが、以後、他の方のキャラクタープロフィールを、よく確認致します。

大変失礼致しました。

――ロール――

「いつまでもここにいても仕方がない、街にでも行きましょう……」

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からアラナさんが去りました。
エルフェ > 「そう!こう見えても力持ち!……ってわけじゃないけどね。同世代より少し鍛えてる位だし。
 ただ、ちょっと……魔法をね?」

本来は、精霊術なのだけど。其処に関して詳しく説明するのは時間が掛かる。
だからわかりやすく、魔法でズルをしているって匂わせるような言葉。
――なお、平手打ちなどは飛んでこない。だって、その見かけの印象は間違っては居ないから。

「魔法には身体強化とか色々なものがあるからね。わたしは、そういうのを普段やってる感じ!

 ……んー。まぁ、たしかにメンドクサイ事になるかもしれないけど。
 それと可愛い子を助けるのは全く別のことだと思うんだよね?
 わたしが助けたいと思った!それだけが事実なわけだよっ!」

――その助けたい。って理由が、可愛い子と仲良くなりたいっていうちょっと歪んだ欲望が混ざってるのはここだけの話。
それも害意などではないから、そういったものを過敏に感じ取れる人にもヒットしないというバグみたいな事が発生しているのだけど――それもここだけの話。

此処でもっと疑い、成分なんかを感じ取れたりしたら、その劇薬のような果実をかじる事はなかったかもしれない。
普通ならば、自分も目の前の子と同じようになるけれど――自分の身体は普通じゃなくて、牡と牝の機能を両方携える。
結果、牡が起こす反応と牝が起こす反応を絶妙に織り交ぜた反応が来るだけで、彼女のような過剰過ぎる反応は起こさない。――それが、罠。

「どういたしまして! ……うん、ミオ……んっ!?」

――ぎりぎりその名前を紡ぐかどうかというところで、彼女が呻いた。
咄嗟に手元から零れ落ちる果実を拾い上げ、懐に収めながら、様子を見る。

勿論、普通の、可愛い女の子だと思って食べさせていたから――そんな劇的な変質が起こるなんて予想もしていなかった。
前のめりになった身体を包む掌。其処を内側から押し上げる隆起。そう、それは急成長と言っても過言ではないもの。
自分よりも頭一つ小さいかって位の、可愛らしい少女には不釣り合いな丸みが、強調されている。

「……うぇ!? え、えっ!?」

その声に混ぜ込んだ狼狽が、もしかしたら彼女に"これが狙ったものではない"っていう事を錯覚させるかもしれないけど――。

荒々しいけだもののような吐息。
腰掛け、床に触れる臀部の丸みまで成長し、きっと牡が腰を叩きつければ、それだけで悦ぶような体型に。
そう、都合のいい牝としての体型。それが、そんな眼を向けるっていうのなら――。

「えっと、ミオ? ごめんね……? この食べ物、ミレーとか魔族に対して、かなり強めの副作用があるんだよ、ね。」

それは事実。実際、これまでこれを食べたミレー族の少女や、魔族。このあたりには居ない獣人族は、ヒトよりも激しい反応を見せた。
これを彼女に差し出したのは事故だと言わんばかりな――"言い訳"を紡いでから。口元を緩めて。

「大丈夫――。わたしがちゃーんと、責任持つから……♪」

その小さな身体に両手を添え――優しく、倒していく。
自分好みの牝を、貪るために。

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からエルフェさんが去りました。
ミオン >  
相手の風貌、フレンドリーな態度、向けられる言葉や笑顔に溢れる善意。
それらすべてが相まって、少女の警戒心はほぼ、機能停止に陥っていた。
普段なら、きっと、差し出された食べ物をすぐさま口に運びはしない。
こんなに近くで、寛いで言葉を交わしたりも、多分、しないだろう。

―――――しかし、今。

綱渡りのような偶然が、いくつも積み重なった果て。
みすぼらしい『逃亡奴隷』の少女は、男好きのする肉感的なからだを苦しげに丸め、
唯一、この場で縋れる相手、助けてくれる筈の相手へ視線を投げた。

「える、…… える、ふぇ、――――――――― なに、ゆっ…… て、」

わからない。
何が起きているのか、彼女が何を言っているのか。
わからないけれど、とにかくもう、からだに力が入らなくて―――――――

そのあとのことは、ただ、秘め事として。
ふたりの少女だけが、結末を知ることだ。

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からミオンさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にリファナさんが現れました。
リファナ > 王都行きの定期便を求めてやってきた船着き場。
しかし運が悪く海が荒れたために出向は延期となってしまう。
船の船室で出航まで待つのも退屈と思えば船着き場に一度降りて散歩がてらに歩いて。

「こっちはあまり来ないし散策もありといえばありかもだけど……」

流石に店などはなく、船乗りが利用する酒場や倉庫がある程度なので見るものも特になく。
いかにも退屈という空気を纏っては海に下りないように気を付けて船を眺めて歩いて。

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からリファナさんが去りました。