2021/08/31 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にシェティさんが現れました。
シェティ > 昼間は多くの船が出入りし、数え切れない程の積み荷と人々の行き交う船着き場も、夜の帳が降りれば静かなもので。

波止場を打つ規則的な波の音色と、其処から少し離れた場所に在る酒場より時折届く喧騒を聞きながら――
暗く沈んだ海の向こうをぼんやりと見つめ佇むのは、宵闇に紛れてしまいそうな黒いドレスとヴェールを纏った女が独り。

思い返せばついほんの少し前の出来事。
此処からでも明かりが見える、今でも時折喧騒が聞こえて来る件の酒場で独り食事を摂っていたのだけれども。
仕事を終えて一人、また一人と店を訪れ酒盛りを始める屈強な男達、
その一団に絡まれて、食事もそこそこに半ば逃げ出すように此処までやって来た次第。

「―――……嗚呼……けれど、風が心地良い………。」

それでも、今此処に在る静かな空間と、時折ヴェールの薄布を揺らしながら頬を撫でる潮風の感触は、
女にとってそう悪いものではなく、もう暫くの間そうしてぼんやりと過ごしていた。

シェティ > 「―――…そろそろ、宿に戻りましょうか………。」

未だ暑さの残る季節とは言えど、夜の潮風に長く当たった身体は僅かに冷え始めてきて。
細い肩を抱きながら、零した言葉は別に誰に対して向けた訳でも無く。

ふと、少し離れた場所に在る酒場の明かりに視線を向ける。
其処から時折聞こえて来るのは、相も変わらず野太い男達の喧騒で。
今宵の宿はあの酒場の二階――出来れば、彼らと再び顔を合わせるのは避けて辿り着きたいのだけれども。

「裏口から入って……御主人に事情を説明すれば通して頂けるでしょうか……?」

しかし、それ以上考えた処で答えは出ず。
少しの間を置いてからやがて意を決したように、女の足取りは件の宿酒場の方へと向かい始める。
表通りの入口は避けて、裏路地を通って裏口の方へと―――

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からシェティさんが去りました。