2021/11/14 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にクレイグさんが現れました。
■クレイグ > 「ん……そこにいるのは」
一人クレープを齧っていると以前聞いたことのある声が後ろから聞こえる。
振り返れば一人の中年の戦士、以前と同じ格好で、片手には木のコップを持ち、歩いてくる。
「ジギィじゃないか、久しぶりだな」
コップからは薄く湯気が出ており、うっすらとアルコールの匂いが漂っている。
近くに来ると手を上げ。
「此処失礼するぞ」
近くにあった木箱に腰を下ろした。
■ジギィ > 「―――ふ(ん)?」
背後からの声。
聞き覚えがあるような気がして、くせ毛からはみ出た長耳を揺らしながら振り返る。
近付いて来る知った顔を見ると、どんぐりまなこを見開いて眉を上げてから、もぐもぐしながらクレープを持っていないほうの手を上げた。
そのまま傍らの木箱に座る姿を視線で追って、男が座る頃にようやくごくんと飲み込んだ。
「久しぶりー、えっと、クレイグ?
相変わらず酒飲みねえ」
漂ってくるアルコールの香りを嗅ぐように鼻を引くつかせて見せてから、女エルフはけらっと笑う。
「まずは無事で何よりー
奇遇だね。仕事?休み?遊び?」
矢継ぎ早に聞いてから、男を横目にクレープをまたひと齧り。
再会については上機嫌なのであろう、空き樽からぶら下げている爪先をぶらぶらと揺らして居る。
■クレイグ > 「おう、季節的にも酒で中から温めるには良い感じだしな、
ま、熱い時は冷やした酒で冷たくするんだが」
機嫌良さそうに、くっくと喉奥で笑いながら、コップを掲げ、くいっと一口。
相変わらず腰には三個の水袋を下げているのでそこも変わらないらしい。
「仕事の帰りって所だな、近くで討伐依頼があってな、それぶっ倒しててきて。
折角港街なんだから、夜の海でも見ながら一杯、ってな」
そういいながら、背負っていたバックパック…男が背負っても大きく見えていたので、実際のサイズは結構大きめ…を足元に置いて、武器をそれに寄りかからせる。
「ふぅ、少し落ち着いた」
そして、大きく息を吐き出して、肩をごきごきと鳴らす、慣れてはいても多少は肩がこるらしい。
■ジギィ > 「ふつうのお茶でもおんなじじゃないの、ソレ。
そーいう人に限って、加齢臭でてきてから薬湯に頼ンのよねー
その時はいい薬ありますよ、ダンナ」
また口の中のものをごくんと飲み込むと、にひひ、と笑う。
ごとんと重い音を立てて荷物を降ろす姿をまた横目に一口かじると、クレープの残りはもうほぼ終わりだ。
「…ん、結構美味しかったな。
へえ、討伐依頼って海で?…なわけないか。そンな装備だと溺れちゃいそうだもんね。
結構大物だったの?薬草足りてる?補充する?
あ、肩こり用の湿布はないけど、血流をよくする薬湯はあるよ。お酒に混ぜる?味変する?」
男の様子を見て言いながら、食べかけのクレープをひとまず膝の上に置いて、腰に下げていたらしい布袋を引っ張り出して中を探り始める。
そばに居る男には、薬草屋などでよく嗅ぐような香りが漂ってくるだろう。
■クレイグ > 「相変わらず、薬を勧めてくるんだなお前さんは。
困ったら頼むわ、今の所…雄の匂いとは言われるがな」
その言葉に、喉奥で笑いながらそう返して。
ドンと胸を叩く。
「海鮮系のかそれ?
浜の方だな、海でなら多分受けて無いな、そう言う特殊な場所は慣れてる奴が行けばいい話だし。
薬草は、微妙に減ってるんで補充頼むかね。
それ不味くなる系じゃないなら、使ってみても良いんだが、どっちだ?」
食べきったクレープをちらっと見て首を傾げ。
そう言いながらも、コップを差し出して。
「あ、そういや閃光弾が役立ったからそれ追加頼んで良いか。
あと煙幕とか、悪臭系のとかもないか、状況で使えそうな時があるんだが。
……それと、珍しい薬あるんだが引き取らないか、俺は使う気がないんだが…いや相手が使っていいなら使っても良いんだが。
あ、匂い嗅いだりとか味見はやめとけ、それ結構強いから」
以前貰ったオマケの閃光弾と、他に欲しい物を聞きながら、バックパックから数本の透明なポーションを取り出して見せる。
■ジギィ > 「ウチは品質保証するからね。効果はばっちり。副作用の把握もばっちり。
…雄、ねえ……」
エルフの鼻の頭に小じわが寄る。
故郷での狩猟生活中、同じテントに同世代の男どもと数日詰めたことがあるが、あんな香りだろうか。懐かしい思い出ではあるが、すっぱい思い出でもある。
「ン、このクレープ?
