2020/11/17 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にソーニャさんが現れました。
■ソーニャ > 街路灯などという上等なものは見当たらない、暗い倉庫街の片隅で。
後ろ暗い取り引きが行われる、その現場に居合わせてしまったのは、本当に不幸な偶然だった。
とは言え、己がその現場を目撃したのは、倉庫のひと棟の屋根の上から。
数人の男たちが足許の路地で、大きな麻袋入りの何かと金とを引き替えようとしているのは辛うじて見えたが、
何か、の正体が視認出来るほど明るくもなく、男達の方も屋根の上はノーマークであった様子。
そのまま終わるならば、何も問題は無かった、のだろうが―――――
「―――――あぁ、らら」
不意に麻袋がうねうねと蠢き、何か、否、誰かが這い出してきた。
取り引きされようとしていたのは、どうやら何処ぞの令嬢であったらしい。
拘束が、あるいは意識の刈り取り方が甘かったのか、悲鳴を上げて逃げ出した彼女と、
男たちの間で追いかけっこが始まって―――――現在。
下手に降りれば追いかけっこに巻き込まれるかも知れない、が、しかし、
そろそろ屋根の上にも飽きてきた。
平らな屋根に腹這いに寝そべり、頬杖をついて眼下の騒ぎを眺めつつ、
ぼんやり願うのは逃げ出した令嬢の無事、などでは勿論無く。
「……退屈で凍えちゃう前に、終わってくれれば良いんだけど」
あっちへ逃げたか、いやそっちの倉庫の中か、などと騒いでいるうちは、
このままで居るしかない、となれば、欠伸も零れる。
令嬢が早く力尽きて捕まってくれないものか、とさえ考える無慈悲ぶりであった。
■ソーニャ > ―――――追いかけっこの顛末は、深い闇夜の中に紛れる。
金色の瞳を瞬かせ、その様子を眺め降ろす小娘の姿も、また、同じ闇の中へ―――――。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からソーニャさんが去りました。