2020/05/30 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にホアジャオさんが現れました。
ホアジャオ > 良く晴れた夜。
真っ黒な空に月は煌々と昇って、星々の瞬きも遮るものなく、水平線は光の線となって空と海とを分けている。

オークションで近頃とみに賑わうハイブラゼールから時折風にのって喧騒が流れてくるものの、客船の時間も過ぎた船着き場をうろつくのは猫か海鳥の影くらい…
のはずの、場所。

海に突き出て揺らぐ桟橋の上に、海風に吹かれて三つ編みを揺らす女が一人。
突端に胡坐をかいて腰を下ろし、空を映して真っ黒な海面を眺めてぼんやりとしている。

昼間、太陽に照らされながらハイブラゼールをうろつきすぎた。
お陰様でゴロツキをドヤすことくらいはできたが、あんまり骨のある喧嘩相手には恵まれないまま…ちょっと草臥れて
女の細い目の瞼は半ば落ちかけて……身体の下でちゃぷちゃぷ言う波の音を、大人しく聞いている。

ホアジャオ > 「――――…」

ばしゃん、と遠くで魚が銀色の鱗と飛沫の光を撒いて飛び跳ねる。
ゆらゆら揺らぐ桟橋で揺られながら波音を聞いているとふわっと欠伸が漏れる。
――――あと、船酔いみたいな感じもしてきた。

「回家吧(かえろ)……」

女は欠伸交じりに言葉を零すと膝を立て、揺らぐ桟橋の上に危なげもなく立ち上がって
ぐっと身体に伸びをひとつくれると、三つ編みを揺らしながらくるりと踵を返し
人気のない船着き場から、光あふれる不夜城へと続く道へと駆けていく―――

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からホアジャオさんが去りました。