2020/06/26 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にジナイアさんが現れました。
ジナイア > 昼間は陽光の照り返しが眩しく煌めいていた海も、真っ黒な合間に時折白波を浮かばせては穏やかなさざめきを聴かせる夜更け。
ハイブラゼールの繁華街から離れたここは波音と潮風だけが満ちて、今日は酔客の騒々しさもない。

ぽつんぽつんと灯る街灯が時折照らすのは、そこを住処としているらしい猫と…人気のないそこを桟橋へ向かって歩く、赤銅色の肌をした女。
長い黒髪を潮風に嬲らせながら波に揺れる桟橋の手前まで来ると
一瞬、立ち止まって揺れる橋板に翠を細める。

(…まさか、唐突に抜ける、という事はないのだろうけど)

普段多くの人が使っている頑丈そうな橋板だ。
馬鹿馬鹿しいとはおもいつつもほんの少し、爪先で試す様に踏んでから
少し吐息を吐いて、すとん、と降り立つ。
ぎい、と軋む音に手すり替わりに渡されている縄に思わず片手を添えて

「…――――」

暫し、足元の漆黒の底を覗き込む。
吸い込まれそうなその奥に…何か、見つかりはしないかと。

ジナイア > 益体もない。
暫し覗き込んでいれば、わずかな月明りにうすらぼんやりと見えてくるのは己の顔だ。
熟れた唇にうっすらと笑みを浮かべると、視線を桟橋の先へと戻して一歩一歩ゆっくりと進んでいく。
着いている船は今は無く、先まで行けば、暗闇にひとり、浮かんででもいるような。

「―――…風は気持ちいいのだけど…
 妙に、不安になるな」

暫しそうやって水平線を眺めてから、感慨深げにぽつりと零す。
その不安、のようなものは
果たして揺れの所為なのか…黒くたゆたう波の、規則的でいて不思議な煌めきの所為なのか

ジナイア > そのまま波音に耳を澄ませて時が過ぎる。
不安なような気持であるのに…不思議と眠気を誘うような。

(まさかここで眠るわけにはいかないけが)

女は独り、苦笑を浮かべて
心行くまで波音と漆黒の揺らぎに身をゆだねてから、今宵の宿へと戻るのだろう

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からジナイアさんが去りました。