2020/10/26 のログ
セイン=ディバン > 「うん。そうだな。
 商人さんにそれは、余計なお世話だった。
 すまんね」

相手の返答に、男は申し訳ない、と。頭を下げる。
その世界で生きていく人間、すなわちプロには、年齢など関係ない。
商人でない男が、商人である少女に金の大事さを説く、など。
ハッキリいって、滑稽な話である。

「あっ、あは、あはははは……。
 いや、その。なんていうか……。
 し、してたのよ。結婚。ただまぁ……。
 わ……別れた、的、な……?」

目の前の少女の心遣いが、逆に痛い男。
一応、素直にそう言うものの。
自分で言って落ち込み、どよ~ん、と。
その場にしゃがみこみ。明らかに元気をなくす。

「……ま、まぁ。そういうことなんで。
 とりあえず、宿は案内してあげたし……。
 あぁ、そうだ。オレもこの宿に部屋取るかなぁ……」

しょぼん、と落ち込んだ様子でそんなことを言う男。
丁度、宿を探していたのは男も一緒。
なので、男も部屋を取ろうかな、などと呟く。

フェリーチェ > つっかえた笑声を聞かされれば、流石に気まずい話題を振ってしまったことは理解した。
離婚の重みとか、そういうのはともかくとして。
見上げていた男の顔が逆に下に来ると、琥珀色の瞳は部屋の隅をなぞるように横へと泳ぐ。
視線を彷徨わせながらも、「あぁ♪」と努めて明るく相槌を打つのは忘れない。

「ゆっくり出来そうなお部屋ですものね。
 そ、それじゃあ私、さっそくココのお部屋借りてきます♪」

元々子供らしく高かった声を、裏返る寸前くらいまで更に高くして明るい空気を無理に演出。
抱え直した荷物とともに早足で階段を駆け下りていった。

今は焦りもあるけれど、この気まずさはきっとすぐに少女の頭からは霧散するだろう。
声の漏れない、気分の解消にぴったりな、いい部屋を紹介してもらえたのだから……。

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からセイン=ディバンさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からフェリーチェさんが去りました。