うーん、確か海の生き物だったけど、魚っていうか肉って感じ。
まー確かに海の上は本当特殊よね。見たことないものが沢山あるから面白いは面白いんだけど……」
補充を、と請われると上機嫌に薬包紙を幾つか取り出す。その中から彼にも見覚えのある印のものを数個、それから最後に見た事の無いものをひとつ。
「うふ、私は結構すき」
不味くなるかどうかという問いに答えにならない答えを返して、にっこり笑いながらさらさらと差し出されたコップに粉薬を振り落とす。
途端にアルコールだけだった湯気に、酸っぱい……もし知っていれば『ウメボシ』そっくりの香りが併せて立ち昇って来る。
「あら、閃光弾はいま無いわねえ。煙幕はあるけど、同時に魔除けになるから用途によっては要望じゃないかも。
……珍しい薬?」
しれっと薬を振り入れた後クレープの最後の切れ端を口に押し込んで、追加の注文のために袋を漁る。そうして掛けられた言葉に、訝しげに顔を上げてポーションを見て、男を見て、口をへの字の曲げる。
「やだ、他の薬屋に浮気?
言っておくけど、私去るものは追わない女だからねー」
言いながら忠告に従って、渋い顔で瓶を遠くから眺める。また鼻をひくつかせるのは、一種癖のようなもので…
■クレイグ > 「副作用はないか少ないので頼む。
あー、多分思ってる意味といった意味が違ってる気がする、動物的なじゃなくて、性交的な、な」
小じわが寄るのを見て苦笑し、あんま気にしないでくれ、と。
「肉っぽいのね、海鮮はあんまくわないからな、クジラとかかね。
船の上は揺れるし、海中は人間には論外だしな、見た事無いのが多いのは良いんだが、見た事無いから気づけない事も多いし」
常に戦場目線が付きまとうのは職業病的で。
「どれ……すっぱっ、いや酸っぱいなこれは」
コップの中身を一口味わってから、一気に飲み切って、腰の小袋から干しベリーを一口、口直ししている様子。
「魔除けになるのは使いづらいな、煙幕だけのと閃光弾を今度頼む。
他の薬屋のじゃないんだな、それは遺跡産だ…なんでも淫魔が使う媚薬だってよ。
飲んでみるか?、後の面倒は見るぞ」
遺跡探索で発見した品であると継げる、
冗談ぽく最後の一言を言って、くっくと喉奥で笑う。
■ジギィ > 「…何、クレイグってば春にお尻赤くなったりするわけ?」
性交と言われど匂いについては動物的なほうへ戻って来るらしい。小じわはそのままエルフの鼻のあたまに鎮座する。気にするな、という男のお尻の辺りに尻尾を探して覗き込んでみたりするのは、多分勿論冗談だ。
「くじらー…あー…そんな名前だったかも。
海の生き物の油とかいい薬になること多いみたいなのよね。色々知りたいけど、どうも荒っぽいひと多くて参るよ。」
告げられた名前に、爪先を揺らしながら記憶をたどるような顔。そうしながら酸っぱいという声が聞こえてくると、にんまりと笑って口直しする男の様子を眺める。
「『爽やかな酸味』って言って欲しいなー。明日の朝の目覚めは保証するよ。
…ん、解った。王都に定宿とかある?名前教えておいてくれれば、あとで届けておくよ。
媚薬……ン―――…転売していいなら貰おうかな。王城で高く引き取ってくれるから。
でもまあ、クレイグが直接渡しに行った方が良いかも。私じゃ再度仕入れできないし」
くつくつと笑う男とは逆に、瓶から身を遠ざけるように身体を反らす。
それから薬を出し終わって袋の口を閉めて、再び腰の後ろへと戻すと脚をひとふり。その勢いで空き樽からぽんと地面へ降りた。
「やだあ、クレイグそれ親父ギャグだからね。あと言葉の頭に『老後まで』とかつけて勘違いされたりしたら大変な事になるから、みだりに使わない方が良いとおもう」
座っている相手に指突き付けて、真面目な顔でお説教の振り。言い終わればけらっと笑ってから、露店の方を振り返る。
「じゃあ私、露店を冷やかして街に戻るよ。
定宿が無ければ、閃光弾とかはギルドに預けておくから。お代は交換で預けておいて」
じゃあ、と笑って手を振るとくるりと踵を返して
顔見知りとの再会と新たな注文に上機嫌の足取りで、銅色の肌のエルフは雑踏の中へと姿を消した。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からジギィさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からクレイグさんが去りました。