2020/05/12 のログ
■アルファ > 「シェンヤンかぁ。あそこってサムライとかブシとか規律を重んじる相手が多そうだったけれど。
君みたいな人もいるんだね。ぶちのめして何を得るのさ。
……サディスト?」
どうにも相手の細目からはよく見られてないと表情から悟った半妖は膝上に肘を乗せ。
手の上に顎を乗せてから不貞腐れたように頬を膨らませる。
こちらだって失礼な物言いをしてるのだが。
驚いた姿にも感慨薄く横に流した目で見ていた。
「ん?」
そして突然の提案にはつりと瞬き繰り返して。
近寄られる顔をしげしげと見つめる。
「無益な戦いはあまり好きじゃないけれど、君よっぽど溜まってたんだね」
全身でもって喜びを体現しているのに眉を下げながら笑って。
「そうだな。このひと勝負が終わったら一晩付き合ってくれるなら喜んでお相手になるけれど」
どう?と言わんばかりに小首を傾げ、近づいた鼻先をちょんとつつこうと指を伸ばした。
■ホアジャオ > 女は不貞腐れた様子の相手の返答に、爪先はぷらぷらと揺らしたままけらっと笑う。
「一方的にやられそうなヤツには声掛けないよ!つまンないモンね。
無益じゃないよ。勝っても負けても、少なくともアタシは気分爽快になるし」
相手の気分は全く無視。というより、相手の事なんて知らないので、取り敢えずは自分の欲求を素直に伝えているだけのつもり。
眉下げて笑う相手の様子は、いよいよ受け入れてくれそうで、紅い唇はにまーと三日月を描く、けれど
「――……ウーン…
お酒なら、いいよ」
鼻先をつつく指に焦点を合わせて、眉を寄せて一瞬考え込む。
それから困り眉のまま細い目を相手に戻して、ちょっと歯切れ悪い返答を。
以前にも同じようなことを言われて喧嘩して、結構、かなり、大変だったので
女にしては大変珍しく、紅い唇を尖らせて慎重に言葉を返した。
■アルファ > 鼻先を突こうとした手は既のところで止まる。
歯切れ悪い言い方に苦々しく笑いながら頷いて。
「ごめんね。君を安い女だと見たつもりはないんだ。
そういうノリが通じるかなって思ってちょっとカマかけただけ。
お酒飲んでお別れは虚しいだけだからさっきのは忘れて」
音なく地に足を下ろして積荷から距離をとって広い空間へと歩んで。
「とはいえこのまま去ったんじゃ心が狭すぎだと思われそうだし。
二合(双方2ロール)だけ付き合うよ。それでよければどーぞ」
バレエダンサーのような細身を誇示するように腕を開いて胸を張って相手を待つ。
もしこないのならばそのまま立ち去るだろう。
■ホアジャオ > 「…謝ンないでよ。調子狂う」
謝罪のような言葉に、女は苦い顔でぽりぽりと頬を掻く。
彼の見立ては間違ってはいない。
本来そのノリでほいほい受け入れる質ではあるのだが、まあ女にも一応学習能力もあったというだけだ。
…あと本来、初対面で喧嘩を吹っ掛ける方が悪いに決まっている。
また音なく向こうへと離れる男を、あー惜しいことしたかなーと苦悩の視線で追いかけていると
以外にも了承めいた言葉が返ってきて、女の唇は再びにまーと三日月に引かれる。
「――本当? 太谢谢你了(ありがとう)!
…じゃぁ、アタシからね!」
待つ体勢の相手にぽんと木箱から飛び下りると、その場でぽんぽん、とふたつ弾んで――腰を沈めて。
「―――いくよ、ッ!」
だん!と石畳を蹴る音。
次の瞬きの間に男の間近まで迫って―――
伸びあがるように勢い乗せた掌底を、その顎目掛けて放つ!
■アルファ > 「どういたしまして」
無防備な姿勢を崩さずに構えた相手を細めた目で捉え。
疾駆して駆けてくる姿を見ても表情1つ変えない。
その掌底が顎を捉えても。
相手の手に感じられるのは肉を叩く感覚が薄い。
「……」
勢いをつけて上半身がサバ折りのように仰け反るが地を足につけている。
人間ではありえないほど捻じり曲がった体で。逆立つ黒髪がつく地を手でこんこんと叩いた。
「やるね。普通の人間ならこれでダウンしてる」
世間話をするように息乱さず語った半妖は片足をもちあげた。
そして拗じられた上半身の勢いをつけて円月を描く回し蹴りを放ってバックステップをとって距離をとった。
■ホアジャオ > 相手が消え去ったわけでもないのに、打撃の感覚がないのにひとつ、瞬く。
次には男が全く予想外の角度まで折れ曲がっているのを捉えて細い目が目いっぱい開いて―――
「!―――ぅわは…」
その彼の脚が風切って円を描く。
女は身体を倒すようにひとつ横っ跳びに飛んでその脚を躱して―――
「次、ッ!」
着地の音はだん!と、また地を蹴る音。
男のバックステップ先へと追い駆けるように低く跳んで
身体ごとぶつかるように肘を、その正中目掛けて放つ!
