2020/02/18 のログ
■ギュンター・ホーレルヴァッハ > 漸く我に返ったのか、直ぐに武器を構えて此方に迫る男達。流石修羅場慣れしているというか、仲間が一人二人死んだくらいでは動じるものでもないらしい。
「戦闘能力とその他の手際の落差が激しいな。傭兵崩れか、そもそもが傭兵の類か?」
と言葉を発しても、それに応える者はいない。寸前に迫った男達の一人が、鈍く輝く剣を振り翳して――
「……色々と事情を聞きたくなってきたな。殺すのは止めにしておこう。喜べ、生き残れるぞ?」
己の手元に文字通り"現れた"短銃身のマスケット銃が、接近した男に火を噴いた。至近距離から鉛玉を浴びた男は、その勢いの儘崩れ落ちる。
それでも尚向かい来る男達の前に現れたのは、3mはあろうかという一つ目の巨人。所謂サイクロプス――の紛い物。
意思を持たぬ単眼の巨人は、その剛力を存分に活かして男達を壁に叩きつけ、地面に縫い付けていくだろう。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ > その後、散発的かつ無意味な抵抗が続いた。
戦闘面においてはゴロツキとは呼べぬ実力を持った男達は、手負いながらもサイクロプスの討伐に成功した。その感動を得た数秒後に、5体のサイクロプスに取り囲まれる事となり、絶望の表情と共に降伏の意を示す事になるまでは。
「いやはや、良い物を見せて貰った。不意打ち、かつ其方が手負いでありながら此処迄戦い抜いた事には素直に賞賛の言葉を送ろう」
疲労困憊といった男達に暢気な口調で声を掛ける。最早、そんな己を睨み付ける体力も気力も男達には残っていない。
「……ふむ。まあ、怪我の治療も必要だろう。時間はあるのだ。ゆっくりと話を聞かせて貰おうじゃないか。なあ?」
男達を小脇に抱える巨人を愉快そうに眺めながら独り言ちる。
此の侭召し抱えても良いし、それが嫌だと言うのなら――
少年達が立ち去った後に残ったのは、戦闘で罅割れた壁面や石畳と、それを染める血痕だけであった。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からギュンター・ホーレルヴァッハさんが去りました。