2020/07/21 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にシロナさんが現れました。
■シロナ > 港湾都市ダイラス―――その名を表すような玄関口ともいえる、船着き場、其処に、一隻の船が停泊する。
ダイラスに本拠を持つトゥルネソル商会の船であり、この場所であれば有名といって良い船で、商会である。
荷物を敵履きと卸す水夫に交じり、ちょろ、と降りてくるのは一人の少女で、しかし、水夫は誰も気にする様子はない、荷運び用の船で、客船ではないにも関わらず。
それは、少女の名前を聞けば誰もが納得するだろう、シロナ・トゥルネソル。この少女は、この船の関係者という事になるのだ。
とは言え、年端も行かぬ若い女の子が、荒くれ者が多いこの場所を、一人で歩く。
身代金目的の誘拐や、そうでなくても酔っぱらった男たちに絡まれる、なんて、お嬢様であっても日常茶飯事。普通は護衛を付けるものだ。
しかし、見回しても護衛などがいるような様子がなく、そして、それも当然という雰囲気で、水夫さんたちにあとはよろしくねーとにこやかに手を振って歩き始める。
ダイラスの倉庫街、酒場や奴隷商などが立ち並ぶ場所で、歓楽街、ハイブラゼールとは真逆の雰囲気の場所。
そんな埠頭を、少女は一人で、とことこ、と進んでいく。
鼻歌さえ歌い出しそうな気軽さと、気安さを持って、進んでいく。
目的地は――トゥルネソル商会の、ダイラス本店のある場所から、どんどん、どんどん、離れていく。
薄暗い、倉庫街の中、少女は、目的地があるかのように、迷いなく歩いていく。
■シロナ > 迷いなく、夜の倉庫街を歩く足は、気楽で慣れ親しんだ道を進むかの如く―――現実、慣れ親しんでいる場所と言える、此方には両親ではないが保護者が――祖父と祖母がいる、ちょくちょく遊びに来る場所ではあるのだ、船で行けば時間もかからない、対岸の街と言えるから。
何度も遊びに来て、何度もいれば道など覚える、だからこその迷いの無さなのだけれども。
ある程度歩いたところで、足を止める、其処は倉庫街を抜けて、海の男たちが酒を飲むための酒場などがある一角。
ちょうど、T字路となっていて、右と左にそれぞれ別の酒場があるのだ。
「うーん……今日は、どっちにしようかな。」
右手にある酒場は、どちらかと言うと、荒くれ者の多い酒場であり、喧嘩がよくある場所で、ガラの悪い所。
左手にある酒場は、冒険者たちがよく使う場所で、右手に比べれば喧嘩は少ない、が、喧嘩はよくある場所だ。
どっちもどっち、と、誰かが言うだろう、でも、違いはあるのだ。
例えば右手は、海の男ばかり。左手は冒険者が多いので、色々いる。
「今日は、左手に、しよっかな!」
決めた!と、少女はポン、と手を打って、左手に向きなおる。
左手には、ダイラスの冒険者ギルドがあり、その一階にある酒場が、今日の目的だ。
「うふふ。」
わくわくを隠しきれず、思わず走り出して、少女は、酒場の扉を開く。
今日は、どんな人がいるだろうか、と。