2020/02/17 のログ
シュティレ > ―――やはり、人頼みというのは、浅慮でありましょう、先ずは自分で探すべきです、私は周囲に酔客と、浮浪者と、荒くれ者しかいないことにため息を吐き出してしまいます。
何やら私を何かと勘違いしたのか、下心丸出しの、視るに耐えない表情で近づいてくる男性もいます。
結構です、と手を払えば、直ぐに激昂するサルのようなヒト、之もまた、貴方達なのでしょう、ヒト。私は殴りかかる腕の中をくぐるようにし、外側に払います。
彼の体制が崩れたところ、更に腕を掴んでそっと勢いを増やし、足を払ってしまいましょう。
地面に強かに顔から落ちていくので、ついでにそのお腹を優しく救い上げるようにして海に。ええ、いい音がしました。きっと海の水の冷たさで頭も冷えるでしょう。
今は冬ですが、其処は些細な事、お酒を飲んで温まっているのですから。
私は周囲が呆気に取られている間に、其れでは、と歩き、この場から去りましょう。
やはり、相応の場所には、相応の人物しかいないのですね、と今夜新たに、思い直すのです。

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からシュティレさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にソーニャさんが現れました。
ソーニャ > 夜を迎えて、船乗りたちの大半が歓楽街へ繰り出す頃。
あるいは早くも出来上がった酔漢が、道端に転がり始める頃。

場違いな小娘が漫ろ歩くのは、積み降ろされた荷や積み込まれるであろう荷が雑多に並ぶ桟橋の袂。
異国情緒満載の積み荷の数々、中には明らかに生き物が入っているらしき大きな檻もあり、
流石に帆布で覆われているその中から、啜り泣くような声が聞こえたりもするけれど。

その全てが、己にとっては他人事である。
喉許に巻かれた漆黒は【首輪】の一種ではあるが、己は奴隷では無い。
誰にどう見られたところで、己には根拠の無い矜持がある。
だからこその、大手を振っての夜歩きだった。
ぴら、と無遠慮に帆布を捲り、中の【荷物】を覗き込んで、

「ふぅん、……こんなものも、売り物になるのね」

暢気な呟きを落として、言葉の通じぬ異国の奴隷を怯えさせたりなども。

ソーニャ > ――――ふと、ほんの一瞬だけ。
この奴隷を自らが連れ帰って玩ぶことを考えたが、面倒だと思い直す。

今夜はこれ以上、興味を引くものには出会えそうに無い。
詰まらなさそうに目を細め、闇の深い方へと歩み去り――――。

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からソーニャさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にギュンター・ホーレルヴァッハさんが現れました。
ギュンター・ホーレルヴァッハ > 多くの船と水夫で賑わう港湾都市。しかし、一度倉庫街の迷路に迷い込めば、遠くに喧騒が響くだけで人気は無くなってしまう。

そんな薄暗い倉庫街の一角。両側に高い倉庫の壁が聳え立ち、無造作に積まれた木箱や樽が障害物の様に行く手を阻む。其処で対峙する数人の男と一人の少年。

「……ホーレルヴァッハ家の船舶を調べあげ、其処の水夫を騙るまでは上出来だと思うがな。その後が些か雑では無いか?」

屈強な男達に囲まれながら能天気な声で首を傾げる。
場違いな程に豪奢な衣装を身に纏った己は、取り囲む男達に取っては格好の獲物だったのだろう。
尤も、此方は仕事の邪魔をされた挙句に無益な時間を取られているとあって、次第に不機嫌そうに表情を険しくしていく事になるのだが。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 此方の余裕めいた態度に、今度は男達の方が不機嫌そうな表情を見せる。手に持った武器をちらつかせ、金を出せだの、人質にしてどうこうだのとバラバラと声を上げていた。

「……そういうのを、捕らぬ狸の皮算用と東洋の諺で言うらしいぞ。喧しく喚く前に、先ずは私の身柄をきちんと抑えておく事だな」

現場で働く者達の頼みだから、と彼等についてきた己も未熟だな、と溜息を吐き出しながら男達に告げる。
そんな舐めた様な態度に激高した男が此方の腕を掴もうとして――

「触るな、汚い」

突如地面から生える様に現れた鉄槍が、深々と男の腹を突き刺しそのまま地面に縫い付ける。
げぼ、と空気の零れる様な音と共に血だまりに倒れ伏す男。余りに唐突な惨劇に、一瞬場が静まり返る。