速さだけは天下一品、のつもり。
この一撃が当たるかどうか、よりも
只ふわと浮いたり人知を超えた身体捌きをする彼が、どんな動きをするのかと
黒い瞳は好奇心できらきらしながら、相手の動きをじっと見る。
■アルファ > 「……ん、ちょっとズルかったかな?」
回し蹴りの残心した儘、小さく呟く。
野を駆け回る獣のようにイキイキと見る相手に表情は変わらない。
素早い肘打ちにも微動だにしない。
黒衣装が破けて肉が……破裂する。
澄ました面の半妖は歪に膨らみやがてドロドロとした黒い塊に。
不定形物を貫いたような感触を与えた肘はやがて闇を突いていたことと知るだろう。
そして月明かりに照らされた女の影が立体をもって膨らみ上がる先に薄紅の半妖がいて
「動いたらこのまま頸動脈斬るよ」
その首筋にナイフのように月光を照り返す人差し指の爪先が添えられる。
背後に立った半妖は相手が動かなければそっと手を引いていくだろう。
■ホアジャオ > 「――???!!?」
肘に感触はあった。
―――様な気がする。
相手が微動だにしなければその感触が嘘だったかのようで、細い目がまた瞬いて―――
「―――!啊(わぁ)……」
奇妙な感触。
間を置かず男が歪み膨らんで黒い不定形へと崩れていって、それを見つめる女の顔が瞬きを繰り返しながら四方へと視線を素早く投げる。
―――が、相手が膨らみ起き上がって現れたのは、己の影―――背後から。
首筋に当たるものは視認出来はしないが、鋭い感触が相手の言葉が嘘ではないことを物語る。
「―――…服了你了(参った)…」
腰をやや落とした臨戦態勢から、両手を上げて『参った』を体現する…まあこれくらいは『動いた』に入らないだろうと踏んで。
「…なァに、アンタ…スライムの親戚かなンか?」
首筋に当たっていたものがそっと引いていくと、その当たっていた場所に何となく手を置きながら、女は彼を振り返る。
■アルファ > 「夜魔だよ。
『お酒だったら付き合う』といって視線をそらした隙に影と入れ代わった。
ずっと独り相撲してたんだよ、君は。
無益な争いを好まない相手が正攻法で戦うと思うか?
渾身の一撃を食らって平気な生物はいるか?
戦った末に身も心も陵辱されるリスクは考えていたか?
大怪我したくなければ戦う相手をサンドバッグだと思わずによく観察するべきだ。」
冷たい海風よりも凍えるような声を放っていた半妖は振り返る女に炯々と輝く薄紅で睥睨して。
「と、まぁ言っても。君は俺が悪者じゃないと思ったから戦ったんだろうけれどね。
君は可愛いと思うし抱くなら陵辱より和姦のほうが良いし。お説教はやーめた。
うん、これでちょうど2合終わったな」
最後ににっこりと笑って背を翻す。
「それじゃ風邪ひかないうちに君も帰りなよ。
俺の名はアルファ。もしまた逢えたらノリよくあっちも付き合ってくれることを期待しているよ」
ゆっくりと歩む背筋は雲間に月光が隠れてどす黒い闇に飲まれ。
再び月が照らすときには忽然と消えていた。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からアルファさんが去りました。
■ホアジャオ > 「鬼蜮(まもの)……」
首筋に手を置いたまま、瞬きを繰り返しながら相手の薄紅を見る。
が、冷たい言葉を聴いていると段々その紅い唇を尖らせて、解りやすく不満顔だ。
女は女なりの理屈と道理で喧嘩を売っている。
まあ、それでは足りないという事なんだろうが…
相手を何だか悪い気分にさせた様だ、くらいは解る。
なので、不満は表すが、尖ったままの唇で口答えはしない。
「――…アタシ、風邪はひかないから…
アタシは『ホアジャオ』てえの
…ソッチは、当分期待しないほうがいいかもね…」
むすっとした顔のまま見送る彼の影が、雲が月光を遮った後には溶けたように消えている。
女は不満顔のまま其方を暫く眺めて―――やがてふわっと再度欠伸を漏らす。
色々考えなければいけないのかもしれないが、取り敢えず眠い。
こちらも踵を返すと、木箱の山に向き直ってよじ登って
てっぺんに辿り着くと、そこでごろんと丸くなる。
間も無く寝息が聞こえてきて―――――
翌朝女が果たして風邪を引いたかどうかは、また別の話。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からホアジャオさんが去りました。