2020/06/10 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にタピオカさんが現れました。
タピオカ > 昼下がりのダイラス。日差しは眩しく夏の陽気だが、海辺の風は涼しい。
入り組む岸辺の倉庫街の端っこ、石造りの歩道脇に腰をかけた褐色肌の小さな人影は気持ちよさそうに伸びをした。

ぶらりと足を海へと伸ばす。崖に沿ってジグザグに作られた歩道は海面から高い場所にあり、
崖上にある大きな倉庫の軒先のおかげで日陰になっている。景色を眺めるのに丁度いい。

「次の依頼は明日の朝出発だから、今日はのんびりできるねー。
んー……。潮風のいい匂いー……。
港もよく見えるよ。あんな形の船、初めて見るよ」

冒険者たるもの、休むのも仕事だ。
というギルドの世話係の言葉を思い出す。
明日からのお仕事に備えて寛いでいるところだ。
水面から吹きあげる風に短い銀髪揺らし、ここのところの動乱で増大した物流を支える、大小様々な船が港湾を泳ぐ姿を眺め。

タピオカ > 大砲が一発二発、当たったとしてもぐらりと舳先をもたげる程度で済んでしまいそうな軍艦も見える。
どこか魚の形にも似た、海の中を飛ぶような速さで進む細長い運搬船。
道楽者が作ったらしい、船体にキラキラ光る貝殻をあますことなく飾り立てた遊覧船。
近場で釣りでもしに行くような雰囲気の、小さな子供が動き回っているイカダが手漕ぎオールで海岸線をなぞって向こうへ。

ウミネコが鳴いてる。海上で強い向かい風が吹いてるのだろう。大きく翼を広げていてもほとんど動いていない。
鳥はそのまま木造りの灯台のてっぺんに降り立って毛づくろいをしている。
煉瓦と漆喰で補強されたその塔の入り口付近では男の人たちが車座で座り、大げさな身振り手振りで何かを喋っている。
背の両側に木箱を積んだロバが通れば、その脇を小さな女の子が駆けていく。
彼女が走りながら風を受けて膨らむスカートの裾は夏の季節花みたいだ。

そんな風景をゆったりと時間をかけて楽しんだ後に傾き始めた太陽を見て立ち上がる。
仮庵のねぐら、宿場街へと戻りながら。夕食の準備を始める家々から立ち上る、煙突からの煙を見上げ――。

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からタピオカさんが去りました。