2020/05/11 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にホアジャオさんが現れました。
■ホアジャオ > 海風が緩く吹く夜の船着き場。
昼間きらきらと太陽の光を返していた波は今は昇ったばかりの月の光を静かに返して、真っ黒な水平線と空とは交じり合って光の道が出来ている。
昼間は降り立つ人と行く人、それを相手に商いをするものにさらにそれを見物する者と多くの人が行き交った船着き場も、とっぷりと日が暮れれば人気は殆どない。
時折港の街灯の灯りを過ぎるのは深夜の散歩中の猫か、酔っ払って船から降りそびれた船員と思しき者くらいだ。
その人気のなくなった船着き場に今、街の方から踏み入れる人影がひとつ。
「――…哦(ふーん)…」
街灯に照らされるのは、シェンヤンの特徴色濃い女だ。入り口で立ち止まると、細い目で素早く辺りを見回して
半ばつまらなそうな鼻息を一つ漏らすと、港の端のほうへとぽんぽんと弾むように歩いていく。
■ホアジャオ > 公主の御供のアルバイトでハイブラゼールのオークションに来たのだが、いつも通り公主自身がどこかへシケこんでしまって早々にお役御免。
自由行動になったのはいいけれども、カジノの用心棒に喧嘩を売るのは禁止されていたので、仕方なく外へと出て……
途中で良いカモ、どついても良さそうなゴロツキを見つけることもできず、船着き場まで到着してしまった。
「まァ……良いケド…」
唇を尖らせてぶーたれながら、端に積まれていた空の木箱にぽんと飛び乗るように腰かける。
―――実際海を眺めるのは嫌いじゃないので、まあいい。
とはいえ物足りなさ万歳の表情で、両腕を後ろ手について足をぶらぶらと揺らしている。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にアルファさんが現れました。
■アルファ > カジノの熱気にあてられた肌を覚まそうと船着き場まで足を運んだ。潮含む風は冷たいが歩行に合わせて小気味よい金貨の音が聞こえて懐が温かい。
やがて波止場の鉄製のボラードに足をかけて水面に浮かぶ水月と晴れる空に浮かぶ月を見る。2つの輝きに目を細めていると。
「うわっ」
強風が吹いて思わず顔を背けた。潮にベタつく瞼を擦りながら開いたのなら積荷の木箱に腰を下ろす女性が見えて。
「やぁ」
暗さにその表情は見えず至極呑気な声で挨拶した。
■ホアジャオ > 波音は規則正しく打ち寄せて、時折大きな波が月光に光を散らす。
緩く吹く海風は、女の三つ編みをふわと揺らして湿った風を街へと運んでいく。
「――――……」
もともと細い女の目の瞼が段々と下がって、そのうちふわっと欠伸が漏れる。
ひまだ。
その時だったろう、新たな来訪者から声が掛かって、そちらへと顔を向ける。
「―――晚上好(こんばんは)」
寝ぼけまなこを擦りながら、呑気な声に返答する。
その涙目のまま瞬いて、現れた黒づくめの新顔をしげしげと、細い目が上から下まで眺めて。
「―――アンタ、何?
あやしいやつ?ゴロツキ?
…喧嘩吹っ掛けても大丈夫なヤツ?」
取り敢えず不審者と断定―――己だって人の事は言えないはずだが――して、ずけずけと質問を。
■アルファ > 帰ってきた返答に薄紅の目を思いっきり開いて。
「ワ、ワンシャ……えっと、マグメールの人じゃないかな?
――東洋? ええっと、こんばんは」
顔の前に手をひらひらと震わせ仕草笑顔で挨拶を伝えようとして。
やがて起き上がる相手にボラードから足を引いて向き直る。
長身痩躯の闇に溶けるような、盗賊のような出で立ち。けれども、ニコニコと人懐っこい顔を浮かべて。
「よかった。言葉通じるんだ。見た目は怪しいが悪いやつじゃないよ。
外に涼みにきただけ……そういう君は見た目に反して結構物騒だね。」
話し終えればとんと弾む音を立てて跳躍する。その体は重力から解き離れて浮遊し。
「こんな夜更けに女の子一人いるんだ。悩み事でもあるのかな?」
音もなく先客から木箱の隣に腰を下ろした。
■ホアジャオ > 「是的(そ)。アタシ、シェンヤン出身…――ぁふ」
挨拶を返してくれる相手に、もう一度欠伸まじりに言葉を返す。
その涙目の向こうに潤む相手の姿は真っ黒で、ニコニコと笑う顔が胡散臭い(当社比)。
「―――…悪かろうがどうだろうが、ぶちのめしても良いならぶちのめしたげるケド…
―――!?」
涙目をまた擦っている、その間に
男はひとつ弾む音の後は地面に足音を立てることなく、ふわりと隣に腰を下ろす。
間近に来たその姿を細い目を目いっぱい開いてしげしげと眺めれば……体格は、悪くない。
女からはふっふっふ、と含み笑いが漏れる
「―――……そォだなァ…
喧嘩相手探して退屈してンだケド……
アンタ、ひまなら相手してくンない?」
ニコニコと人懐っこい男の笑みに負けず劣らず、何だったらやや前のめりに無害そうな笑みをにっこりと向ける。
爪先は、上機嫌にふらふらと揺らして、もう期待一杯の様子を全身で表してたりして。