2020/05/06 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にロックアインさんが現れました。
ロックアイン > (ダイラスにある倉庫街は、合法、非合法な品を含めた集積場としての利用価値が高い。
倉庫其の物を取引と称して遣り取りが出来る利便性や、幾つもの倉庫の中に1つ、2つ。禁制とされる品を忍び込ませても中々摘発をされにくい、と言う利点もあった。

但し、それに胡坐を掻きすぎてしまえば例えば密偵、内偵等。個人単位で目を付けられた場合の安全性は大きく割引をされてしまう。
今しがた取引を終えた相手はその手合いであり、わざわざ商いの品に名前を、家名を。それも符丁や暗号の類を使わずに堂々と記してあったのだ。
自分自身も決して表向きの評判は良いとは言えないが、相手も相手で悪名の方が名高い貴族。

無神経にも程があるが、ともかく取引だけは終わっている。
後はこの木箱を黒服――私設の護衛に運ばせ、倉庫街から立ち去るだけ。
箱の中身はそれほど重い物ではない。が、何分嵩張る為に黒服も数名で抱え、少し離れた場所に停めてある荷馬車に運び込む作業に追われていた。
最低限だが、黒服は周囲の警戒と監視。貴族である自分自身の周囲の護衛もいるが、決して数が多いとは言えない状況。

馬車の方に近寄らないのは、倉庫であれば借りに目を付けられてもただの偶然とでも言い張ってしまえば何とでもなる。という自負から。
馬車の方にいたのでは、どれほど言いつくろおうとも木箱に記された名と。馬車の所有者であることから言い逃れは厳しいだろうという判断。)

「――余計な心配ならいいが。手間をかけさせてくれる。」

(葉巻に火をつけた。黒服が火を差し出そうとするが、それよりは周囲への警戒に気を使えと一瞥。
取引相手の貴族が自分を【売った】と言う危険性もある以上、神経質にならざるを得ない。
倉庫の壁に背中を預ける様な真似はしないが、運び終え、出発の準備が整うまでの時間。
自分はこの場所で葉巻でも咥え、時間を潰す事を選択していた。

煙は苦く、幾分か独特の臭みを有しているが。
それが鼻を、喉を刺激するのが快感に近い事もあり愛用者は非常に多い。
葉巻の葉に、ある薬物を混ぜて気分を切り替える事に使う向きもあるが――。今は普通の、ごく一般的な物だけだ。)

ロックアイン > (運び出す木箱も、表通りを堂々と持ち運べるものではない。裏道を伝い、迂回路をさらに迂回していく。
鼻薬を嗅がせてある自警団の巡回路であれば目こぼしもされるだろうが、正義感のある連中とではそうもいくまい。
魔法を使える運搬手を探す必要もあるか。例えば透明になれるなら――。

あぁ、いや。本人だけが透明になるような魔法では意味がない。
寧ろ木箱が空に浮いていれば目を引く。自警団も鼻薬を持たせてくれた貴族の手の者かもわからないだろう。
自分で思いついた話だが、頭の中で打ち消す。丁度葉巻の煙も、そのころには薄く、短く。指の先に僅かながら熱を感じられる位には短くなっている。
吸い終えた1本を足元に落とし、靴底で踏みつぶしておく。

倉庫街で火事を起こした貴族等、笑い話どころか命すら狙われる事案だ。
この場は、表の品も裏の品も均等に扱う施設。それを敵に回すという事は、面白くもない事になる。)

「数を絞り過ぎたか。もう少し護衛を増やしても良かった、が。」

(1箱、また1箱。運び、新たな木箱が運ばれるまでの時間が長くも感じられる。
余りに人数を増やしすぎては無用な衝突や警戒を抱かせると判断しての人数だったが。
非効率的な時間がかかる為に、自分の目算が甘い事に思い至る。

懐から、次に取り出したのは飴玉。苦味、痺れた舌先では甘さを感じ取りにくいが。
それでも、何も口に入れていないよりはマシと言う物だ。)

「………香りも感じ難いが、まぁその内に馴染むか。」

(かろ、ころ。口の中で飴玉を転がす音。思わず噛み砕きたくもなるが、我慢を刷る様に。
時折頬が飴玉の形に膨らみ、もご、と口元が動くのは位置を絶えず動かす為か。)

ロックアイン > (黒服――私設の護衛も拡充する必要はあるか。
表立って騎士団と対立する事もないだろうが、噂に聞こえる精強な騎士団のみならず、それらに並ぶ腕前の冒険者、傭兵の噂も耳にする。
武装こそ与えているが、それでも数で押されれば容易く潰走し、質と言う点でもとびぬけた強さを持つような人物がいる訳でもない。

囲い、数と範囲を制圧するような武器で基本的に追い返すのがこれまでのセオリーだ。
或いは自分の屋敷の中。多少なりと仕掛けのある場所であれば、腕の差を補えるだけの細工はしてあるが。
それでも一定以上の数で。一定以上の質で押されれば難しい。
散弾の様に刃の破片を打ち出す射出機構。風の塊を生み出し、相手の動きを封じた上での薬物を塗り込んだ刃で戦闘力を奪う。

……何れも、2度目以降であれば対策は可能だろう。)

「(そういえば騎士でも食い詰めてる連中。もしくは闘技場で賞金を稼ぐ連中もいたな。
騎士は――いや、騎士では逆に扱い難いか。引き抜けば悪感情を持たれる、かといって緊急時に呼び出せないのでは役に立たんな。)」

(決して無能ではない黒服だが、魔族を相手に出来る様な人材ではないのも確か。
ダイラスの闘技場、其方に足を運ぶのも悪くない。手持ちの黒服で最も強い手駒を闘技場に出し、其れに勝てる人物を雇うのも一手だろう。
ふと、倉庫の方を見れば黒服が残りの箱は残り僅かだと手のサインだけで示していた。)

ロックアイン > (やがて荷と共に姿を消した貴族と黒服。向かう先はどこになるのか。
轍はダイラスの中心部へと向かうが――その馬車の中に貴族がいたとは限らない話。
但し、逗留が続く以上は何かの目的はあるのだろう。取引か、商談か。或いは人材の補充か。それらを行うにはこの街は都合のいい街なのは確かな話だった。)

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からロックアインさんが去りました。