2021/02/16 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にホアジャオさんが現れました。
ホアジャオ > 昼間は春の陽光に浮かれたような人であふれていた船着き場。
夕暮れが近付くとすこし冬を残した風が吹くようになって、人出も出店も段々と減って行く。
水平線に茜色が少し残るくらいになった頃にはもう、人影も居残りの船員くらい。
その影も仲間で笑い合いながら賑やかに街の方へと流れていくなか、入れ違いの様に船着き場へ滑り込んだ影が一つ。

「ひっ さ し、ぶりー」

人影、シェンヤンの特徴色濃い女はぽんぽんと弾む様に船着き場の奥へ進んで、やがてどん詰まり、空の貨物箱が積まれた場所まで辿り着くと、たん、と音立てて立ち止まる。

「ふ、 ふ、 ふ」

くすくすと笑っても一人。
ともあれ抱えていた湯気の立つ紙袋を手近の木箱に乗せて、次いでぽんと飛んでその隣に腰掛ける。
それから茜色と藍色の滲む辺りを、細い目を更に細めて見ながら、紙袋を膝に置く。
じんと腿に暖かいそれに、箱からぶら下げた爪先が思わず上機嫌に揺らされる。