2022/11/03 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にホアジャオさんが現れました。
■ホアジャオ > 夕暮れの船着き場。
昼間周囲を賑わせていた露天の賑も大道芸人も、それぞれが店を畳み始めると人々の波も少なくなっていく。
食料を商う露店はそれぞれに投げ売りをはじめてそこここでは賑やかさが残っているが、人の波が来るよりも行くほうが多くなって、正に潮が引くような様相だ。
「啊ー…
今日もあンまピンとこなかったなァ……」
船着き場の奥、貨物の樽や木箱が積まれている一角で
その一つの上に腰掛けて、引いていく人波を見送る女が一人。
潮風に三つ編みをなぶらせながら、細い目をそれでもわかりやすいように退屈そうに伏せて、垂らした脚をぶらぶらと揺らす。
これは!と思う相手が見つからなかった。
何って、喧嘩相手だ。
闘技場があるくらいだから、いろんなところで面白そうな相手が見つかる街だと思っていたのに、街中をうろついてもなかなか巡り合わない。
ウロウロするのも飽きて、見飽きない海を見に来て、ついでに喧嘩相手も探したがやっぱり適当なのがいない。
ふぁあ、と大口をあけて欠伸をして涙目をこすると、何か思い出したように女の腹が小さく悲鳴を上げた。
(そういえば、今日お昼食べるの忘れたっけ)
■ホアジャオ > 意識をしだすと急に飢餓感ともいえる感覚が身体を支配する。
平らなお腹の辺りを抑えながら両足を振り子のように降って木樽から飛び降りると、投げ売り中の屋台のほうへ歩き出した。
何を食べるかは、只今この女を引き付ける香りを放つ屋台次第。海辺の街は女にとって食べ物も珍しいものが多くて、見るのも楽しい。
先ほどまでの退屈そうな様子はどこへやら、ステップでも刻むような足取りで
揺れる三つ編みも人波の中へと―――
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からホアジャオさんが去りました。